リスクを先読みし、みんなが元気にプロジェクトを進められる環境を作る
- 2020.1.29
- プロジェクトマネージャ
Profile
- 桑波田さん
- キヤノンITソリューションズ(株)
SIサービス事業部 - 保育科卒
- 1991年入社
2人の子どもを育てながら、システム開発プロジェクトの管理責任者をしています。たくさんの人を取りまとめ、目標達成できるチーム作りをするのが仕事です。
プロジェクトを管理する責任者=PMとして、チームの人選から行う
私は、プロジェクトマネージャー(PM)という仕事をしています。PMは、お客さまに導入するシステムを、どれくらいの期間で、いくらの費用をかけて作るのかを最初に決め、その条件でゴールを達成できるように人を集め、システム開発の進捗管理をするのが役割です。
今担当している仕事には、ピーク時に50人もの人が関わります。コンサルティング、企画・設計、開発・構築など、人によって役割もさまざま。人材が不足するときは、外部に発注するのもPMの権限です。
関わる人が多いプロジェクトでは、コンフリクト(意見が対立しどちらも譲らない状態)などが起こりやすくなりますが、それを調整するのはPM。皆が元気に目的に向かって進み、納期内に完成できるようにする責任者ですね。
今取り組んでいるのは、物流を標準化するシステム開発
在関わっているのは、大手飲料・食品メーカーの物流標準化プロジェクトです。
現在の物流は、トラックがなかなか手配できず、ひっ迫しています。トラックの運転手さんが働くにも時間の制限があり、手が足りていません。そこで、計画主導で先を見越し、製品を運ぶためのシステムが必要になったのです。
日本中の需要を先読みし、どの時期に、どれだけの需要があるのかを予測し、それに沿って工場で生産。物流拠点に運び、欠品が起こらないようにします。しかし一方では、在庫過多になってはいけませんので、それを調整するシステムが重要です。
今回のプロジェクトは、グループ会社3社の業務標準化を図るものです。一部ではシステムが導入されていましたが、多くはベテランの勘と経験に頼り、Excelを駆使して業務をこなしていました。つまり、システム化には、たくさんの人の頭の中のノウハウを吐き出してもらい、それをプログラムに組み込む必要がありました。
開発は2期に分けていて、基本となるシステムは4か月前に完了。現在は、効果が出るように自動化、高度化する作業をしています。
開発したシステムによって業務が変るのが一番の喜び
今担当している案件は、少しイレギュラーなケースでスタートしました。企画の段階からお客さまのところに通い、理想を実現するにはどのようなシステムが必要か、また将来的に業務をどのように変えたいのかを調査する段階から関わりました。
お客さまの元にはいろいろな課題があり、それをあるべき姿に持って行くためのシステム開発をするのが私たちの仕事です。「改革をしたいけど、実際にどうすればいいのか分からない」というようなお客さまもいます。それを形にし、システムを使ったことで業務が変わってきた姿が見えたときが、とても嬉しいです。
リスクを先読みし、スムーズに対応することが重要
プロジェクトは予定通りに進まないと、納期が遅れコストもかかり、お客さまにもご迷惑がかかります。そのため、遅れを出さないよう早い段階で、「こんなことが起こるかもしれない」とリスクを見越し、事前に予防策を打つようにしています。
さらに、リスクが顕在化したときにどう対応するかを決めた、リスク対応計画も立てています。万が一のときの予備費を準備するなどいろいろな対策がありますが、フェーズの切れ目で見直し、先読みして、どんなことが起こっても、「予見していたからすぐに対策がとれる」という状態を目指しています。
仕事に必要だと思い学んだ「産業カウンセラー」と「コミュニティ臨床」
PMを始めた頃、隣のチームで品質管理の問題が発生し、連日徹夜して対応することがありました。次々と体調不良者が出てしまい、ギリギリの状態でプロジェクトが進んだのを目の当たりにし、「PMをするには、心の問題をきちんと勉強しなくては」と思い、産業カウンセラーの勉強をして資格を取得しました。
さらに、解決思考のカウンセリング、コミュニティ臨床も学び、当時の事業部で心理教育を何コマかやらせてもらいました。この経験は今でも役立っています。
複数のプロジェクトを管理できるようになりたい
学生時代は、和歌山の短大で保育を勉強していましたが、私は保母さんになる気もなく、高校で勉強した情報処理の授業がとても面白かったのを思い出し、就職先を、IT業界に絞りました。
和歌山で就職して、その後東京へ。そして結婚をして2人の子どもを育てました。
子育ては不測の事態の連続で、社内でSEをしている夫のサポート、地域のファミリーサポート制度、そして職場の理解で乗り切り、子どもたちは大学2年生と高校1年生になりました。
家事と仕事を両立してここまでやってきた中で、チーム作り、組織作りにとても興味を持つようになりました。今回のプロジェクトも「どんなに大変でも、絶対全員元気に最後まで一緒にやろう」と最初から決めていました。 今のところ、みんな元気でプロジェクトを進めています。
システム開発は、どうしても個人技に頼るところが多いのですが、組織の力と個人の能力のバランスを上手く取って、プロジェクトが円滑に進む組織作りをしていきたいと思っています。将来は、その人のスキルに合わせて、より能力を活かせるようにプロジェクト間をスライドさせるなど、複数のプロジェクトを総合的に管理できるようになりたいです。
私も経験がありますが、なぜかうまくいかない、思うようにならない、ということがまだあります。でも、それは後から振り返ったら絶対に意味があるのです。「あのときがあったから、今の自分はこうなったんだ」と思えるし、ちゃんと先につながるので、若い人には自分としっかり向きあいながら進んでほしいです。
#スキル#ワークライフバランス#働き方#商社・小売り・物流#文系出身
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