JISA、「知的財産推進計画2012」の策定に向けた意見を内閣官房知的財産戦略推進事務局に提出

2012年2月6日

JISA、「知的財産推進計画2012」の策定に向けた意見を内閣官房知的財産戦略推進事務局に提出

 平成24年2月6日、一般社団法人 情報サービス産業協会(JISA)は、内閣官房知的財産戦略推進事務局に対し、「『知的財産推進計画2012』の策定に向けた意見」を提出しました。


  「知的財産推進計画」は、知的財産基本法に基づき、国が知的財産に関する計画をまとめたもので、2003年に最初の計画が策定されました。

 現在、知的財産戦略本部は「知的財産推進計画2012」の策定に向けて検討を進めており、現行の計画(知的財産推進計画2011)について見直すべき点や新たに盛り込むべき政策事項等の意見を募集しています(募集期間:平成24年1月16日(月)~2月6日(月))。

 これを受け、JISAは企画委員会知的財産部会を中心に検討を行い、このたび意見を提出する運びとなりました。

【意見の内容は以下のとおりです】
○「知財イノベーション競争戦略」について
グローバル・ネットワークにおける環境変化を見据え、「特許システムを含むグローバル知財システムの構築をリードすべき」という基本方針に異論はない。しかしながら、法改正や国際協定への加盟などの制度変化は産業界に影響(メリット及びデメリットの双方)をもたらし得るため、以下の二点について留意されることを強く要望する。

(1) 第一点は、競争と調和、オープンとクローズといった知財戦略における重要な視点をグローバルな知財戦略においても生かすことである。昨今の制度改定議論においては、諸外国に対応して知財制度の国際調和を図るという趣旨が間々見受けられるところであるが、産業構造や企業文化、事業上の強み・弱みなどが異なる各国事情を考慮せずに知財制度を諸外国に一致させようとすることは、我が国における知財保護のニーズに合致しないばかりか、我が国のグローバルにおける競争力をも阻害しかねない。むしろ、我が国の法令や制度運用など先進的な知財システムを諸外国へ発信・提案していくことも含め、関係各国との制度調和及び競争環境の基盤整備において我が国がリードしていくことを念頭に置きながら、関係省庁が緊密に連携し、各国との議論を積極的に行っていただきたい。

(2) 二点目は、制度改定に向けた検討作業の進め方についてである。知財保護の枠組みが大きく変わり得る場面では、新たな知財制度を活用する者は制度の内容や具体的な影響を想像しにくい立場にある。このことを踏まえ、制度改定の議論においては、拙速に進めるのでなく、関係者の理解を促した上で、丁寧に実態やニーズを調査する手順を必ず踏んでいただきたい。その際、議論をミスリードしないために、「知財保護」にはメリット及びデメリットの両面があることを理解させる工夫や配慮が肝要である。また、新制度の施行に際しても説明会の開催等、関係者の理解度を高める方策を着実に実施することをお願いしたい。

○著作権法における権利制限の一般規定(いわゆるフェアユース規定)の導入について
(1) 情報サービス産業においては、イノベーションの活性化及び新ビジネスの創出の促進に大いに寄与し得ることが予想される。したがって、速やかに法改正がなされ、関係者に周知する機会が設けられることを希望する。

(2) ただし、法改正の基礎となる文化審議会著作権分科会の議論では、権利制限の対象として想定されている行為(「著作物の付随的な利用」「適法利用の過程における著作物の利用」「著作物の表現を享受しない利用」)は極めて限定的であるため、知的財産の適切な保護を図りつつも、情報サービス産業を含め我が国の産業において、新たなビジネスへの挑戦を可能にするような実効性のある一般規定の整備を改めてお願いしたい。

(3) また、上記と併せて、著作権制度の利便性向上の観点から、権利制限の対象とされるべき事例集の作成・公表や周知の機会の設定など、権利者と利用者にとって予測可能性を高めるための措置も検討いただきたい。


問い合わせ:一般社団法人情報サービス産業協会 広報サービス部 press@jisa.or.jp 03-6214-1121

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