会長挨拶

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産業の「新しい時代」を切り開く

 私たちは今、不確実な世界経済情勢の中、先端デジタル技術、特に生成AI技術の急激な進化に直面しています。既存のIT・デジタル技術の高度化に加え、イノベーションや新たな価値創造をその本旨とする先端デジタル技術の革新的進化は、様々な産業、特に私たち情報サービス産業の事業モデルや産業構造に質的な転換を促すとともに、人材のデジタル能力の飛躍的向上機会をもたらし、当産業自体とデジタル人材の社会的存在意義を大きく進化せしめる状況にあると考えます。

 この状況下で、私たち情報サービス産業企業はけっして受動的になってはいけないと思います。日本社会のデジタル後進性の一因には、デジタル技術の社会的実装者である私たちの、技術進化に対しての受け身の姿勢があったのではと考えます。
 私たちは先端技術の実装者としてリーディングロールを担い、デジタル技術自体のアーキテクチャーレベルでの革新を主導する、能動的な事業活動を通じて、個々の企業レベルでも、産業全体としても、価値創造型事業モデルへの転換を図るべきと考えます。

 長年、価値創造型事業モデルへの転換を目指しながら、従来の労働集約型から必ずしも脱却できなかった私たちですが、今こそ変革の時であります。
 私たちのデジタル人材のempowermentが変革の契機・大前提です。生産性・効率性追求、そしてシステム・サービス・データ活用高度化のための、IT・デジタル技術の進化・発展に加え、価値創造機能を飛躍的に高める生成AI他の先端デジタル技術の革新を、自らの能力に付加する、JISAが云うところの「+AIスキリング」を通じて、私たちのデジタル人材が、価値創造人材としてより高度な能力を身に付け、その能力を存分に発揮することが重要であります。
 そして当産業各企業は、このデジタル人材の持てる能力の発揮を最大限可能にする経営体、新しい事業モデル、事業ポートフォリオ、組織そして人的資本管理を追求する経営体を目指して努力すべきと考えます。

 JISAは、当産業が日本社会の発展、真の課題解決に貢献することが出来るようになるために必要な、これらデジタル人材個々人の、また、当産業各企業の変革の努力を誠心誠意支えてまいりたいと考えております。
 そして、JISAは自らの協会活動として、これら支援の前提、変革の基盤となる重要な課題に取り組みます。具体的には、デジタル人材のempowermentに真に求められる能力・属性の定義、AI他の先端デジタル技術の社会実装により創造される価値とその定量化手法の追及など、日本社会のデジタル化推進と私たちの事業モデルの質的転換の大前提となる「基準」を模索してまいります。
 これらはいずれも大変な難題ですが、当産業企業はもとより、政府・関係諸団体や学術関連、さらには様々な産業・顧客企業の皆様等、業界内外の方々の視座・知見をお借りしながら、産業・企業・人材の変革支援や産業を超えたコンセンサスとなる新しい価値基準作り等を推進してまいります。

 情報サービス産業全体として、新しい社会ニーズに沿った事業モデルへの転換を実現し、日本社会の正しいデジタル化の強力な推進力となることで、能動的に産業の新しい時代を切り開きつつ、私たちに求められている社会的役割を果たしてまいりたいと考えています。

 日本社会発展に向けての当産業の事業活動ならびにJISAの協会活動に対し、関係各位のご支援、ご協力、そしてご指導を心からお願い申し上げます。


令和7年7月1日
一般社団法人 情報サービス産業協会
会長 福永 哲弥

 
 
 
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