「競争参加者の資格に関する公示」に対する意見書

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「競争参加者の資格に関する公示」に対する意見書を経済産業省に提出

1月10日付けの官報に、「競争参加者の資格に関する公示」が掲載されました。これは、各省庁における調達について、競争参加者(業者)を

1. 年間平均(生産・販売)高
2. 資本金
3. 流動比率
4. 営業年数

の4項目でADの4等級に格付けし、案件の予定価格によって各等級の参加資格の有無を定めるものです。対象となる分野は、物品の製造、物品の販売、役務の提供等など極めて広範囲にわたっており、この中には「情報処理」「ソフトウエア開発」が含まれています。

当協会は、「競争参加者の資格に関する公示」が、

  • 近年の政府のIT政策の流れと相容れないものであること。
  • 情報技術もしくは情報産業の特性を無視した不適切なものであること。
  • 当協会会員企業を含む我が国情報サービス企業に対する影響が極めて大きいこと。

を問題として、このほど経済産業省商務情報政策局情報処理振興課に対し意見書を提出し、同省を通じて政府に制度内容の再検討を要請しました。

以下に意見書を掲載します。

なお、この問題に対するご意見や関連の情報を、JISA調査企画部 田畑(e-mail:htabata@jisa.or.jp)までお寄せ下さい。


平成13年1月29日

経済産業省 商務情報政策局
情報処理振興課 御中

社団法人 情報サービス産業協会
会 長  三次 衛

行政情報化委員会
委員長  三和 正明

「競争参加者の資格に関する公示」に対する意見書

IT分野の政府調達における落札者選定のための業者の評価は、主に価格による評価から、価格要素・技術要素・管理技術要素などさまざまな要素を勘案した総合的な評価へと次第に移行してきている。

しかしながら、「官報(平成13年1月10日号)」に掲載された「競争参加者の資格に関する公示」は企業の外形的要素によって参加者を制限するものであり、上記のようなIT分野の政府調達の流れにそぐわない制度であると言わざるを得ない。

また、政府自身が電子政府への移行を目指している中、「ソフトウエア開発」及び「情報処理」分野における役務の提供について、このような形で競争への参加を制限することは、情報技術もしくは情報産業の特性を無視した不適切なものであると考えられるので、制度内容について再検討をお願いしたい。


1.問題点

公示の中の「別記4 付与数値」に掲げられた項目を見ると、「年間平均(生産・販売高)」「自己資本額」「流動比率」「営業年数」など企業の外形的な要素であり、かつ「年間平均(生産・販売高)」のウエイトが非常に高くなっている。この結果、大規模案件は一定規模以上の「年間平均(生産・販売高)」を有する企業しか競争に参加することはできない形となっている。

大規模な設備投資を必要とする製造業や、労働集約的な建設業などにおいては、確かに大規模案件について一定以上の企業規模を要求することには妥当性があるかもしれない。しかしながら「ソフトウエア開発」及び「情報処理」分野において他分野と同様の基準を機械的に適用することは以下のような問題がある。

(1) 近年のIT(情報技術)の急激な進展により、比較的小規模の企業が少数精鋭かつ短期間で高価値のソフトウエアを開発したり、優れた情報サービスを提供する事例も次第に増加してきている。
(2) たとえ企業規模は小さくとも、優れたアイディアと先端的な技術を持った企業を政策的に育成することが、先進的なソフトウエアの開発や生産性の向上あるいは高度な情報サービスの提供、ひいては我が国のIT革命の推進につながる
(3) ソフトウエア開発プロセス評価基準であるCMMを政府調達に適用する動きがあるが、これは単に価格だけではなく品質面も評価することが効果的な行政情報化の推進において重要であるとの考えに基づいている。
(4) 近年重要視されているインターネット技術、ネットワークセキュリティ技術などは、我が国においてはわずか数年程度の歴史しかなく、これらの最新技術を持つ新しい企業を切り捨てることは、政府の情報システム構築を不十分なものにするおそれがある。

なお、情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が策定した「e-Japan戦略」においても、「調達方式の見直し」の項において、「…情報システムの調達方式は、システム開発に係る評価指標の策定・導入等により、ソフトウエアの特質を踏まえたものとする」とされている。この点を鑑みても、「競争参加者の資格に関する公示」は我が国のIT政策とは相容れないものと言わざるを得ない。


2.「競争参加者の資格」制度に対する提案

下記のいずれかの案で再考をお願いしたい。

(1) 「ソフトウエア開発」及び「情報処理」分野については、「競争参加者の資格」制度を適用除外とする。
(2) 「ソフトウエア開発」及び「情報処理」分野について「競争参加者の資格」制度を適用する場合、より小規模な企業が大規模案件の競争に参加する資格が得られるよう、公示の「別記4 付与数値」項目を改正する。

具体的には、元請企業が多く参加している当協会の会員の中央値がAランクとなるようにする。

営業年数項目を除外する。

「物品の販売・役務の提供等」について「資格の種類別等級区分」を以下の通りとする。

70点以上: A

60点以上70点未満: B

35点以上60点未満: C

35点未満: D

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