要約
高品質なソフトウェアを作るための手法として、レビューやテスト作業の充実、あるいはソフトウェア設計構造の最適化などがあり、ソフトウェアの品質についても、品質の概念としてISO/IEC9126シリーズなど、多くの定義とその測定手法が提案されている。
こうしたソフトウェア品質測定の提案には、どれだけレビューやテストをやればよいか、ソフトウェアの種類によってどの程度の品質と測定手法が必要かなどの具体的で明確な指針は数少ない。そのため、実際の開発では品質の定量的なコントロールが実現されず、ソフトウェア不具合やシステム障害が今なお発生している。
このガイドラインは、組込みソフトウェア開発の現場に、よりシステマティックな品質コントロール手法を導入するため、ソフトウェアの成果物・作業の品質を、指標を用いて可視化し、その程度に応じて適切な開発手法の利用に道筋をつけるための資料を目指している。
特徴
このガイドラインの特徴は、ソフトウェアについて「このくらいの品質」ということが、抽象的・感覚的な概念ではなく、様々な指標を利用することで具体的な数値として表せるようにするという考え方にも基づいている。以下がその手順である。
- 製品ごとにユーザから求められる品質をきちんと分析定義する
- その結果をもとに品質指標を具体的に定義する
- 各プロセスで得られる成果物と、成果物の確認作業の十分性を測定する
- 測定結果を品質確保のための改善活動に結び付けていく
このガイドラインでは、対象とするシステムの品質測定面から見た性格を明らかにするプロファイリングと品質目標設定手法、約30の品質指標の定義と測定方法、高品質作りこみのためのヒントなどが網羅されている。
対象読者は以下の通り。
- 開発プロジェクトや開発組織などをマネジメントし、個々の開発案件において実際の工程管理や品質管理を検討・決定するマネージャやリーダ
- 組込みソフトウェアを開発する組織において、組織や部門の開発プロセスの標準や品質に関する基本的な考え方を整備し、その運用を支援するメンバ
- 組込みソフトウェアを開発する組織において、品質保証など、ソフトウェア開発を間接的に支える支援グループのメンバ
公開元
https://www.ipa.go.jp/files/000005146.pdf
(2016年10月)