情報サービス産業における適正な人的資本価値の実現及び労務費等の適正な転嫁に向けたお願い (「情報サービス・ソフトウェア産業における適正取引の推進のための自主行動計画」の改定について)

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会員各位

令和6年6月17日
一般社団法人情報サービス産業協会会長
 福永 哲弥

 長らく停滞状況にあった我が国経済は、昨年及び本年の積極的な賃上げもあり、「潮目の変化」を迎えていると言われています。厳しい経済環境下にあって、賃上げに向けた厳しい努力を重ねられている皆様方に対し、心から敬意を表したいと思います。

 ただ、我が情報サービス産業についていえば、他業種に比べて、賃上げ等人件費・労務費上昇に伴う価格転嫁率の低さが問題視されているところでもあります。

 賃上げ及び取引価格の値上げ(人件費・労務費等各種コスト上昇分の価格転嫁を含む)は、私たちの情報サービス産業における人的資本価値の価値実現そのものであり、業界全体が自分事として取り組むべき課題だと思っています。

 当業界では、各企業は、各々発注者・受注者の立場を併せ持つ場合が多いと思われますが、発注者・受注者双方の立場で対話を求め、賃上げ及び値上げを実現することが必要だと思われます。業界外(=顧客)に自社の人的資本価値を認めてもらうためにも、まずは、業界内で発注者・受注者双方の立場で、人的資本価値を認め合い、さらには、発注者・受注者間の対話を促進し、人件費・労務費の上昇に伴う価格転嫁を行っていくことが必須と考えます。

 以上を踏まえ、自社の人的資本価値を正しく事業に反映すべく、まずは自らの賃上げを、そしてその価格転嫁にご努力いただきたいと考えます。そして、今この時点で会話が出来ていない方は、発注者・受注者の別にかかわらず、取引先とまずは対話を始めることをお願いしたいと思います。

 さらに、こうした業界全体における対話促進及び価格転嫁の必要性は、我が業界が自主的に策定し、これまで逐次改定してきていた「情報サービス・ソフトウェア産業における適正取引の推進のための自主行動計画(以下「自主行動計画」)」にも、明確に記載し、業界を挙げて推進したいと考えております。

 こうした観点から、今般、自主行動計画を緊急に改定いたしました。 (下記をご参照ください。)

「情報サービス・ソフトウェア産業における適正取引の推進のための自主行動計画」(令和6年6月17日改定)


 主な改定点は以下の3点です。
① 受注者からの要請の有無にかかわらず、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていくものとすることの明記
② 労務費については、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(内閣官房・公正取引委員会。以下「指針」)に掲げられている「事業者が採るべき行動/求められる行動」を適切にとった上で、取引対価を決定する事の明記
③ 原材料費やエネルギーコストの高騰があった場合は、適切なコスト増加分の全額転嫁を目指すものとすることの明記

 会員企業におかれては、以上申し述べさせていただいた本件依頼の趣旨を十分にご理解いただき、情報サービス産業の今後の健全な発展に向けて、賃上げと人件費・労務費等の上昇に伴う値上げ・価格転嫁に業界を挙げてお取組みいただきたく存じます。厳しい経済社会環境の中、容易に対応できる課題ではないことは十分理解いたしますが、そうした厳しい環境を打開するためにこそ必要なものでもあり、皆様方のもう一段のご努力を切にお願い申し上げます。



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