第2回 先進技術部会

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 10月27日(金)、JISA会議室で、先進技術部会(部会長:端山毅(株)NTTデータ・技術革新統括本部・シニアスペシャリスト)が開催された。参加者は11名。
 本部会では、AI、IoT等の新技術の動向把握とビジネスに活用するにあたっての課題について検討することを目的としている。第1回会合(9月22日)で北陸先端科学技術大学院大学・丹教授による「IoT動向報告」、10月7日にはNTTデータ「Technology Foresightの概要説明」を聞き、議論の土台となるべき情報共有を行ってきた。今回は、2つの事例紹介と、調査項目の分担について議論した。概要は以下の通り。

○畜産IoT取組事例(NTTテクノクロス・遠藤委員)
 背景として、日本の畜産農家は集約化され大規模化しつつあり、効率化が必要。また熟練した作業者が減る一方のため、外国人労働者など未熟練労働者でも作業しやすくして行くことが必要という状況にある。
 事例では、牛専用のセンサーを開発し、これを牛に取り付け監視することが出来るようにしている。牛の行動パターンをAIで類型化し、発情や異常/疾病を検知し畜産農家に伝えることが目的。センサーの電池消費を抑える工夫、防水などセンサーの仕様固めから、農場へ出向いてセンサーを牛にとりつけ保守を実施することまでITベンダー技術者が実施している。なお、プロジェクト実施にあたり、農業ベンチャー及び飼料会社と協力している。直接農家とやりとりしたことがない当社だけではビジネスとして成り立たず、飼料会社や農業ベンチャーの方が具体的なニーズを引き出せる。
○IoT取組事例(NTTコミュニケーションズ理事・エバンジェリスト宮川IoT室長)
 日本では通信の秘密は法律で守られているので意識が希薄になりがちだが、海外ではそのようなことはないので、暗号化等によるデータセキュリティ確保は必須と考えるべき。また、DDoSによる見えない被害は拡大しており、その発信源にならないようIoTのエッジ側セキュリティ対策を検討しておく必要がある。当社は、IoTプロセシングをクラウドに移し、クラウドからIoTアクチュエータを動かすことを可能にしている。
 具体的事例としては、F1グランプリでの車載システム・センサー情報をクラウド上でAI分析し、その結果をピットやドライバーにリアルタイム指示する等を行っている。また化学プラント向けIoTで、耐熱仕様のセンサーから温度をセンシング、AIで分析・監視するサービスを提供している。化学プラントでは、事故には該当しない小さな爆発のような化学現象は頻発することがあり、このような現象を20分前に検知、警告を出すようにしている。クラウドからのフィードバック制御に取り組んでおり、事前に兆候を検知しWarningを出すという使い方は実用化されている。

(山本)

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