S2d IPA/SECセッション


                   

講演タイトル

システム障害事例に学ぶ、ITサービス高信頼化教訓
~再発防止のため、教訓や対策を業界を超えて幅広く共有する仕組みに向けて~

講師

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
システムグループリーダー 山下 博之

概要

ITシステムは、今や市民生活や社会・経済活動を支える重要インフラ分野等のサービスに深く浸透しているが、時々、以下のような報道が見られる:
・○○システムで障害か、終日つながりにくく
 ・・・原因は、法律改正直前の駆け込み需要と期末の締め処理とが重なり、想定外の大量入力にシステムの性能が耐えられなかった模様。
・□□システムで障害、午前中のサービス停止
 ・・・原因は、システムは本番装置の故障により予備装置に自動的に切り替わるようになっていたが、その切替えが失敗したためという。

 この背景には、システム障害の原因分析と再発防止対策が業界内で共有されておらず、類似の障害が何度も発生しているという実状がある。つまり、障害が発生してもその詳しい情報が公開されずに当事者のみで対処されることが多く、また一部の大規模障害については情報が公開されることがあるものの、特定の事例への対応として不明瞭な情報になっている場合が多く、他者の参考になりにくい。

そこでIPA/SECでは、ITサービスの障害事例情報の収集・分析と対策の検討を行い、その結果を普遍化した「教訓」として取りまとめ、「情報処理システム高信頼化教訓集(ITサービス編)2013年度版」として公開した(*)。現在、この取組みのような、教訓や対策を業界を超えて幅広く共有する仕組みの展開を図っている。
 
 本講演では、教訓集の内容と情報共有の仕組みの展開活動について説明する。
(*) http://www.ipa.go.jp/about/press/20140513.html

プロフィール

1981年京都大学大学院修士課程(情報工学)修了。同年、日本電信電話公社(現NTT)入社。以後、研究所において、通信制御処理システム、高機能通信プロトコル、分散協調処理、著作権管理、コンテンツ流通等に関する研究開発・標準化活動に従事。2003年10月に(株)NTTデータに転籍。2004年~2008年、JSTに出向。2009年4月に(株)NTTデータアイ入社、同時にIPAに出向。2003年10月~2008年4月、科学技術振興調整費プログラムオフィサー。2010年4月~2014年3月、情報処理学会電子化知的財産・社会基盤研究会主査。情報規格調査会SC6専門委員会委員長。IEEE、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。
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