平成24年6月27日、第1回市場委員会契約部会(部会長:向浩一、コムチュア(株) 代表取締役会長)が、JISA会議室において開催された。会議にはメンバー他19名が参加した。
当日は、新メンバーの自己紹介の後、以下のとおり会議が進行された。
(1) 平成24年度市場委員会契約部会の活動について
契約部会の位置づけや企画書の確認を行った。活動内容は以下のとおりである。
○契約関連法制(債権法改正等)への対応
法制審議会民法債権関係)部会での動向を踏まえ、経済産業省と連携を図りつつ、JISA報告書22-J007『民法(債権関係)の改正に伴い考慮すべき情報サービス取引上の課題』に収録した課題や提言の反映を目指す。
○近年の下請取引適正化に関する取組
「情報サービス・ソフトウェア産業における下請適正取引等の推進に向けたガイドライン」の周知等を通して遵守を促進する。
○請負適正化の推進(ICT技術者就労調査結果の展開等)
JISA報告書22-J006『情報サービス産業における労働者の保護と産業競争力の強化に向けて~「取引及び就労の実態と関連法制に対する労働者の意識調査」からの考察』や改正労働者派遣法等関連法制の整備状況を踏まえつつ、請負適正化の観点を中心に、コンプライアンスの徹底に向けた取組を進める。
・改正労働者派遣法の情報サービス業への影響について検討する。
・平成21年度にまとめた「適正な契約類型と契約方式の選択及び適正な運用のための業界ガイドライン」の見直しを行う。
なお、本部会の活動に当たっては、債権法改正対応WG、派遣・下請法対応WG等、部会内指名委員で編成するWGを設け、効果的かつ機動的に活動を進める。
(2) 本部会の活動テーマに関するこれまでの取組について
民法(債権関係)の改正に係る取組として、契約部会債権法改正対応WG座長の大谷和子氏((株)日本総合研究所 法務部長)が、現在行われている法制審議会民法(債権関係)部会での審議状況とその対応について、「債権債務関係における信義則の具体化」「契約締結過程における説明義務・情報提供義務」「約款の組入要件に関する規定の要否」「約款の定義」「不当条項規制の規定の要否、適用対象等」を中心に紹介した。
続いて、契約部会派遣・下請法対応WG座長の葛西義昭氏(新日鉄ソリューションズ(株) 法務・知的財産部 法務グループリーダー)が、請負適正化に係るコンプライアンスの徹底について報告した。報告の中では、改正労働者派遣法の特徴や関連政省令等の動向についても紹介された。
(3) ソフトウェア開発委託契約とトラブル防止に向けて
飯田耕一郎弁護士(森・濱田松本法律事務所)から、スルガ銀行対日本IBM損害賠償請求事件・同請負代金等請求反訴事件(平成24年3月29日東京地裁判決)への考察をお聞きした上で、意見交換を行った。
飯田氏は、本件判決がプロジェクト・マネジメント義務の内容を明確にしたかどうかはともかく、プロジェクトがチャレンジングな試みであるならば、リスクを伴うことについても予め契約当事者間で合意しておくことが必要と見解を述べた。
【参考】
○JISA法務情報サイト
○JISAブックレッツ6「情報サービスと著作権」改訂第2版の発行について
○JISAブックレッツ8「システム開発を成功に導く法務・契約ハンドブック -プロジェクトマネジメントの基礎知識-」の発行について
(茂木)