情報サービス産業における適正な人的資本価値の実現及び取適法施行に伴う取引適正化に向けての重ねてのお願い

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会員企業各位

2026年1月9日
一般社団法人情報サービス産業協会会長
 福永 哲弥

 改正下請法(取適法)及び改正下請振興法(振興法)が本年1月から施行されました。取適法では、法の適用対象に従業員基準が追加されるとともに、代金に関する協議に応じないことや協議において必要な説明又は情報の提供をしないことによる一方的な代金の額の決定をすることが禁止行為として追加されるなどの大きな改正がありました。また、書面交付義務(給付の内容その他の事項の明示等)については、中小受託事業者からの承諾がなくとも、電磁的方法による明示が認められるようになりました。加えて、「下請」という用語は、発注者と受注者が対等な関係ではないという語感を与えているとの指摘や発注者である大企業の側でも「下請」という用語は使われなくなっているとの時代の変化を踏まえて、立法政策の観点から用語の変更が行われた点も特徴です。

 今般、このような背景を踏まえ、JISAが定める「情報サービス・ソフトウェア産業における適正取引の推進のための自主行動計画」(以下「自主行動計画」という。)を改定いたしました(添付資料1)。下記をご参照ください。

 情報サービス・ソフトウェア産業における適正取引の推進のための自主行動計画(令和8年1月8日改定)

 会員企業におかれましては、自主行動計画を遵守し、労務費等の適正な価格形成・価格転嫁に向けて、より一層のご努力をいただきたく、私から改めてお願いを申し上げる次第であります。

 2024年6月及び2025年1月に出状したお願い文書(「会長レター」)でも申し上げましたが、賃上げ及び取引価格の値上げ、そしてそれらの前提たる適切な価格形成は、私達情報サービス産業における人的資本が本来的に有する「価値」、そしてその人的資本が創造する新しい「価値」の実現そのものであり、産業全体が単純な労働集約型事業モデルから価値創造型事業モデルに構造転換を図る上での必要条件として、自分事として取り組むべき事業課題だと考えております。勿論ながら、様々な要因から将来を見通すことが難しい現下の事業環境において、創出する「価値」を適切に把握し、契約価額や報酬体系につなげることは容易ではありません。しかしながら、この事業課題の解決こそが、技術の革新的進化を含む時代の変化に対応した情報サービス事業の変革・イノベーションであり、当産業における企業が新しい成長軌道を確保するためには不可欠であると考えます。是非とも宜しくお願いしたいと存じます。

 昨年10月から11月にかけて実施した自主行動計画のフォローアップ調査(添付資料2)では、追って、中小企業庁が取引条件改善状況調査において「受注側事業者」の調査を実施することを踏まえ、「発注側事業者」のみを調査対象といたしました。取引を行う仕入先(発注先)との協議を実施したと回答した事業者に、どちらから申し入れを行う場合が多かったかを問う設問(設問5)では、「双方」と回答した比率が昨年度調査同様、最も高い結果(本年度調査結果では53%。2024年度調査結果では46%)となりました。申入れを行う場合について、
「貴社(発注側)」からと「双方」の回答を合わせると本年度調査における回答比率は65%となります。

 「受注者からの要請の有無にかかわらず、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていくものとすること。」については、2024年6月、業界全体における対話促進及び価格転嫁の必要性を認識した結果、自主行動計画を改定し、私から会員企業の皆様方に文書(「会長レター」)をお送りし、お願いした際の最も重要な点です。今後とも発注者・受注者双方の立場で対話を促進し、人的資本価値を認め合い、労務費等の適正な価格形成・転嫁を実現することが必須と考えます。

 また、今回の調査では、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に記載された項目の遵守を問う設問(設問6)への回答も昨年度調査に比して改善の傾向が見て取れ、皆様のご努力に心から敬意を表したいと思います。

 個人がその能力を思う存分発揮し、創造する価値にふさわしい報酬を得、企業は収益成長という果実を持続的に得るようなデジタル社会の実現に向け、適切な事業環境の整備に努めて参りたいと考えております。引き続き、ご理解・ご協力の程、重ねてお願い申し上げます。

 なお、このたび、JISAでは、会員企業が適正な取引を推進する際の参考として2025年1月に策定した「取引適正化実践マニュアル」を見直し、第2版(添付資料3)を策定しましたので、ご活用いただきたく、併せてご案内申し上げます。

■添付資料1:「情報サービス・ソフトウェア産業における適正取引の推進のための自主行動計画」改定のポイント(令和8年1月改定)

■添付資料2:「未来志向型の取引慣行に向けて」に関する自主行動計画のフォローアップ調査結果(2025年度)集計結果
 
■添付資料3:JISA「取引適正化実践マニュアル」【第2版】


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