第3回 ビジネス変革委員会

 12月9日(金)、JISA会議室で、ビジネス変革委員会(委員長:島田俊夫(株)CAC Holdings取締役会長)が開催された。参加者は20名。

  1. 研究分野の紹介と連携について
     産業技術総合研究所・研究戦略部イノベーションコーディネータ・神徳徹雄氏を招き、産総研と産業界の情報・人間工学領域の連携の方法について発表と意見交換をおこなった。
    • 産総研は、約3,000人の職員に加え、企業から1,800人、大学から1,900人の研究職受入を行っていること(情報人間工学領域は全体の13%)。
    • 収入は989億円、うち民間企業からの受託収入7.5億円、資金提供型共同研究4.2億円となっていること。
    • 連携サポートのための専門スタッフがいて、連携プロジェクトの企画立案、研究、受託調整等の調整、技術開発のメニュー、新規事業開発、人材育成等等について相談にのってくれること。
    • 企業との連携の形としては、技術コンサルティング(技術の目利きや事業化コンサルティング)、共同研究(企業からの研究出向者と産総研の研究者で構成される連携研究室の設置など)、受託研究(産総研のシーズを利用して行う研究開発)などがあること。
    • 産総研の設置するテーマ別研究会、コンソーシアム(例:人工知能技術コンソーシアム)に参加することによって、最新の研究に触れることができ、法人や企業同士のマッチングや協働の場としても役立つ。
    • 情報人間工学領域で行われている研究は、人間情報研究部門、自動車ニューマンファクター研究センター、情報技術研究部門、人工知能研究センター、知能システム研究部門、ロボットイノベーション研究センターがある。
  2. 民間企業によるデータエクスチェンジについて
     (株)日本データ取引所 代表取締役 森田直一 氏を招き、民間企業の保有するデータを広く共有し、ビジネスに活用できるようにするための取組について意見交換をおこなった。
    • IoT+クラウド+AIによるシステム構築の時代には、データの利活用が死活的に重要な意味をもつ。
    • ビッグデータという言葉は一般化してきた。2005年からこれまでにデータの流通量も10倍になってきている。IoT時代になり更に飛躍的に増加するといわれている。
    • 流通するデータは 、Open Data、Cleansed Data、Tradable-Data、Owned-Dataの4種類にカテゴライズできる。
    • Open Dataは利用しやすいが価値としては高くはなく、Owned Dataは社内活用データで有り価値が高いが、秘匿されることがおおい。
    • Owned Dataに準じる価値あるデータで、売買対象に出来るTradable-Dataの流通を進めることが今後のビッグデータ利用にとても重要である。
    • しかし、実務担当者や企業にとっては様々な壁があり、データの売買に結びつけるには、理解を深めることや壁を取り払うための様々な支援が必要である。
    • 特にデータ流通の過程では様々なステークホルダーが関与してくることからよけいに壁が複雑になる。
    • 各段階での壁を取り払うのは非常に難しい作業でもある。
    • 企業のデータ活用を推進するには次のようなステップが必要である。データの可視化→判別・識別→分類(クラスタリング、ファイリング、マッチングなど)→予測・検知→最適化。
    • 実証実験を行いつつ、モノと同じようにデータが流通する日がくることを目指してプラットフォーム作りを行っていきたい。
  3. その他
     事務局並びに和田委員より、日本リモートセンシング学会(RSSJ)と協力して行っているリモートセンシングデータのデータカタログ作成について進捗状況を報告した。
     RSSJでは、地球観測衛星が取得するリモートセンシングデータについて、どのようなデータが、どのような形で、どこに保存されており、価格はいくらぐらいかをカタログ形式で作成し、公開することによって、産業界における導入・活用の推進に役立てようとしている。本委員会の有志メンバーとの会合で出された意見がほぼ取り入れられる形でプロジェクトが進んでいることが確認された。なおデータカタログの作成は3月末までに修了し、ネット上で公開される予定。
  4. (山本)

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