「標準化」に取り組むビジネスメリット

ビジネスから見た、標準化のメリットを簡潔にまとめてみると次のような観点が挙げられる。

技術的リーダーシップ

近年、組織経営における目標として「IT経営の確立による企業の競争力強化」が掲げられており、特にIT経営を確立するためには、IT投資に対するマネジメントが課題として指摘されている。IT投資に係るマネジメントプロセスの一つである「評価」は、従来経営者がIT投資を実施するか否かを判断するための「評価」に過ぎなかった。しかしながらIT投資の目的が多様化したことやステークホルダーへの説明責任が求められるようになったこと、IT統制の確立への対応が必要になったこと、などから、単なる独立した管理活動ではなく、包括的で継続的なマネジメントプロセスが求められるようになってきた。

コンピタンシー

標準化は、それ自身が技術的な先進性を内に含んでいることが多いほかに、関連する先端技術のもっともすぐれたものを統合して形成するということが多い。標準化に取り組む中では、それらの先端技術にも精通し、また標準化の過程で自社技術への業界のコンセンサスを多少なりとも獲得していくことができる。そのことは、標準化推進企業がその分野での高度のコンピタンシーをいち早く身につけ、また幅広く発揮していける可能性を示唆している。

互換製品とサポートの広がり

多くのITシステムは総合的なシステムであり、関連技術を集約して成立する。ある会社が得意な技術が標準化されて社会的に認知されていくということは、その技術への協業や支援を幅広く獲得できる可能性があるということである。自社の特定の製品、サービスだけでなく、それを保守したり、支援したりする技術、サービスが他社からも提供される可能性が広がる。このことは、消費者から見ても、製品やサービス提供の信頼性が上がるということであり、その技術の社会的な信頼感を幅広い面で高めていくということにつながる。
完成製品の形をとらなくても、ソフトウェア部品(ライブラリ)製品のような形で標準化を意識したビジネス展開の例もある。

(2013年12月)

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