『多摩障害者スポーツセンター見学&車椅子バスケット体験』レポート

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『多摩障害者スポーツセンター見学&車椅子バスケット体験』レポート

2018年2月26日(月)
10:30~12:00
@東京都多摩障害者スポーツセンター(国立市)
参加者(何れもイベントWGメンバー):千葉、小林、坂井、近藤、藤本、溝尾

「パラスポーツを知ろう、体験しよう」のイベントとして、多摩障害者スポーツセンターの見学と、車椅子バスケットボールの体験会を開催し、イベントWGから6人のメンバーが参加しました。
一般のスポーツクラブや体育館をパラスポーツで使用するのは、残念ながらハードルが高いようです。設備面もさることながら、サポート面や、利用者の精神的な負担もあり、障害者が一般のスポーツクラブや体育館を使用することは難しいと聞きます。本来であれば、障害の有無に関係なく、障害者も健常者も気兼ねなく利用できる施設があると良いのですが、日本ではまだ難しいようです。そんな中、障害者スポーツセンターでは、障害者の方が、気兼ねなくスポーツやトレーニングを楽しんでいました。何故なら、障害者専用の施設だからです。障害者手帳を提示すれば、全国のどこから来た人であっても、無料で時間制限なく施設や設備が利用出来るのです。
そして、施設見学やパラスポーツの体験も、常時受つけています。まずは、自分たちの目で見て、体験してみないとパラスポーツの良さ、楽しさが伝わらないと考え、この度、見学&体験のイベントを企画し、実行したのです。

 

多摩障害者スポーツセンターとは

多摩障害者スポーツセンターは、公益法人・東京都障害者スポーツ協会が運営する障害者専用のスポーツセンターです。同協会は都内に2カ所のセンターを持ち、一つが北区十条台にある東京都障害者総合スポーツセンターで、もう一つが今回見学した多摩障害者スポーツセンターです。北区の総合スポーツセンターの方が敷地は広く、屋外スポーツが出来る設備も備えています。一方の多摩障害者スポーツセンターは屋内競技に限っており、プールや体育館と合わせて、トレーニングジムも備えています。
多摩障害者スポーツセンターの場所は国立市。桜並木で有名な国立の大学通り沿いにあり、桜の季節には花見の人で大いに賑わいます。近所には一橋大学や国立高校、桐朋高校などの学校も隣接し、文教指定地域の中心部に多摩障害者スポーツセンターもあるのです。当日は現地集合でしたが、駅から現地に歩くだけで、清々しい気持ちになりました。それだけ良い環境にあるという事です。

多摩障害者スポーツセンターでは何が出来るのか(センター見学)

当日は、多摩障害者スポーツセンター職員の若井様にご案内頂き、センター内を見学させて頂きました。
施設の中心は、プールと体育館。
プールは25mの4コースですが、一般のプールと違う部分が4カ所ありました。
一番大きな違いは、プールの水面がプールサイドよりも数十㎝程高いことです。車椅子で泳ぎに来た人が車椅子から水面に入りやすいようになっているのです。
二つ目は、5m付近にライン上の泡が出ていること。視覚障害者向けに、残りの距離を伝えるための泡です。パラ水泳の競技会では、ガイドの人が長い棒で頭をタップして壁の位置を伝えますが、ここのプールではそれが出来ないので、泡で残りの距離を知らせるのです。この機能は障害者スポーツセンターだけの機能だそうです。
三つ目は、水面の内壁面に手すりが設置されていることです。はやりプールの中でも手すりは必須です。
最後、四つ目は、一番端のコースが浅いレーンになっていることです。両下肢障害の人や身長の低い人でも泳げるようになっているのです。
障害をお持ちの方は、水着になってプールで泳ぐ事に抵抗を感じる人が多いと聞きますが、ここでは皆さん気兼ねなく、伸び伸びと泳いでおられました。見学した時も、30人近い利用者が泳いでいました。
次に、体育館を見学しました。
体育館は、基本的に一般の体育館との大きな違いはありません。
あらゆるスポーツが出来るよう、予め多数のラインが引かれていましたが、それ以外は普通の体育館です。私たちが見学した時は、バドミントンをやっておられました。そして、私たちの車椅子バスケットの体験もこの体育館で行いました。
プール、体育館の後は、1階にあるジムを見せて頂きました。ここでは多くの利用者が様々なマシンを使ってトレーニングをしています。イベントWGの千葉さんも、当日は朝からこのジムで汗を流したようです。
障害者スポーツセンターだけあって、ここのジムには一般のスポーツクラブには無いマシンもあります。例えば、ペダルに手や足を乗せるだけで自動的にペダルが動くマシンもあります。障害で手や足に力を加えられない人のリハビリに使われるようです。また、車椅子用のルームランナーが設置されていたことも印象的でした。もちろん、エアロバイクやルームランナーなど一般のスポーツクラブにあるようなマシンも置かれており、サポート要員も常駐していますので、安全に気軽にトレーニングが出来るのです。
スポーツ設備としては、最後に卓球場を見せて頂きました。卓球台の大きさやラケットは健常者の卓球と全く同じですが、卓球台の脚が特別仕様でした。車椅子の人が卓球を楽しめるよう、台の脚が内側に入り込んでいます。また、ブラインド卓球用の特別な部屋も設置されていました。ブラインド卓球は、球に入った粒の音で打球の位置を聞き分けるため、部屋全体が防音になっています。球は打つのではなく、ネットの下をくぐらせて転がすのです。実際に体験させて頂きましたが、目を瞑って、球の位置を聞き分けるのは相当な集中力が必要でした。2~3球でも体力を消耗します。

スポーツ以外の設備も充実(センター見学)

多摩障害者スポーツセンターは、スポーツ以外の設備、施設も充実しています。会議室フロアには大小様々な会議室が設置されており、中には防音の部屋もあります。ここでは、会議だけでなく、打ち上げや、懇親会などで使用することも可能です。
1階のエントランス横には食堂もあり、昼食を含めて、一日中利用することが可能。トイレやシャワーも、様々な障害を前提とした設備が充実しており、重度障害の方も安心して利用出来るようになっています。
また、宿泊施設も備わっていますので、遠隔地から宿泊込みで利用しにくることも出来るのです。

車椅子バスケットの体験

センター見学の後半は、体育館にて車椅子バスケットボールの体験をさせて頂きました。
とは言っても、いきなり初心者が車椅子でバスケットボールを出来るわけがありません。まずは、車椅子を操ることから体験しました。車輪がハの字になった競技用の車椅子に乗り、真っ直ぐ漕ぐことから始めます。これが、“見る”と“やる”では大きな違い。なかなか真っ直ぐ進めません。何とか、真っ直ぐ進めるようになったら、今度は後進、周回、スラロームと進みます。  

スムーズではないものの、自分の意志で車椅子を操れるようになったところで、バスケットボールを持ってドリブルをしてみます。車椅子バスケットボールは、腿の上にボールを乗せて、2回までは漕げ、それ以上になるとドリブルの反則になるのです。2回漕ぐ間に、ボールを前方に放り上げておいて、またそれをキャッチして前に進むのです。車椅子を漕いで、方向を定め、ボールを放って、それをキャッチする。頭の中がパニック状態になりました。実際の試合では、これに車椅子のぶつけ合いが入りますから、想像も付かない難しさだと思います。
でも、あれが自在に出来るようになったら、楽しいだろうと思います。スピード感もあり、高度な技もある。これは、是非、多くの人に体験して欲しいです。
たかだか1時間程度の体験でしたが、意味のある充実した1時間でした。

 

2018年4月から大規模改修工事に

このような見学レポートをアップした直後で、大変残念なのですが、多摩障害者スポーツセンターは2018年4月から大規模改修工事に入るため、3月で一旦閉鎖されます。同センターは竣工後30年以上が経過しており、一部老朽化していることから、大規模改修工事を行うことになったそうです。再開は、2019年夏頃だそうです。2020年には間に合います。
リニューアルされたら、再び見学に行きたいと思います。
 

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