要求工学知識体系REBOK(DX編)

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概要

 JISA要求工学グループでは,社会にインパクトを与える「問題発見」や「価値創出」を重視した,Digital Transformation(以降,DXと略す)の社会実装をスムーズに実践するための要求工学の知識体系の定義に取り組んでいます.この取り組みの目的は, これまでのJISAの活動成果である,要求工学知識体系REBOKの実績に基づき,さらにDXの社会実装のための要求工学のあるべき姿を明らかにし,JISA会員企業の技術者を含むあらゆるステークホルダと知見を共有し社会に貢献することです.

 従来の要求工学が目指すゴールの一つとして開発の工業化があります.要求工学には,対象業務やドメインに精通する一部の専門家でなくても,顧客にソリューションを提供する要求を合理的に獲得・仕様化し,システム開発へとスムーズに接続することが求められてきました.しかし,イノベーションを起こすアイデアの創出とは,課題解決ではなく,問題発見です.DXの社会実装には,「問題の発見」を重視した,従来型の要求工学の進化・拡張が必要であると考えられます.

 要求工学知識体系REBOKは,要求工学の知識を実践の視点から整理し体系化した手引書として,多くの実務者らに利活用されてきました.要求工学グループでは,新・要求工学のあるべき姿を明らかにするため,要求工学知識体系REBOK の進化・拡張を様々な形で検討しました.例えば,デザイン思考と要求工学の融合や,アート思考への拡張等の関連研究を調査し,要求工学グループのメンバーを含む技術者へのヒアリング,様々なコミュニティーとのディスカッション等を行ってきました.ここでは,これらを通して得られた知見をREBOK(DX編)パターンとしてまとめました.

 開発に至る検討プロセスやREBOK(DX)の考え方については以下の記事を参照してください。> JISA会報(2021,No.141)「要求工学知識体系REBOK(DX編)を構成するパターンの提案」

REBOK(DX編)パターン

  • これは,REBOKを次の3つの観点で拡張した考え方に基づき,DXの社会実装を支援する技術とその使い方ノウハウを示したガイドです.
  • REBOK(DX編)は,パターンランゲージを用いて記述しています.以下のパターンを公開します.各パターンは,用途に合わせて,料理のレシピのように,独立して利活用できる形式で記述しています.今後,パターンの改善,拡張を継続していきます.
(パターン一覧)
No パターン名
1 ステークホルダへの提供価値をデザインする
2 製品開発で訴求効果のある機能を作りたい
3 新しいサービスを創出する
4 ユーザの体験価値をストーリーで考える
5 既販サービスを継続的に改善する
6 素早く作り,ビジネス価値を検証する
7 重要なステークホルダを見つけるには?
8 デザイン思考サイクルを高速化するにはチームでMVP*をつくる勘どころがあるとスムーズ
9 デザイン思考サイクルを高速化するには価値が伝わるMVP*を早く見極める
10 新しいビジネスを構想する

*MVP: Minimum Viable Products (実用最小限の製品)

参考資料

  [1]一般社団法人情報サービス産業協会 REBOK 企画 WG, 要求工学知識体系, 近代科学社(2011)
  [2]一般社団法人情報サービス産業協会 REBOK 企画 WG, 要求工学実践ガイド,近代科学社(2014)
  [3]飯村結香子, 斎藤忍, 監修:青山幹雄, REBOKシリーズ3 REBOKに基づく要求分析実践ガイド, 近代科学社 (2015)
  [4]一般社団法人情報サービス産業協会 REBOK-DX Vol.1 デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と動向 (2018)
  [5]一般社団法人情報サービス産業協会 REBOK-DX Vol.2 デジタルトランスフォーメーション(DX)の技術と活用 (2019)

問い合わせ

 要求工学知識体系REBOK問い合わせ rebok@jisa.or.jp
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