JISA、「意匠法による画像デザインの保護拡大に関する意見」を特許庁と産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会に提出

2012年11月19日

 平成24年11月13日、一般社団法人 情報サービス産業協会(JISA)は、特許庁制度改正審議室・意匠制度企画室から「画像デザイン保護拡充の方向性案」が示されたことを踏まえ、「意匠法による画像デザインの保護拡大に関する意見」を特許庁と産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会に提出しました。


意見の主な内容は以下のとおりです。

1.保護拡充の対応の方向性
 任意の機能を容易に追加できる物品を包含する「情報機器」の概念を導入し、情報機器に用いられる画像を「情報機器の画像」の意匠権として権利設定可能とすることに反対します。

2.情報機器の定義
 仮に「情報機器の画像」に意匠権を設定できるようにすることを認めるのであれば、「情報機器」に該当するものを小型画面付き端末(スマートフォン)までに留め、中型・大型画面付き電子計算機(パソコン、タブレットPC)は対象外とした上で、簡潔で理解しやすい制度設計とすべきです。
更に、情報機器で使用されるソフトウェア(OS、アプリケーション)をコンシューマー向けとエンタープライズ向けとに分け、後者は権利範囲から除外すべきです。
一方、「鑑賞・装飾目的の画像は権利の対象とならないことを明確化する」という方針には賛成します。

3.実施の定義
 仮に情報機器の画像を意匠法の保護対象とするのであれば、実質的な侵害行為者を絞り込んで善意の実施者を保護するために、画像の製造行為に関し「過失の推定」の適用除外を強く求めます。

4.特許庁の対応
 審査官ごとに判断がばらつき、登録意匠の水準・信頼性に疑義が生じることのないよう、審査レベルの適正化に向けた具体的な対応策を示していただくよう要望します。
また、「審査関連情報の公開推進」については、「可能な範囲で対応する」では不十分であり、抜本的な解決策の提示を要望します。

 JISAでは、今後も本件テーマに関する検討を深め、知財イノベーションの推進と当業界も含めた我が国産業の競争力強化に資する施策の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

<背景>
2011年から産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会において画像デザインの保護の拡大に関する意匠法改正の議論が行われています。
欧米・韓国に比べ我が国の画像デザイン保護対象が狭いことから国際的な制度調和を図るべきという意見もありますが、一方で画像に係る意匠権が認められるようになると、デザイン開発の自由度が損なわれ、産業界の活力を減退させる懸念があるとの理由で、意匠法の保護対象は現状を維持すべきであるとの意見も少なくありません。

 JISAは、
「エンタープライズ向けシステムの開発を主な事業とする情報サービス産業にあっては、顧客ニーズとの兼ね合いでデザイン面の独自性を打ち出しにくい等の事情を鑑みると、意匠法による画像デザイン保護対象の拡大はデメリットが大きい」
との認識のもと、これまでにも意見を表明してきています。

※産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会 http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/isyou_seido_menu.htm※JISA「意匠法による画面デザインの保護に対する意見」(平成23年9月13日)
https://www.jisa.or.jp/opnion/20110913.pdf


問い合わせ:一般社団法人情報サービス産業協会 広報サービス部 press@jisa.or.jp 03-6214-1121


    •  

    このページの先頭へ▲