社内業務標準化から国際標準への道のり

標準化は、社内業務の標準化という身近な話題から、国際的な標準化というビジネス目標に直結した話題までの広がりを持っている。それぞれに具体的な推進動機や目標設定は異なるが、標準化というマインドには共通するものがあり、また標準化すべき内容にも共通するものが多くある。その段階的な姿をたどってみよう。

社内標準化

社内業務がバラバラでは、業務の見通しが悪く、また、生産性や品質も低下する可能性が大きい。特に繰り返し的業務やコミュニケーションの有効性が求められる場面では、管理面、技術面を問わず標準化が望ましい。標準化により社内の一体感やガバナンスも向上する。顧客に対しても業務の均一性をアピールできる。

グループ内標準化

企業がグループを形成している場合には、社内標準化と同様に、グループ内標準化で、グループ内のコミュニケーションの向上により、グループ企業の総合能力が向上することが期待される。

コンソーシアム標準化

特定のビジネステーマについて、新分野の開拓等で共同行動をとれる複数の企業がコンソーシアムに集まり、保有技術を出し合って、相互の利益のために標準化を行い、足並みをそろえて商品、サービスの提供を行うことは近代的なアクションであると言われる。

国内標準化

コンソーシアムや業界団体の発意に基づき、国内での標準化を公式に行う(いわゆるデジュール標準化)には、日本では日本工業標準調査会(JISC)に提案することとなる。現在は比較的に自由に誰でも提案を行うことができる。業界団体を通して提案することも有力な方法である。

国際標準化

同様に国際標準化を公式に行う(デジュール標準化)には、JISC等を経て(実務的には、JISCの下にある国内審議団体、IT関連では情報規格調査会などを経て)、国際的標準化団体であるISO、IEC、JTC1、ITU-T等に提案することとなる。国際化の道としては、そうしたデジュール標準でなく、コンソーシアム標準のままで国際標準化をねらう道、特定のテーマの国際団体の中でデファクト標準を形成する道、市場での消費者の選択を直接獲得してしまう道など複数の道が併存している。
標準が形の上で成立することとは別に、標準の内容を企業内や業界に普及し、また規格の企業内での実施体制、要員体制を向上させていくことも、実務的には必要となるチャレンジである。
日本の国策というべき「世界最先端IT 国家創造宣言」(平成25年6月)においても、ITの推進において、「標準化・共通化の推進」というテーマが重要であることを実質的に強調している。そうしたことを見ても、今後は一層、標準化の推進が重要となると思われる。

(2013年12月)

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