JISA平成15年度税制改正について自民党へ要望

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平成15年度税制改正に関する情報サービス産業界の要望

わが国経済は、輸出の増加や在庫調整が概ね終了したとの判断から景気は底入れしたとされたものの、金融機関の不良債権問題の長期化等が影響して、設備投資は今なお冷え込んでおり、持続的な物価下落によるデフレ状態が続いております。また、米国の企業会計不信に端を発した世界的な株安やドル安が進展したことにより、景気の先行き不透明感は一向に払拭できないままに推移しております。

こうした情勢のもとで、経済の活性化を図るためには、より幅広い視野から研究開発に注力すると共に、積極的に設備投資を行い、雇用を創出して企業の付加価値を高めていくことができるように事業環境を整備していく必要があります。

また、インターネットに代表されるネットワーク技術の進展により、「IT(情報技術)」が「ICT(情報通信技術)へと移行するなかにあって、情報サービス産業が、ソフトウェアを通じた企業と社会の仕組みづくりの担い手としての役割を果すためには、より安定した財務基盤の確立が不可欠であります。

つきましては、平成15年度税制改正において、以下の諸点について要望いたしますので、格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。


経済活性化に向けた税制

IT投資促進税制の創設

日本企業の再生には、IT投資が不可欠であるとの認識のもとで、今日わが国は世界第2位の情報化投資大国となっています。しかしながら、これまでの税制は、パソコン、サーバーなどのハードウェアに重点がおかれてきたため、ソフトウェアやサービスが中心になっている現状にそぐわない形になっています。

そこで、企業が、ITを単なる道具ではなく、経営戦略と一体化したインフラとして経営革新に活用することを支援するため、情報システムのライフサイクルに投資する、IT投資促進税制の創設を以下の通り要望いたします。

1. 対象事業者:IT投資を行う全ての事業者
2. 対象となる投資:自社用ソフトウェアの企画、制作・開発、導入、保守・運用に係る費用、ソフトウェアと一体的に導入するハードウェアの費用
3. 税制の仕組み:上記の投資額の一定割合の税額控除及び取得資産の即時償却の選択適用

研究開発税制の抜本強化

わが国産業の国際競争力強化のために研究開発を促進させることが重要であることは言をまたないところですが、知識を創造し続けることが企業に求められる21世紀の知識社会においては、研究開発についても工業化社会時代の概念にとらわれることなく、あるべき対象と範囲を捉え直して推し進める必要があります。

そこで、現行の増加試験研究税制を抜本的に改正し、知識が富を生む社会の創造に適した新しい研究開発税制の創設を以下の通り要望いたします。

1. 研究開発の定義:現行の増加試験研究税制の範囲に加えて、企業会計上の研究開発の定義とする(注1)。
2. 税制の適用対象:研究開発の専従者だけでなく、適用対象の特定を行えば、他業務との兼業者も対象とする(注2)。
3. 税制の仕組み:研究開発費総額の一定割合(最高2割)の税額控除方式

  • 産学共同研究や大学等への委託研究については、上記に加え、更に控除率を上乗せする。
  • 税額控除方式では、当年度の税額が限度となるので、それを超えた場合は、翌年度に繰り越すことができることとする。

(注1) 企業会計上の研究開発は、平成10年3月に大蔵省(当時)企業会計審議会から公表された「研究開発費等に係る会計基準」において、「研究とは、新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究をいう。開発とは、新しい製品・サービス・生産方法についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化することをいう。」と定められている。
(注2) 例えば、製造部門に従事している者が、1ヶ月の業務において40%が研究開発業務、60%が製造業務に従事した場合、40%部分における労務費、間接費相当分を研究開発費として整理することが考えられる。

連結付加税の撤廃

平成14年度から実施された連結納税制度は、企業グループ各社の損益を合算して法人税を課すものであり、グループ経営の推進を税制面から支援する制度であります。

情報サービス産業におきましても、一般的に新しい事業を開始した当初の業績は赤字になる傾向にあり、データセンター事業やコンテンツ関連事業など経営リスクが高い分野に子会社を設立して進出を図る場合も同様の可能性が見込まれることから、本制度には大きな期待が寄せられています。

しかし、今般、連結納税制度の利用に際しては、2年間の時限措置ながら2%の連結付加税を課すこととされたため、その障害となっているのが実情です。

そこで、2年間課される連結付加税を前倒しの上、早期撤廃を要望いたします。


情報サービス業関連税制

情報化関連機器に係る少額減価償却資産の損金算入限度額の引上げ

平成10年度の税制改正において、少額減価償却資産の取得価額基準が20万円以上から10万円以上に引き下げられましたが、これにより資産計上の対象となる物件が著しく増加し管理コストの増大を招いております。

そこで、経理事務の合理化、情報化投資促進の観点から、情報化関連機器に係る少額減価償却資産の損金算入限度額を10万円未満から30万円未満に引き上げるよう要望いたします。

減価償却資産の償却可能限度額引き上げ

減価償却計算の基礎となる残存価額は、取得価額の10%、耐用年数到来後の償却可能限度額として、同じく5%とされておりますが、これを法定耐用年数内に備忘価額(1円)まで償却できるよう要望いたします。

印紙税制度の抜本的見直し

印紙税は作成文書に担税力を求める文書課税でありますが、ペーパーレス化が進む中で、時代に合わなくなってきています。情報サービス企業がユーザーとの間でシステム開発を進める場合には、契約書以外にも仕様書など開発内容について確認するためのやりとりが電子メールの添付ファイルと紙文書とを問わず頻繁に行われますが、紙文書の場合には、しばしば印紙税法上の課税対象とみなされ、実務上の混乱を招いております。また、電子商取引が急速に進展しておりますが、電子商取引では課税されず、書面契約にのみ課税されるのが現状です。こうした実態は税の公平性を損ねるものであります。

そこで、印紙税制度を抜本的に見直し、撤廃していただきますよう要望いたします。

法人事業税の外形標準課税導入反対について

失業率の高止まり、企業のリストラに関する報道等により、雇用不安が高まる中で、企業は雇用の維持及び確保を図らなければならない社会的責任を負っています。そうした情勢において、雇用を拡大すればするほど増税となる税制案は、到底容認できません。

情報サービス産業にとりましても、成長産業としての雇用責任がありますが、売上高に占める人件費比率が他の業種に比して高いことから、産業の発展が阻害されることになりかねません。

さらに、課税標準に資本割を採用することは、担保不足により資金調達が困難な情報サービス企業の自己資本の充実を図る意欲を阻害しかねず、財務基盤の安定化につながりません。

以上から、法人事業税の外形標準課税の導入には反対いたします。

減価償却資産の償却可能限度額引き上げ

減価償却計算の基礎となる残存価額は、取得価額の10%、耐用年数到来後の償却可能限度額として、同じく5%とされておりますが、これを法定耐用年数内に備忘価額(1円)まで償却できるよう要望いたします。


その他

プログラム等準備金制度の延長(説明省略)

産業再生税制の拡充(説明省略)

以上

平成14年9月20日

社団法人 情報サービス産業協会
会長 佐藤 雄二朗

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