第2回 先進技術実践委員会

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 11月22日(水)、JISA会議室で、先進技術実践委員会(委員長:植木英次(株)NTTデータ代表取締役副社長)が開催された。参加者は18名。
 冒頭、開会にあたり植木委員長から「AIなどは数年前はあまり話題になっていなかった。最近では量子コンピュータなどの話題も出始めている。これも1年後には対応が必要になるかもしれない。先進技術の動きは速い。JISAとしてもこれらの動きを捉えながら、実際のビジネスに活かしていかなければならない」との挨拶があった。。

  1. Connected Industries 推進に向けて
  2.  経済産業省情報産業課ソフトウェア産業政策室・和泉憲明企画官より、Connected Industries 関連政策について説明が行われた。
    • ソフトウェア戦略は、これまで公開用としてとりまとめられていないので、当室が担当し課題から整理していきたい。本委員会等で業界の貴重な意見をうかがいたい。
    • 経産省の調査によれば情報サービス業は年間2%前後成長しており、今後もある程度成長すると考えられる。しかし、ヒアリング等による調査では、伸び率は少し高いと捉えられているものの将来については右肩下がりの成長と考える人が多い、という結果がでている。特に、将来の人材不足が懸念されているが、必要と見込まれている人材はIT企業側情報システム部門の技術者ではなく、ユーザ企業において情報セキュリティやAIなどの先端技術の利活用を先導する技術者が不足するというミスマッチとなっている。
    • 内閣府ではSociety 5.0 と名付けているが、経産省は産業界のデジタル化へのレベルアップがSocietyに変化をもたらすと見ている。その変化をもたらす産業界のあるべき姿をConnected Industriesとして位置づけている。鍵となるのは産業連携とデータ共有・利活用、そして人材となる。
  3. 日本商工会議所情報化推進部・小松靖直部長
    • 人材不足はIT産業に限ったことではなく地域・中小企業でも同様である。
    • 中小企業経営者にとっての関心はシステムの機能よりも、システムの導入がどのように売上げ増や経費削減に結びつくかにある。それが見える形でないとIT/IoTへの投資に踏み切れない。経営者と実務担当者への気づきと納得性が重要だと考えている。そのためにはコストが見え、信頼できるパートナーであることを中小企業経営者に納得してもらう必要がある。多くの中小企業は信頼できるIoTパートナーを求めているし、IoTへの関心を持ち、身の丈に合ったお金を払う準備もある。
    ○議論
    • 難しいことだが、本業がわかってITがわからなければいけない時代になる。SEで入ってもビジネスや工場の現場を3年経験する必要がある。
    • 業務領域のドメインと業界横断的なドメインに分け、経験を積ませる必要がある。
    • AIを使える技術者、使える仕組みの提供考える必要がある。
  4. 部会進捗状況報告
    1. 先進技術部会活動について端山部会長より以下、報告された。
      3度の会合を行い、現状についてのインプットを実施してきた。
      端末のデバイスが直接アプリケーションサーバーと繋がることについては管理上の点で問題がある等の指摘があった。事例としては、畜産IoTやF1でのクラウド利用の例が紹介された。
      ソフトウェア技術者でありながら、センサー開発から農場へ行って牛へのセンサー取り付けをすることまでやるというような事例があり、これは議論に挙げられたIT技術者の現場理解にもつながる話しである。
    2. 情報技術マップ部会活動について、山口部会長に代わり事務局より報告した。
      まもなく今年度調査が始まる予定であり、調査項目としては先端技術についても取り入れている。
      結果は来年5月頃に取りまとめる予定である。
    3. 情報セキュリティ部会活動について、柴崎部会長に代わり事務局より報告した。
      事業上のセキュリティ課題等について議論を行った。
      委員長より助言のあったJISA会員企業のビジネスに役立つセキュリティについても検討してみたい。
    4. 要求工学実践部会活動について、青山部会長にかわり事務局より報告した。
      会議をアイデア創出のための共創スペースを提供している企業で委員会を2度ほど開催し、このような試みが要求工学に及ぼす影響を実体験した。
      12月に「デジタルビジネスを主導する要求工学」をテーマにシンポジウムを開催するべく企画と準備を重ね、案内する段階にいたったことを報告した。

 最後に、植木委員長が、次回会議は2月1日に開催、島津製作所の製造業取組事例の紹介とディスカッションを行うことを紹介し、閉会した。

(山本)

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