第3回 先進技術部会

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  平成30年6月6日、JISA会議室で第3回先進技術部会(部会長:端山毅(株)NTTデータ)が開催された。出席者12名。今回のテーマ「SoE化の進展」について意見発表と議論が行われた。

  • SoEとSoRに関する意識
    • 開発環境やフィールドワークの中で ”SoE的な概念”を取り入れてはいるが、ことさらSoEを強く意識しているわけではない。
    • SoRは基幹系システムで業務効率化に対する投資でデータ格納形式は堅牢。これに対しSoEはUXや販売拡大に対する投資でデータ格納形式は柔軟(外部データ取り込みなどがあるため)。最近ではSoRの膨大なデータをSoEに利用することやSoEの非構造データをSoRへ適用するSoI(System of Insight)という概念もある。
    • SoEは攻めのITとの文脈でよく用いられるが、クラウド化、仮想化、パッケージ化も同じように使われている。DevOps、アジャイルなども同様に認知されている。
    • (SoRの代表である)基幹システムは全てのデジタル情報の土台であり、否定する必要はない。ただし、今後は維持管理経費の節減がキーワードになっていくと考えられる。
    • 基幹システム系は、型にはまった情報を、品質・信頼性の高いシステムで安定的に処理するものだった。従って、業務フローを分析した上で、システム化の要求定義を行い、設計し、開発する一歩一歩確実に積み重ねていくWF型の開発が最適だった。
    • これに対し、SoEは失敗から学ぶ文化であり、PoCも失敗を繰り返すことによって成功に近付く。開発手法としては、アジャイルやDevOpsがあっている。ただし、最近では、基幹系システムの開発にもアジャイルの採用が出始めており、今後はもっと増えていくと考えられる。
  • 非定型情報を扱う技術とその意味
    • 最近は、従来の基幹システムとは違い想定外(型にはまっていない自由な形)の情報をIoTやAIを使って扱えるようになってきた。曖昧性を含んだデータ、Soft Data、アナログ的データが従来は処理できなかったが、これらの大量にあるデータをデジタル化して、取り込み、現実に処理できるようになった。
    • LINEやSlackで非定型、自由記述のコメントが飛び交う。その大量のコメントを分析すると、本音が見えてくる。ニーズ、ビジネスチャンス、改善の機会が見える。2chの意義も同様。玉石混交の情報の中に真実が含まれている。
    • SoRでは、明確な目的をもって、業務フローを定義し、必要な情報を入力、処理していた。その情報だけでは、円滑な業務サポートができない状況がある。従来は、改善するために、SoR内の定型情報を分析し、アンケートをとっていた。ところがこれでは本音が見えなかった。
    • 従来、典型的な業務の流れを理解し、例外処理についても知っていることが業務知識だった。これからは、いろいろデータが採れて、うまく使えばベテランでも知らない情報を引き出せる可能性がある。「要件定義を徹底せよ」という従来の主張は、問題が定式化できることが前提だった。
    • データの分析については試行錯誤が前提になる。仮説立案とデータによる検証の繰り返し。完璧にできるなら、既存の事業会社が実現してしまうはずで、ITベンダーに声はかからない。できないから、共創が必要となる。

(山本)

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