四半期情報開示に関する見解とお願い

情経営1464
平成14年11月11日

(株)東京証券取引所
代表取締役社長
土田 正顕 殿

社団法人 情報サービス産業協会
IR研究会
座長 本田 元亨

四半期情報開示に関する見解とお願い

拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

平素は、弊協会の諸活動にご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

弊協会は、経済産業省の認可により、日本を代表するシステム・インテグレータや有力ソフトウェア開発会社、シンクタンクを中心として、主要な情報サービス企業574社(内、上場企業82社)で構成する情報サービス産業の全国団体であり、当研究会は、同協会の会員企業の自主的な参加によるIR担当者の研究会です。

さて、今般、貴取引所から公表された「四半期財務情報の開示に関するアクション・プログラム」は、金融庁から昨年8月に公表された、「証券市場における構造改革プログラム」、及び、本年6月の政府による「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」における「経済活性化戦略」をふまえて策定されたものであり、近年の投資家及びアナリストによるタイムリー・ディスクロージャーの要請からも、その趣意は理解できるものであります。

そこで、当研究会では、本プログラムの主旨に沿って四半期情報開示に積極的に取り組むべく、その対応について検討を重ねてまいりました。

つきましては、その検討結果をもとに、下記の通りお願いを記しましたので、趣旨ご賢察の上、何卒格別のご高配を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。

敬具


(1)当業界の構造問題へのご理解と投資家等に対する周知のお願い

情報サービス産業における四半期財務情報開示の実施にあたっては、投資家に開示内容を適切にご理解いただくため、当業界の特徴である業績の如何に関わらずに生じる季節的な売上と損益のズレについて周知することが必要です。これについては、以下に「業績予想に関する定性的情報」欄における記載を一例として掲げてご説明申し上げます。

【記載例】

◆四半期業績の特性について我が国では、企業が事業年度を4月から3月までと定めていることが多いため、システムの導入及び更新が年度の節目である9月及び3月になされるという実態があります。これに伴って、情報サービス企業の売上及び利益も9月及び3月に集中して計上されることが多く、46月期、1012月期が他の四半期に比して売上・利益が減少する傾向にあります。したがって、当該四半期の業績は、中間期及び通期の業績に必ずしも連動致しません。当該四半期の業績をご覧になる場合は、(当該四半期の)計画対比及び中間期、通期見通しと併せてご判断願います。

上記については、当研究会に参加している情報サービス企業はもとより、広く業界各社によびかけて、これらの企業のIR活動を通じて投資家及びアナリストに理解を求めていく所存ですが、貴取引所におかれましても、当業界のように、業種によっては様々な事情により四半期開示情報の見方に留意すべき点が存在することを投資家・マスコミ等に対して周知していただきたく、お願い申し上げます。

なお、上記については、情報サービス企業各社の事業構成、決算期及び取引慣行等により、一部の企業では該当しないことがありますので念のため申し添えます。


(2)開示標準様式に関するお願い

今般、貴取引所より公表されたアクション・プランに基づく標準開示様式については、以下の2点をお願い申し上げます。

1. 標準開示様式は、前年同期との対応のみですが、計画値との比較についても必要に応じて記載することを認めていただくようご配慮をお願い申し上げます。
2. 四半期の業績を公表する時点において、改めて中間期及び通期の業績の見通しを発表することは、前期及び前中間期の決算発表時に明らかにした業績見通しから日が浅く、また、一つのプロジェクトに数ヶ月から数年を要する情報システムの開発という事業の性格上、困難なケースが少なくありません。

そこで、安易に記載するとかえって投資家等に誤解を招く結果になりかねないため、四半期情報開示においては業績見通しの記載欄を設けないようご配慮をお願い申し上げます。

なお、当然のことながら業績見直しの修正が必要になった場合は、貴取引所の適時開示規則に基づいて速やかに開示することがその前提であります。

以上

(本件に関する連絡窓口)
(社)情報サービス産業協会 調査企画部 田中
〒135-8073 東京都江東区青海2-45 タイム24ビル 17階
TEL:03-5500-2610 FAX:03-5500-2630 E-mail:webmaster@jisa.or.jp

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