第1回 先進技術部会

印刷ページを見る

 9月22日(木)、JISA会議室で、先進技術部会(部会長:端山毅(株)NTTデータ・技術革新統括本部・シニアスペシャリスト)が開催された。参加者は13名。
  冒頭、事務局より平成29年度事業計画に基づき先進技術実践委員会の役割及び本部会の設置趣旨と活動計画について説明が行われた。また委員会で端山部会長が選任されたこと、部会活動の目的として30年度末までに何らかの提言を含む成果をとりまとめたいことが報告された。当面今年度は年度末まで6回程度の会合と担当分野を決めた調査を行う予定。
 続いて端山部会長の司会により以下の通り議事進行した。

  1. 部会長挨拶及び委員自己紹介
     「デジタルビジネスへの関心、IoT、ビッグデータ、AIなどの先進技術への関心がユーザー、ベンダーともに急速に高まっている。これは事実であり大きな変革もあり得ると思うが、実は問題・課題がきちんと整理されていない。現在の複雑な状況を整理・議論して、きちんと理解する必要がある。チャンスでもあり危機でもあるという状況を具体的に認識していくのは難しいところもあるが、面白い時代であることは間違いないと思う。調査など皆さんの協力をいただきながら進めていきたい」旨、部会長挨拶と自己紹介が行われた後、各委員より現在の取組事項及び自己紹介が行われた。
     IoTによってアイデアを形にするのは簡単になった。PoCは簡単にできるが大規模に展開するのは難しい現状にある。つなぐとそれぞれの会社の分担があって、ブラックボックスの部分が多いし、論理的でない個人の気分や思考がビジネスに反映されやすい。レポートを書いた瞬間にすぐに古くなるというほどの技術のスピード変化がある。その中から普遍的なものを見つける活動をしていきたいという点で一致した。
  2. 「IoT動向報告」北陸先端科学技術大学院大学・丹康雄先生
     まず、現状について共通の認識を持ち議論の土俵を同じとすべきという観点から、IoTについて造詣の深い北陸先端科学技術大学院大学・丹教授よりIoTの動向についてお話を聞いた。以下は丹教授の発表の概要。
    • IoTは古くは1980年代からユビキタスと言われ、方向性が示されていた。
    • 1990年代からのインターネットの普及、2000年前後からブロードバンドの普及によって、ネットワークが高度化し、一方で組込ソフトウェアも進歩した。
    • 2005年ごろにもIoTという言葉があったが、これは現在とは別物で、RFIDいわゆるタグの利用技術だった。
    • M2Mというものもあったが、今ではIoTのエッジ部分に位置づけられる。
    • 最近になって、AIの発展、Deep Learning、ビッグデータの活用などの展開があり、これを組み合わせたものをIoTシステムとして意識するようになり、社会へ大きな影響を与えるようになった。
    • インテリジェンスがネットワークのどこかにあるということと、アクチュエータがあることがこれまでと違う。
    • ドイツのIndustrie 4.0などに日本も刺激を受け、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)、IoT推進フォーラムをオールジャパンで立ちあげた。
    • RRI関係の活動では、マップ上でどこがIoT推進プロジェクトを実施しているかわかるようにしている点がいい。活動の重点をCPS(サイバー・フィジカル・システム)においているようにみえる。
    • ITUで定めたIoT関連リファレンスモデルは、アプリケーション・レイヤー、サービス・サポート・レイヤー、ネットワーク・レイヤー、デバイス・レイヤーの4階層となっている。
    • デバイスを管理するためには、ネットワークやIoTプラットフォームを介在させることが管理上重要と考えるが、最近の米国CESなどではデバイスからいきなりアプリケーションサーバーをつなぐ2階層モデルが出現していた。このモデルを推進するのは管理やセキュリティの点で適切とは思えない。
    • IoTで注意しなければいけないのはアクチュエータがネットワークのどこかにあること。アクチュエーターは仮想社会と実社会をつなぐものであり、アクチュエータがあることにより人を殺すこともできる。
    • したがってセキュリティ・安全管理が極めて重要。
    • サイバーセキュリティとIoTセキュリティは基本的に異なっており、物理的な被害を防止する対策(遮断等)を考慮する必要がある。
    • 医療や建築基準(耐震)など、規制によりデータの利活用が難しい領域が存在する。
  3. 会議終了後懇親会を実施して閉会となった。

(山本)

  •  

このページの先頭へ▲