平成23年4月20日、第1回企画部会(部会長:森山光彦、JISA参与)がJISA会議室において16名の出席により開催された。
当日は、企画部会企画案に盛り込むテーマとして、(1)「構造改革の進展に対応した取組」について関する検討 (2)震災復興関連の政策要望に関する自由討議 を行ったほか、前年度に引き続いて部会に設置する政府調達WGの企画書(案)の検討を議題として開催した。
(1)「構造改革の進展に対応した取組」について関する検討
従来、対ユーザ取引において、ベンダからみたパートナーといえば、主にユーザの情報システム部門を想定してきた。ユーザの情報システム部門は金融等の一部業種を除くと主に社内の情報システムの企画・開発・運用を手掛ける立場にある。しかし、情報システムの「所有」から「利用」へのシフトが進むなかで、ユーザの情報システム予算は減少傾向にあるといわれている。受託ソフトウェア開発は、ユーザにとっての戦略的な部分を中心にサービスのカスタマイズ利用等で残るとみられているものの、全体としては、そのシフトにより、先細りになるとの懸念も生じている。
一方、エンドユーザのニーズが多様化、細密化するなかで、多くの業種ではITを活用したマーケティングに予算の重点化が図られているとの指摘が昨年度の当部会においてなされた。ネットワークの端末が従来のPCや携帯電話から、スマートフォンやデジタルサイネージ、認証センサなど多様化するなかで、ITの活用によってユーザ企業の販売促進を協業・支援する機会も増加しているといえる。
そこで、「ユーザの顧客向けマーケティングを協働すること」を目指す視点から、パートナーの概念を従来から拡張することを検討するとの事務局提案をもとに意見交換を行った。意見は次のとおり。
・ユーザの顧客向けマーケティングを協働する視点は個別取引では想定し得るが、団体ベースでのアプローチが難しい。
・JUASとの連携はシンポジウムを共催するなどのかたちで進めてもよい。他の委員会に属さない領域なので手がけるのに相応しい。
・顧客の声を聞くファンクションはあってもよい。これは他の委員会の所掌範囲には必ずしもなっていない。
・スクラッチ開発が縮小する可能性が高いのは確かだと思う。
・構造改革にフィットした事例を紹介する機会はあってもよい。
・顧客の声を聞くのは事業会社が当然なすべきこと。JISAでとなると団体間ということになるが、JUASが真のユーザかという疑問はある。
・JUAS以外の業界団体と組織的なつきあいがあってもよい。互いの役割分担を議論すべき。
・身近なところで好い相乗効果が発揮できるところでやってもよいのでは。
・どことつきあうかが難しい。関係が築きそうなところをどのように選ぶかが課題。
・震災復興に関係したところで考えられないか。
以上の結果、骨子案を作成して企画委員会に提出することとなった。
また、事務局案では、上記に加えて、前回での意見をふまえて、次の認識から会員が保有する商材情報交換会が提案された。
情報サービス産業白書のユーザ調査をはじめ、関連調査においてユーザのベンダに対する認識として「提案力の不足」が挙げられることが多い。しかし、継続的な相対取引の中では、新たな発想に基づく提案は浮かびにくいもの。ただし、中堅中小会員の中には、開発したプロダクト製品を販売する体制が不十分であることから、発表の機会をもとめている可能性があるとは考えられる。
これについては、構造改革の推進に役立つようなモデルになるのであればイベント開催もあり得るとして了承された。
(2)震災復興関連の政策要望に関する自由討議
このフリーディスカッションでは、企画委員会環境部会で検討予定の「夏期の電力需給対策に関する情報サービス産業からの要望」が本テーマと重なっていることから合わせて意見交換を行った。
・当業界の場合、オフィスとデータセンター(DC)の電力消費量は半々。とはいえ、DCに焦点をあてた方がよい。
・電力供給力削減率緩和はフレキシブルにしてもらいたい。
・現在は25%の従量規制に論点がすり替わっているが、そもそもはブラックアウト回避をどうするかが課題であったはず。夜中に蓄熱し、自家発電しても25%削減する必要があるのか。
・25%削減は1社で数か所のDCを保有しても、数社で協力しあっても、他業界の会社と組んでもよいことになっているとはいえ、自社でDCが1か所しかない企業がパートナリングを組むのは難しい。
・ユーザのシステムを止めてもらわない限り、DCの電力は減らない。
・要望なのだから、供給能力の確保拡大に努めろというのがまずあるべき。もともとバッテリは臨時の緊急避難的なものであり、供給源ではない。
・東電発表をふまえて弾力的な方策を打ち出してほしい。
・電力削減のための勤務シフトによって、早朝勤務、夜間勤務が必要となった場合、前提として、保育所の営業時間の変更や通勤電車の夜間運行も必要となる。単に電力削減を一方的に産業界に求めるのではなく、こうした企業活動のインフラ的な整備も合わせて行うことを要請すべき。
・状況は刻々と変化しており6月までに何をどこまで要望するかが難しい。
・本当の需要家が電力削減に対応しなければデータセンターは対応できない。
・SLAの例外であり免責事項に該当することも明らかにしておくべき。
・震災対策には短期的な観点と長期的な観点がある。
・復興再建と新たな街づくりは異なる。被災都市は街づくりをやり直す必要がある。
・コンパクトシティを全面に打ち出してはどうか。地震、津波の両方に情報システムが貢献できていない。この貢献を謳った提案にすべき。
・復興の期間をどのくらいとみるかによるが、診療カルテの共通化を図り、避難所医療ネットワーク化を実現してはどうか。コンテナを活用した本格的医療サービスを行うイメージをもっている。
・ICTを活用した災害対策の徹底化を要望する。
・震災復興のビジョンはこれから次々と発表されると思われるが、中長期の復興には、ITを徹底的に活用し今後の都市計画のモデルになるコンパクトシティの提案を行うべき。
以上の結果、当部会では「震災復興に向けた政策要望」について早急に原案を作成することとなった。
(3)政府調達WG活動企画(案)の検討
資料に基づき、事務局から説明。原案通り了承された。活動内容は以下のとおり。
・JEITAとの連携により、基本指針・実務手引書の改訂作業に対する意見を取りまとめる。
・経済産業省、総務省との意見交換
・政府IT調達制度に対するJISA意見の提出(2回目)
(田中)