『車椅子バスケットボール観戦』レポート

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『車椅子バスケットボール観戦』レポート

2018年3月4日(日)

第7回長谷川良信記念・千葉市長杯争奪 車椅子バスケットボール全国選抜大会
@千葉ポートアリーナ
参加者:小林、竹田、古澤、松谷、菅野(すがの)、溝尾

パラスポーツの中でも、ウィルチェアラグビーと並んで激しいスポーツと言われている車椅子バスケットボール。その迫力を是非、多くの皆さんにお伝えしたいと思い、今回の観戦イベントを企画、実行しました。

2月26日に実施した車椅子バスケットボール体験会(@多摩障がい者スポーツセンター)に引き続き、今度は、パラリンピアンの試合を観戦。

実際に体験したからこそ分かる、パラリンピアン達の超人的なテクニックと身体能力を目の当たりにして、観ている方もエキサイトしました。観戦した全員が、車椅子バスケットボールのファンになり、今から2020年東京パラリンピックが楽しみになってきました。



長谷川良信記念・千葉市長杯争奪 車椅子バスケットボール全国選抜大会とは

今回、JPSSCで観戦に行った大会が、「第7回 長谷川良信記念・千葉市長杯争奪 車椅子バスケットボール全国選抜大会」でした。この大会は淑徳大学の学生ボランティアによって企画、運営されている大会で、2010年に第1回が開催されて以来、継続的に開催されています。同校は、学祖である長谷川良信氏の「感恩奉仕と共生の実践」の教えのもと、ボランティア活動を積極的に展開しており、その一つとして障がい者スポーツの振興にも力を入れているのです。そして、その中心になっている総合福祉学部が千葉キャンパスにあることから、千葉市と共催で本大会が開催されているのです。

企画から、プロモーション、当日の運営まで、全てを淑徳大学の学生ボランティアが担っています。素晴らしい社会奉仕であり、同時に、素晴らしい教育だと感じました。将来を担う若者達が積極的に障がい者スポーツに関わる。そして、その企画から運営までの全てを担う。この教育の在り方に感銘を受けました。

パラリンピアンが全国から集結

本大会では、全国から選抜された6チームが優勝杯を掛けて競います。出場チームは、宮城MAX(宮城)、NO EXCUSE(東京)、千葉ホークス(千葉)、埼玉ライオンズ(埼玉)、パラ神奈川(神奈川)、ワールドBBC(愛知)の6チーム。日本選手権9連覇中の宮城MAXや本大会昨年覇者の埼玉ライオンズが優勝候補でしたが、何れのチームも実力は拮抗しており、どこのチームが優勝してもおかしくない状況です。

 

決勝戦を観戦

本大会は、3月3日(土)と4日(日)の二日間に亘って開催され、初日が予選リーグで、二日目の午前中が順位決定戦、午後が決勝戦でした。私たちは4日(日)午後の決勝戦を観戦。決勝戦の前には、車椅子バスケットボールの体験会も催されましたが、予想以上に応募者が多く、残念ながら私たちは参加出来ませんでした。

決勝戦の対戦は、宮城MAX  パラ神奈川

リオパラリンピック日本代表の主将率いる宮城MAXと、U-23選抜の若きエースを擁するパラ神奈川の勝負でした。結果は、75対57で宮城MAXの勝利。4年ぶり4回目の優勝でした。

第7回長谷川良信記念・千葉市長杯争奪 車椅子バスケットボール全国選抜大会 (動画)

筆者(小林)は、神奈川県民なので個人的にはパラ神奈川を応援していたのですが、残念ながら宮城MAXの安定感ある攻撃の前に、10点以上の差をつけられて負けてしまいました。

やはり日本選手権9連覇中の宮城MAXは強かった。日本代表主将の
藤本選手はもちろんですが、それ以上に目立っていたのが女性プレーヤーの藤井郁美選手。車椅子バスケットボールの国内大会では男女混合が許されているらしく、宮城MAXには2人の女性プレーヤーがいました。中でも藤井郁美選手は、ほぼフルタイムで出場し、宮城MAXのポイントゲッターになっていました。あれだけ激しいスポーツにおいて、男性と対等に勝負する彼女の姿は凄いとしか言いようがありません。

車椅子バスケットボールの試合時間は、通常のバスケットボールと同じ10分/1ピリオド×4ピリオドで行われます。ピリオド間のブレイクやタイムアウトなどを含めると試合時間は1.5時間~2.0時間程度。長いように思えますが、実際に観戦しているとアッと言う間です。それだけ試合に没頭していたと言うことだと思います。次は、是非、国際試合を観に行きたいと思います。

2020東京オリンピックに向けた注目選手

日本選手権9連覇中の宮城MAXに負けはしたものの、パラ神奈川にも凄い選手がいました。U-23選抜の古澤選手鳥海(ちょうかい)選手。二人とも、藤本選手と比較すると体格は小柄ですがスピードが圧倒的に速い。また、古澤選手は得点力も高く、3ポイントシュートが武器です。決勝戦でも、随所で3ポイントを決めていました。また、大会を通じての得点王にもなり、同時に大会MVPにも選ばれました。MVPと得点王の同時受賞は大会史上初だそうです。

もう一人の鳥海連志(ちょうかいれんし)選手も凄い。若干18歳で、車椅子バスケットボール界にすい星のごとく現れた将来のエースです。彼の身体能力とスピードは、古澤選手に匹敵します。

車椅子バスケットボールの選手には、障害の重度によって1.0~4.5までの持ち点が与えられ、障害が重い程、持ち点が少なくなります。そして、コート上の5人の合計点が14点以内になるような選手起用が求められるのです。障害の重度によって戦力に差が出ないようにすることが目的です。そして、障害の重度が重く、持ち点の小さい選手はローポインターと呼ばれ、チームには欠かせない存在になります。

鳥海選手は、持ち点2.0のローポインターですが、体幹などの身体能力はハイポインターと変わりがないくらい高いため、極めて貴重な存在なのです。実際に、試合を見ていても、重度な障害があるようには到底見えなかったです。彼にボールを集めれば、ポイントゲットの可能性が高まります。

今後も、この二人に注目して行きたいと思います。

(Reported by JPSSC座長 小林賢也)

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