JISA平成18年度税制改正について自民党へ要望

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 9月27日、JISAは平成18年度の税制改正について、以下の要望を自民党政務調査会に提出した。


平成18年度税制改正に関する情報サービス産業界の要望

今年は商用コンピュータが日本に導入されて50年、半世紀を迎えました。情報サービス産業はコンピュータが誕生すると共に産まれ、その発展と共に成長してきました。特に1990年代中頃から本格化したオープン化、ダウンサイジング化、ネットワーク化というITの劇的な進歩に伴って、業界が取り組む事業内容は従来のメインフレーム上のアプリケーションソフト開発から大きく変化を遂げ、多様化し、今日では、売上高14兆円、就業者数57万人*に達し、我が国の基幹産業といわれる他産業と遜色ない規模にまで成長を遂げました。情報サービス・ソフトウェアも経済社会の基盤、あらゆる産業の価値実現のインフラとしてその役割の質が深化し、情報サービス産業はこれらを提供するエンパワーインダストリーとして不可欠の存在となっています。
しかし、現在の情報サービス産業には、コスト、品質、生産性、セキュリティなど産業競争力・信頼性の観点から懸念される課題が山積しており、税制をはじめとする施策を適切に積み重ねていかなければ、我が国経済・社会のアキレス腱になりかねない危うさを秘めています。
つきましては、平成18年度税制改正において、以下の諸点について要望いたしますので、格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

* 経済産業省 特定サービス産業実態調査 平成15年

1.IT投資促進税制の延長

平成15年度税制改正で実現したIT投資促進税制は、IT投資を誘発し減税総額を上回る実質GDPの押し上げに効果があったといわれています。しかし、我が国企業のIT投資は、まだ部門の業務改善レベルに留まる水準にあり、企業経営と直結した戦略的な利活用やビジネスプロセスの最適化による企業間連携の実現に貢献するのはこれからです。また、こうした戦略的IT投資には、情報セキュリティへの配慮が不可欠ですが、セキュリティ投資は費用対効果が見えにくいため、その対策は過少なものとなりがちです。
 さらに我が国企業のIT投資の水準は全体としては米国、韓国等に比べても劣っており、我が国企業にとっては競争力強化のためこれから本格的なIT投資を行わなければならない状況にあります。
このような状況から企業の経営効率の向上、競争力の強化、情報セキュリティの確保に大きく寄与するIT投資促進税制の適用期限延長を強く要望致します。

2.研究開発促進税制における税額控除率上乗せ部分の恒久化

内外の社会経済情勢の変化に伴って、企業は知的資産を競争力の源泉として経営戦略の中に位置づけ、研究開発を強化してこれを積極的に創造あるいは取得し、活用することにより、企業価値の最大化を図ることが必要となっています。
平成15年度税制改正において実現した研究開発促進税制は、各企業に積極的に活用され、研究開発費の増加、企業競争力の向上に寄与しております。
研究開発促進税制は我が国法人課税の基幹的制度として位置づけられるものであり、引き続き維持・強化することが不可欠であります。
つきましては、本税制の維持強化を図るべく、来春適用期限が到来する税額控除率の上乗せ部分について、基礎部分と合わせた恒久化を要望致します。

3.減価償却制度の改善

減価償却計算の基礎となる残存価額は、取得価額の10%、耐用年数到来後の償却可能限度額として、同じく5%とされておりますが、耐用年数到来時には既に資産価値を喪失しているのが実態であります。
したがって、残存価額及び償却可能限度額の適正化を図ることを目的として、これを法定耐用年数内に備忘価額(1円)まで償却できるよう要望致します。
また、自社で利用する目的で無形固定資産に計上するソフトウェアは、現在、5年で償却することが定められていますが、ソフトウェアは、技術革新による機能の陳腐化、不適応化が急激に進展するため、5年では利用の実態と法定耐用年数が乖離しているのが実態です。
したがって、複写して販売する原本及び研究開発用ソフトウェアと同様に、償却年数を3年に短縮することを要望致します。

4.受取配当の益金不算入制度の見直し

近年、受取配当金の益金不算入割合が縮減されてきておりますが*、これは、法人の所得に対し法人税と所得税との二重課税を行うべきではないとのシャウプ勧告以来の法人擬制説に基づく考え方と矛盾しています。
したがって、全ての国内株式に係る配当金については、全額益金不算入を認めていただきたく、要望致します。
* 保有比率25%未満の特定株式の益金不算入割合:平成元年度90% 2~14年度80% 15年度以降50%

5.連結納税制度における対象範囲の拡大

平成14年度から導入された連結納税制度は、企業グループ各社の損益を合算して法人税を課すものであり、グループ経営の推進を税制面から支援する制度であります。
情報サービス産業では、従来の受託システム開発中心の事業モデルから脱却を図るために子会社を設立して新規事業をてがける動きが活発化しておりますが、こうした場合、リスク分散の観点から、当該事業への出資を募って自社の出資比率を低く抑えることが一般的です。
しかし、現行の連結納税制度は、適用対象法人が全額出資子会社に限られているため、上記の子会社については、その対象とならず、制度の導入意欲を削ぐ結果となっています。
したがって、連結納税制度の適用対象につきましては、適用対象法人の株式保有割合を現行より引き下げていただきたく要望いたします。

6.電話加入権の無税償却の容認

固定電話の電話加入権は、加入電話の新規契約の際に支払った施設設置負担金を非減価償却資産として貸借対照表に計上していますが、加入電話が減少するなかで、資産価値が消滅する見通しです。
したがって、電話加入権の無税償却を認めていただきたく、要望致します。

7.みなし共同事業課税の廃止

事業所税は、従業者給与総額と事業所床面積とを課税標準とする税目ですが、平成15年度税制改正で創設された法人事業税の外形標準課税制度において、その外形基準として報酬給与額と土地・家屋に係る純支払賃借料*が付加価値割における課税標準とされたことから、課税客体が重なるため、その廃止が検討されるべきであります。
ところで、近年、情報サービス産業では、事業の効率化の促進、間接コスト削減を目的として、グループ企業のオフィスを一箇所に集約する動きが進んでおります。事業所税では、一定規模までの事業所は免税**とされておりますが、グループ企業で事業所を一箇所に集約して事業を行った場合は共同事業とみなされており、課税計算上では従業者給与総額と事業所床面積とが合算されて単独として扱われてしまいます。このため、グループ企業の中に免税点に達しない企業があったとしても免税の対象外となり、税負担の増加を招く結果となっています。
したがって、今後も事業所税が存続する場合には、グループ企業経営の合理化努力を否定する、みなし共同事業に対する課税は廃止していただきたく、要望致します。
* 土地・家屋に係る支払賃借料-受取賃借料(マイナスの場合には0[ゼロ])
**一般事業所の免税点:事業所床面積の合計面積が1,000平米以下、従業者の合計数が100人以下

8. 法人税法における企業会計の尊重

一般に公正妥当と認められた企業会計の基準によって求める期間損益の額は、企業の実態を表す指標として最も妥当なものといわれています。法人税法においても、確定決算主義のもとで企業会計基準が尊重されています。これは、企業側の事務負担を軽減するのみならず、課税当局側にとっても、税制の簡素化・徴税コストの軽減に資するものであり、重要な意義を有しているといえます。
 しかし、近年、会計基準の国際化の流れの中、数多くの企業会計基準が改正され、税務上で多額の申告調整を行わざるを得ない結果となり、確定決算主義の長所が損なわれることとなっています。
したがって、企業会計基準に基づいて適正に会計処理されたものは、税務上も極力妥当なものと判断して損金算入を認めると共に、法人税法の改正にあたっては、企業会計基準を十分に尊重し、税法が企業会計といたずらに乖離することのないよう配慮されることを要望いたします。

以上

平成17年9月27日

社団法人 情報サービス産業協会
会 長 棚 橋 康 郎

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