第3回 企画委員会 企画部会

 平成24年11月1日、第3回企画部会(部会長:島田俊夫、(株)シーエーシー会長)がJISA会議室において16名の出席により次の3点を議題として開催された。

1.第3回構造改革シンポジウムの開催準備状況の報告

2.「ワークスタイル変革とIT」WG 企画案の検討

3.事業計画策定に向けた構造改革フレームに関する報告

1.第3回構造改革シンポジウムの開催準備状況の報告

 事務局から第3回構造改革シンポジウムの開催準備状況について報告を行い、参加申込数が25名と振るわない原因について意見をもとめた。

 この結果、プログラムの変更(講演者の追加)に合わせて再度開催を案内する際に、今回のシンポジウムのテーマであるワークスタイルの変革がもたらす企業経営上の収益性や生産性の向上に言及した案内に修正するとなった。

2.「ワークスタイル変革とITWG 企画案の検討

 前回の当部会において、第3回構造改革シンポジウムを「ワークスタイルの変革とIT」をテーマに開催すると共に、このテーマによるプロジェクトをトライアルで実施するWGの設置が合意された。これを受けて今回はその企画案の検討を行った。

 その企画書案における課題認識と活動内容は次のとおりである。

「ワークスタイル変革とITWG 企画案(抜粋)

1.課題認識

 3.11によるBCP/BCMへの意識の高まりにより、再びテレワークへの注目が高まっている。加えてBYOD/BYOCやNOMADといったキーワードも出現し、ワークスタイルそのものが大きく変わる兆候も見受けられる。また、スマートデバイス、クラウドサービス、ソーシャルメディアの台頭に伴い、企業内インフラ構築・運用の責任分界点が変化し、社内や情報サービス産業に属する企業に委託していた業務の一部がクラウドサービスやBPO事業者(シェアードサービス事業者)に流れていくことになる。実際、DaaS(仮想デスクトップのクラウドサービス)事業者は2012年9月の時点で、16社以上存在し、同業、ハードウェアメーカーだけでなく、NTTドコモなど異業種の参入も多い。情報サービス産業としては事業機会損失的な観点からも、新たな事業機会創出観点からも看過できない状況にある。

 このような状況下にあって、JISA会員企業は、顧客のパートナーとして、顧客のビジネスを変える支援を行う知識集約型産業との原点に立ち返って、顧客のビジネスを支え、ビジネスを変える支援を提案できなければならない。ビジネス改革、改善にあたってICTの重要性は疑いないが、技術サービスの提供だけでは、顧客のパートナーとして的確な提案をすることができなくなっていることを認めなければならない。この新たな時代に、より生産性が高くかつワークライフバランスにも配慮したワークスタイルを実現可能とするためには、例えば労働法との関連やセキュリティ、共用サテライトオフィスの可能性追求など個社で取り組むには大きすぎる課題を解決していかなければならない。JISAとしてこの課題解決の方向性を示すことは会員企業の振興につながるとともに我が国経済社会の発展に資すると考えWGを設置するものとする。

2.活動内容 

 WGでは、以下の2つの活動を行う。[1]会員企業の英知を結集して、新時代のワークスタイルのビジョンを策定し発表する。[2]会員企業が率先して自社で新時代のワークスタイルを実現していくためのフレームワークと工程管理表案を策定する。

 ワークスタイルのビジョン策定に関しては、ユビキタス勤務=勤務時間帯、ロケーション制約が極小化された勤務形態、のあるべき姿、実現方法の提言を行う。より具体的には時間活用の最適化、ダイバーシティ、ワークライフバランス観点、ICT実現可能性観点から分析を行い、会員企業に限定せずユーザ企業の視点も加えて「ワークスタイル変革の成熟度モデル」を策定する。ありたい姿と現状とのギャップ分析、ロードマップ策定のツールとして実用可能なレベルのガイドブックの完成を当面の目標とする。

 本年度は、ワークスタイルに関して共通化しておくべき用語の定義、ワークスタイルの成熟度モデルの策定、IT・制度整備課題の整理を行う。年度末までを目途に成熟度モデルに基づく現状アセスメントと各企業の達成目標レベルについてアンケート調査を実施する。また、適宜、会員企業およびユーザ企業等に対してこれらに関する情報発信を行うほか、関連制度の整備については政府への要望案の取りまとめに向けた検討を行う。

 上記企画案の説明の後、意見交換を行った。

<主な意見>

●ワークスタイル変革を取り上げることについて

・JISAで手掛ける意図を明確にしておくべき。

-我が国全体に関わるテーマであるが、ロールとして当業界から始める。JISAで現在進めている構造改革の枠組みでは難しいので、トライアルで当部会から始める。

-情報サービス業界向けというよりITでどのように変わるのかがポイント。情報機器メーカーの販売部門は営業スタイルをITで変えている。iPadを数千台配布した効果を計算すると営業効率が上がったときいている。 

・ワークスタイルの変革自体が目的化してしまう懸念がある。これはあくまで手段にすぎない。BPRを初めて手掛けた時の状況に似たことになりかねない。業務改革もそれ自体が目的ではない。労働者の視点だけでなく、企業の収益性や生産性の視点からも捉える必要がある。

・働き方を変えることで商習慣が変わるかもしれないという期待はある。

・女性、育児・介護、65歳定年といったキーワードからもワークスタイル変革は将来的にもとめられるテーマであると考えられる。

・BCPの視点では、首都圏直下型地震を想定するとオフィスの東京一極集中に疑問が出てくる。平時と非常時で分けて考えることも必要かもしれない。

●プロジェクト全体構想について

・託児所だけでなく介護施設も対象とすべき。

・連携対象は、企業だけでなく、労働組合、大学にも広げるべき。

・一個の解しか導けないテーマではない。できるだけいろいろな意見集約して活動を盛り上げていく方向で取り組みを進めるべき。

・活動が進めば、ワークスタイル変革運動として、業界で全員が出勤しない日を設定してみることも考えられる。20数万人が参加すればムーブメントになる。

●本年度の活動内容と成果について

・活動期間が短いことから、本年度のアウトプットは、必ずしも報告書にまとめ上げられなくても、提言書でよい。

・アウトプットには、経営サイドの関心を高めるために、収益性や生産性向上の観点を盛り込むべき。この取組を経営者視点でみたときに結果的にコスト増になるのではという懸念がもたれている可能性がある。

・生産性は例えば週3日出勤になればオフィススペースが削減できることが挙げられる。

・成熟度モデルを最初からまとめるのは苦しいのでは。まずはワークスタイルの改革案をいくつも出して、ITの活用によって生産性を高められることを示すのが望ましいのでは。

・本年度の取り組みはイメージを共有する第一案なのでアウトプットを出すことにこだわるべきではない。

・制度変更については現行労働法からの視点を整理し、労働者個人にどこまで柔軟性をもたせた働き方が可能かを議論する必要がある。

3.事業計画策定に向けた構造改革フレームに関する報告

 島田部会長から資料4をもとに説明を行った。

(田中)

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