第3回 先進技術部会

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 12月7日(木)、JISA会議室で、先進技術部会(部会長:端山毅(株)NTTデータ)が開催された。参加者は13名。委員より IoT利用事例2件の発表と質疑応答、今後の調査検討の進め方についてのディスカッションが行われた。

  1. NECソリューションイノベータ事例(三宅委員)

    (1)NECグループのスマートシティプラットフォームについて紹介。
    • エッジコンピューティングに関心があって対応を進めていたが、データを収集したその先を考えていないと立ちゆかないという判断になった。
    • データの流通まで考えて基盤をつくるところが今までと違う。クラウドもデータの流れを意識している。特徴としてはOSSベースでモジュールを組み合わせて使う。共通インタフェースがあり、後から他社プラットフォームとつなげることも論理的には可能。欧州中心に開発が進んだFIWAREとプラットフォーム層の親和性を持っている。
    • IoTも下のレベルではデータ収集中心でパッケージを揃えているが、お試しや実証実験中心で、なかなか本番にいけない。我々としてはAIを中心に課題を解決することを中心に据えようとしている。データがたまったあとで、AIエンジンを使って解析しソリューションを提供しようという動き。
    • データ収集基盤と、AIとこれまで積み重ねてきた技術で構成。AIのソリューションとしては働き方を抽出するものもある。
    • 総務省ICT街づくり推進会議等にスマートシティ構想を提案中。
    (2)議論/質問
    • データをカプセル化して収集する。
    • エッジより下は個別対応が必要。(センサー設置条件等)、どの程度共通プラットフォームを使うかも個別対応、どのようなAIエンジン、解析ソリューションを使うかも個別対応となる。クラウドもいくつかタイプに応じてサービス提供する。
  2. 東芝デジタルソリューションズ事例(水野委員)

    (1)AIを活用したものづくりの事例について紹介。
    • 東芝デジタルソリューションズはグループ各種事業のICT化を進めると共に社外の顧客にICTソリューションを提供している。AIなどの技術によりデジタルトランスフォーメーションを推進している。
    • 東芝グループでエネルギーや社会システムづくりの歴史がありノウハウが蓄積されているので、それをデジタル化と結びつけ提供していく。IoTアーキテクチャーSPINEXとしてサービス提供している。
    • これを実現するキーとして2つのAI、アナリティクスAIとコミュニケーションAIとを持っている。アナリティクスAIは生産技術等のシステム最適化・自律化を支援するもので、コミュニケーションAIは人の会話や行動に関わるデジタル化を支援する。
    • アナリティクスAIは装置管理、品質管理、生産管理に応用できる。例えば検査から得られたデータを基に不良の原因を追跡したり、作業員の行動をモニタリングして作業時間を15%短縮させた等。
    • 半導体工場のセンサーデータは1日に2億件集まる。人間が分析しきれない量であり、AIを導入した。欠陥の自動分析と歩留改善、生産計画や搬送計画の最適化などが行われ、人手による作業が機械で実施できるようになった。
    • 射出成形の工程で金型による生産工程では、収集した温度データをディープラーニングにかけることにより金型の温度調整等を最適化する等生産の自動化が可能になった。
    (2)議論/質問
    • デジタルトランスフォーメーションはバズワード的ではあるが、例えばフラッシュメモリの競争力は価格と品質に拠るところが大きく、これを今まで人間に頼っていたが、AIを適用することでコスト削減につながっている。AIの導入が現場の改善につながることによって結果としてデジタルフォーメーションにつながるのではないか。
      工場では、数年前から見える化するためにデータを集めていたが、どういうようにデータベース化して使うか試行錯誤していた。データをどう扱うかが大きな課題だったが、研究開発センター、半導体工場とともに総合力をあわせて取り組んだ。
  3. ディスカッション
     端山部会長より、11月22日に開催された委員会の報告と、どういう技術者を揃えどう教育していくべきかが重要ではないか、と問題提起された。主な意見は次の通り。
    • 教育やセミナーの方向性を提示するのもアウトプットとしてありえるのではないか。
    • 簡単な開発や環境を整えることまではユーザでできるが、いざ信頼性とセキュリティも考慮したシステムを作るとなるとベンダーにしかできない。ユーザ単独では難しい。
    • AIエンジンは多数あり、特徴も少し違う。この違いや特徴を理解するスキルを持つ人やデータサイエンティスト的な人を確保していく必要がある。
    • ある程度開発の閾値は低くなっている。顧客からはAI精度を上げたいと言われている。
    • DBをどう使ってどう解決するか、ということを議論する段階にある。
    • AIの次にも何かでてくるだろう。それは手段であり、本質は新しい技術を使って何ができるか、ということだ。
    • レベルがあがったユーザに対応するためにベンダーサイドのレベルもそれなりにあげていく必要がある。
    • データの流通やサービスの流通を目指し、そのハブにベンダーがなっていくような方向性を目指すのはありえるのではないか。

(山本)

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