「戦略的IT投資促進税制(仮称)の導入及び研究開発促進税制に関する要望について」

情産1458
平成14年3月27日

経済産業省
商務情報政策局
局長 太田 信一郎 殿

社団法人 情報サービス産業協会
会長 佐藤 雄二朗

「戦略的IT投資促進税制(仮称)の導入及び研究開発促進税制に関する要望について」

拝啓時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

平素は当業界にご指導、ご鞭撻を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、ご高承の通り、わが国を取り巻く経済社会環境は、情報技術(IT)の進展による情報通信革命の到来により激変しています。1990年代の米国経済がITの活用を通じた構造改革によって再生を果たしたように、ITの利用が企業の競争力と経済構造に重大な影響を及ぼすことは、もはや政府並びに産業界全般に共通の認識となっています。

しかし、景気の先行き不透明感を背景として、IT投資を控える動きが出始めているのが現状です。企業の設備投資意欲を刺激して経済の活性化を図り、産業の国際競争力の回復と経済構造改革につなげていくためには、現行の税制上の優遇措置を見直す必要があります。

現行の設備投資関連税制は、設備・機械、すなわちハードウェアを対象としており、近年もっとも重視されているソフトウェア・サービスを投資対象とすることの対応ができていません。また、ITの利用は、企業規模を問わず国際競争力を決定づけるにもかかわらず、当該税制の利用対象は中小企業に限定されています。

さらに、現在利用されているソフトウェア技術は、欧米で研究開発されたものが中心ですが、IT関連の投資効果を高めるためには、わが国の実情を踏まえたソフトウェア技術の研究開発活動も合わせて促進させる必要があります。

そこで、以下の通り、税制に関する要望を致しますので、格別のご高配を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

敬具

1. 戦略的IT投資促進税制(仮称)

ITユーザー企業からの視点で上流工程から下流工程まで広くIT投資額として把握した場合の合計金額に対する優遇措置の導入

[適用対象となる投資額の範囲]

(例)・ ソフトウェア(含む導入費用) ・コンサルタント費用

  • ハードウェア ・ システム企画
  • サービス ・ 人材育成
    (ネットワーク構築、ソリューション、システムインテグレーション等)

[適用対象企業]

業種規模などを問わず法人全般


[税制優遇措置の方法]

IT投資総額又はIT投資総額の増加分に対する税額控除など。


2.研究開発促進税制

現行の増加試験研究費税制の拡充を行なうこと

[適用範囲の変更]

現行の試験研究費の増加分 ⇒試験研究費(※)として計上した額の一定割合に変更


[適用対象企業]

業種規模などを問わず法人全般


[税制優遇措置の方法]

現行と同じく対象額の税額控除


なお、上記の税制の施行にあたっては、企業における経理実務上の混乱及び税務当局とのトラブルが生じることのないように特段のご配慮を賜りたくお願い申し上げます。

以上


中小企業投資促進税制、中小企業等基盤強化税制 など
租税特別措置法第42条の4第1項 同施行令第27条の4

※IT分野の研究開発には、リナックス(Linux)のようなオープンで新しいOS(Operational Software ; 基本ソフト)の導入による新たな市場の開拓や、XML(eXtensible Markup Language)のような新しいソフトウェア言語を用いた新たなビジネスモデルの構築が行なわれることもあるので、試験研究費に加えて開発費を適用範囲に含めることも適当であると考えられる。ちなみに開発費とは、新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓又は新たな事業の開始のために特別に支出する費用をいう(法人税施行令第14条第1項第5号)。

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