平成23年6月16日、第1回財務税制部会IFRS WG(部会長兼WG長:喜多昭男、ITホールディングス(株)管理本部副本部長)が、日東紡ビル会議室において24名の出席により開催された。
当WGは昨年度に続き、情報サービス企業のIFRS対応に資することを目的として財務税制部会に設置された。
当日は、まず喜多部会長から、本年度事業企画案の趣旨説明があった。本年度事業の概要は次のとおり。
1.本年度IFRS事業の概要
「IFRSアカウンティングポリシーの策定(IFRS対応会計処理事例集の作成)」
財務税制部会では、昨年度、「情報サービス産業におけるIFRS影響度に関する調査研究」事業を実施した。一般に、IFRS対応のあり方として、IFRSの影響を調査分析した次のステップとしては、ロードマップの策定を経て、当該影響をふまえたIFRSに関するアカウンティングポリシーの策定を行うことになる。
財務税制部会におけるIFRS影響度調査の取り組みにより、収益認識・リースなどIFRS対応上の主要テーマにおける会計処理上の影響は浮き彫りになった。次なる課題としては、当該論点について、企業を問わず、同一の会計事象に対しては同一の会計処理として整理するアカウンティングポリシー(会計処理事例集)の策定が必要であるといえる。
なお、IFRSは原則主義を採用しているため、比較可能性の確保を謳いながらも、IASBは、詳細なガイドライン設定のマイナス面を重視して、実務手引書作成は認めないとしている。
そこで、財務税制部会は、1)連結財務諸表作成に資すること 2)比較可能性の確保 3)日本基準へのコンバージェンス対応を目的として、対象論点に関する会計処理事例をIFRS対応に先行する会員企業が中心となって収集し、これをとりまとめたものを作成することにより、この業務課題の解決を支援する。
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本事業の推進にあたっては、原案を作成するチームと原案を検討するチームを編成。原案作成チームは、IFRSの取組で先行している会員企業の委員が担当する。原案を検討するチームは、原案の事例追加及び内容の妥当性・汎用性チェックを行う予定。また、委託先の監査法人が成果物の確認を行い報告書としてまとめる予定。
また、本事業の対象とするIFRS基準は次を予定している。
・IAS 2 棚卸資産
・IAS 16 有形固定資産
・IAS 38 無形資産
・IAS 17 リース
・IAS 18 収益
ただし、リースと収益については、現在基準の見直しが進められていることから、基準確定の見直しが立った時点で取組に着手することになる。
2.無形資産の検討に際しての過年度取組の紹介
次に、本事業で対象としている無形資産については、IFRS基準が確定しているものの、企業会計基準委員会(ASBJ)で見直しの検討が進められていることから、情報共有を目的として、平成15年度財務委員会(当時)が研究開発税制の創設に対応して開発した「情報サービス産業における研究開発費の範囲等」について紹介を行った。
これは、平成15 年度税制改正において研究開発税制の抜本強化が図られ、新たに試験研究費の総額に係る税額控除制度及び特別共同試験研究に係る税額控除制度が創設されたことを背景として、当該税制の制定趣旨に則り、税制の適切な利用を促すための検討を行う組織として、財務委員会に、研究開発活動に注力してきた主要な会員企業からなる専門グループを設け、各社における研究開発活動の現況をもとに検討を重ねてきたものである。その取組のポイントは、それまで情報サービス産業における研究開発活動が、業種業態の性格上、他の産業におけるそれとは異なる実態があるにもかかわらず、対象となる研究開発の定義及びその活動の範囲(領域)等について当業界としての共通認識がなかったという事情から、特にこれらについて調査研究を行った。
本年度事業の無形資産に関する検討ではこの過年度の取組をベースに実施することで了承された。
最後に、現時点における成果物案について委託先の監査法人から説明があり、了承された。
(田中)