ISO21500　Guidance on project management （プロジェクトマネジメントの手引き）

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要約

　プロジェクトマネジメントに関するガイドラインはアメリカのPMBOKをはじめ、イギリスのBS6079、ドイツのDIN規格など、各国様々な規格が乱立している。多くの国の技術者が協同作業を行う国際プロジェクトでは、関連する用語やプロセス概念の意味や理解が異なることが多い。ISO21500はプロジェクトマネジメントに関する用語、コンセプト、プロセスの定義について、国際的な共通する理解を、基本ガイドラインとしてまとめたものである。

特徴

プロジェクトマネジメントに関する各国の規格を取り込み、オーバーアーチング（包合）するガイドラインであり、プロジェクトにかかわるハイレベルなコンセプト（概念）と、マネジメントプロセスが記述されている。
プロジェクトの概念では、プロジェクトに影響を与える組織外、組織内の様々なファクターとそのプロジェクトへの関連を述べている。この中でプロジェクトポートフォーリオ、プログラム、プロジェクトガバナンスなどとプロジェクトの関連を整理している。
このガイドラインでは、プロジェクトのポートフォーリオマネジメント、プログラムマネジメントの詳細は触れず、引き続きISO/TC258委員会活動でこれらの分野についてのガイドラインが作成される予定である。
このガイドラインでは10のサブジェクトグループ、5のプロセスグループで、プロジェクトマネジメントプロセスを整理している。10のサブジェクトグループは、「統合」、「ステークホルダ」、「スコープ」、「資源」、「タイム」、「コスト」、「リスク」、「品質」、「調達」、「コミュニケーション」であり、「ステークホルダ」と「資源」に他のガイドラインより重点を当てている。
プロセスグループは時間軸を表した、「立ち上げ」、「計画」、「実行」、「コントロール」、「終結」の5区分で、PMI（Project Management Institute：米国）のPMBOKガイドラインと共通なものである。
各マネジメントプロセスは、プロセスの概要と「主要なインプット」と「主要なアウトプット」が記述されているが、詳細なマネジメント技術や手法に関する内容は省略されている。
プロジェクトマネジメントの関連国際規格が順次制定されている。
　　－プロジェクト・ポートフォーリオマネジメント規格:ISO21504:2015 Project, programme and portfolio management -- Guidance on portfolio management
　　－プロジェクトガバナンス規格:ISO21505 Project, programme and portfolio management —Guidance on governance (2017年発行予定)