F3a 招待講演

 

講演タイトル

実践的ソフトウェア工学研究センターの構築に向けて

講師

国立情報学研究所 副所長 教授 本位田 真一

概要

ソフトウェア工学研究は、大学の研究と社会を支える高信頼なソフトウェアの迅速な開発と結びつける必要があるため、産学連携が必須となる。近年あらゆる分野にITが導入されIT利用分野が爆発的に広がり、それを支える技術は学際的である。しかし、日本にはソフトウェア工学研究者が欧米に比べ少なく、現状の研究体制には(1)大学や研究室レベルの活動にとどまり日本や世界を支えるような成果に結びついておらず人材育成も不十分、(2)産学連携が不十分で、実践を知らない大学の若手研究者や先端技術を知らない技術者が多い、(3)異分野間の連携が不十分で、学際的研究開発が遅れているといった課題がある。

そこで、本講演では、実践に基づいた最先端のソフトウェア開発技術を永続的に創出できる体制の確立を目的とした「実践的ソフトウェア工学研究センター」の設立を提案する。本センターでは、大学病院の医療や臨床研究のような実践機能、臨床実習のような実践に基づく教育機能、臨床試験のような課題解決型研究の3つの機能を持つ。そして、課題解決型研究では、企業から派遣された第一線の技術者と、国内外の大学や研究組織で先端的な研究を行っている研究者から成る産学連携プロジェクトを中心に活動を行う。本センターを中心に、新しい価値を提供するソフトウェアを迅速かつ高信頼に開発する技術を創出することで、社会に還元する体制をオールジャパンで整備することが可能となる。

プロフィール

1978 年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了.
(株)東芝を経て2000 年より国立情報学研究所教授,
2012 年より同研究所副所長を併任,現在に至る.
2001 年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授を兼任,現在に至る.
現在,電気通信大学,早稲田大学、英国UCL などの客員教授を兼任.
2005 年度パリ第6 大学招聘教授.
日本ソフトウェア科学会理事,情報処理学会理事,日本ソフトウェア科学会編集委員長,IEEE Computer Society Japan Chapter Chairman, ACM 日本支部会計幹事を歴任.
情報処理学会フェロー.日本学術会議連携会員.
博士(工学).

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