第3回 国際委員会 日中部会

 平成24年2月17日、JISA会議室で第3回日中部会を開催した。岩橋誠部会長(JFEシステムズ(株)相談役)、中村明副部会長((株)大和総研ビジネス・イノベーション顧問)をはじめ19名が出席した。まず、岩橋部会長から「日中ビジネスは刻一刻と変化しており、よく情勢を把握した上で有意義な情報共有を行っていきたい」旨挨拶があった。

 続いて、日中間のビジネスについて日本側、中国側各1社の事例紹介が行われた。

 日本側ではSCSK(株)より、ERPパッケージ中心のグローバル展開を進めており、中国でも導入事例が増えていることが紹介された。なお、同社は中国向けテンプレートを作っており、それを利用することにより、生産管理等を除き、ほぼカスタマイズ無しに利用できるようになっていると報告された。中国は頻繁な税・会計制度の変更があり、導入後も長期安定運用するための体制を作る必要があるとの指摘があった。

 中国ベンダーでは、アチーボ・ジャパンの事例紹介が行われた。同社は、従来型オフショア開発を中心としつつも、徐々に上流工程に拡大していること、リモート保守を行うことにより効率化を図ろうとしていること、オープンソースERP であるADempiereのNPO法人を立ちあげ、このERPを利用して中堅・中小企業の現地システム開発を展開しようとしていること、日本のサービスは世界でも一流であるとの認識に基づき、中国本土の100の主要都市にクラウドとコールセンター、ナレッジDWH、スマート端末を利用した日本流ITインフラサービスの展開を計画していること、が紹介された。

 その後、中国市場での発注側の決定権、移転価格税制、中国市場の動向等について意見交換が行われた。現在、中国のエンドユーザーの中には、日本のユーザーよりも高額の単価で発注するところが出てきていること、中国企業は資金が豊富であるがシステムの構築の仕方をよく理解していないこと、中国では人を減らさずに効率的なシステムを構築する必要があることなどが紹介された。

 最後に、事務局より、今年度日中部会のアウトプットとして、オフショア開発の進め方に関するレポートを作成し、世界として情報共有を広めていきたいことを報告し、了承された。本件については、ワーキンググループを設置し、内容を精査することとした。

 このほか、今年度の日中懇談会については、日本で開催すること、場所と時期については中国側の要望を確認して決定することが報告された。

(山本)

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