第4回 先進技術部会

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 1月25日(木)、JISA会議室で、先進技術部会(部会長:端山毅(株)NTTデータ)が開催された。参加者は10名。委員より社内での新技術教育についての取組事例と先進技術利用の取組事例2件の発表と質疑応答、今後の調査検討の進め方についてのディスカッションが行われた。

  1. ジャパンシステム先進技術教育事例(大澤委員)
     大澤委員より、教育事例の紹介が行われた。
    • イノベーション創出とアイデアを自由に出し合える企業風土を醸成するために、昨年イノベーション推進室を設置した。事業部門による持続的イノベーションだけでなく、破壊的イノベーションを起こせるようになることで、社会の重要な課題を解決できる企業に変革することを目指している。当初はイノベーション成熟度モデルがLv1だったが昨年末でLv2になり、今年はLv3への引き上げを狙っている。
    • 具体的な施策の一つとして、社内に技術コミュニティを設置し先端技術に関する定例的勉強会活動を実施中。コミュニティ参加者が新しいスキルを用いた様々な成果を発表会などを通して社内にフィードバックすると共に、人事評価を通して会社からのフィードバックが得られるように、経営陣の承認の下で実施している。
    • 将来的には全社員の16%程度(キャズム超え)が、この「共創のための発表会」に参加できるようになることが望ましい。
  2. ジャパンシステムのスマートシティ実証実験事例(大澤委員)
    • 福岡市の実証事業として、ソフトバンク、ボッシュと協力し、後付けの緊急時(事故など)通報用センサーアダプタをつかったテレマティックス・システムの実証事件を行っている。ブレーキや加減速、ハンドル操作などのデータを取得できる。
    • アダプタデバイスの提供がボッシュ、ネットワークがソフトバンク、アプリケーションがジャパンシステムという体制。
    • 公募に応じた100名のモニターを対象にアダプタを車のシガーソケットに取り付けてもらい、センサーが事故を検知すると家族へ自動通報する、運転レベルをスマホアプリで見える化・数値評価するなど自分の運転特性が体感できるなどの特徴がある。
  3. フジミックのAI取組事例
     伊藤委員より、AI及びIoTセンサー等の活用事例が紹介された。
    • TV放送では視聴者アクセシビリティ向上のために、字幕・テロップを画面に表示することが推奨されている。話している言葉をテロップにするのは、現状では熟練したスキルを持つ人がタイピングをしている。録画撮りの場合は時間に余裕があるが、生放送の場合は負担が大きい。そこでここに、音声認識AIを導入することによって作業の効率化を図ろうとしている。
    • この種の音声認識AIの精度を把握しようとして専用AI1種と知名度の高い汎用AIより2種を選んで実証実験を行ったところ、専用AIの認識精度がもっとも高かった。スタジオでアナウンサーが正しい日本語ではっきりと話す、というような条件のもとでは専用AIは実用に耐える認識精度を示したが、ノイズが入る街頭インタビューであるとか、複数の人が発話する局面ではとたんに精度が落ちる状況だった。バラエティ番組などでは全く使えない。
    • もう一つは、スポット広告を流すときにAIが使えないかを検討している。放送時間帯などによって、流すのは適当ではない広告もあり、どの時間帯でどのような広告を流すかには熟練した作業が求められる。広告主から送られてくる申込みフォーマットはばらばらであり、これをAIに認識させるためにフォーマットを統一するところの作業負担が非常に大きい。
  4. ディスカッション
    • 各社で社内コミュニティのようなものが多数できて、それをJISAでもっと多数と共有するような方向性になればいい。
    • AIを生放送のような状況で実用に供するには少なくとも80%以上、できれば90%以上の精度が求められる。50~60%程度の精度では、結局人が全てみなければならない為にコスト・労力の削減につながらないと判断できるため投資につながらない。録画放送などでは特定の場面では(編集を前提に)AIを導入できる目処がたっている。
    • AIで判断できるような形にデータフォーマットを共通化することが重要になる。状況毎に求められるデータフォーマットが違うので負担が大きい。
    • 投資とランニングコストの双方をにらんだ判断がエンドユーザーに要求される。

 次回は3月22日(木)15:00より開催予定。
 現状での中間報告とあわせ来年度何をしていくかについて議論していきたい。

  • 現状の深掘り
  • とりあげてきた事例から課題の整理
  • 今年秋頃にはセミナーを実施(何をテーマとすべきか)

(山本)

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