SIS2025 プログラム詳細

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ワークショップ
「戦略的AI活用による要求工学知識体系の実践ガイド」に寄せて
~著者らとのゆるトークワークショップ
2F「多目的ホール」
10:00-11:40
10:00~10:30 ライトニングトーク
 位野木万里(工学院大学)
 中村一仁(Ridgelines(株))
 田中貴子(NTTテクノクロス(株))
 北川貴之((株)東芝)
 有本和樹(リコーITソリューションズ(株))
10:30~11:30 ポスターセッション
11:30~11:40 ラップアップ(まとめ) 
 JISA 技術委員会 エンジニアリング部会では、この度、REBOKシリーズ第5弾として「戦略的AI活用による要求工学知識体系の実践ガイド」を出版しました。
 本ワークショップは、ライトニングトークとポスターセッションで構成します。ライトニングトークでは、著者が登壇しミニプレゼンでガイドの内容を紹介します。その後のポスターセッションでは、会場内にガイドの各章の内容紹介ポスターを掲示し、参加者は会場内を回遊し、著者、参加者間で自由にディスカッションできる場となります。要求工学を実践する際のAIの効果的な適用方法や留意点、今後のAI活用の展望について学び、実践のための知見を得る機会です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

基調講演
ポスト成長時代の知性と情報技術者の役割
2F「多目的ホール」/オンライン
13:20-14:00
白肌 邦生 氏
北陸先端科学技術大学院大学 トランスフォーマティブ知識経営研究領域 教授
Prof.Shirahada ポスト成長時代、企業や社会にはウェルビーイングを中核とした多元的価値の実現が求められている。AI進化が進む中でのこのポスト成長で、ますます問われていくのは人間の進化、IT技術者としての知性をいかに磨き・働かせるかであろう。社会課題にアンテナを張り、多様なステイクホルダーと協調しながら社会実装を進めていくために、実践知性(Practical Wisdom)を磨くことが必要だ。本講演では、JAISTが新たに推進を目指す人類知性科学の観点からこの必要性について述べる。そして講演者の専門であるサービス・知識経営論の研究蓄積を紹介しながら、ポスト成長時代の情報技術者の役割について展望する。

【プロフィール】
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)教授、Transformative Knowledge Management(TKM)研究領域長。2009年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。同年よりJAISTに勤務し、2010年にはテキサス州立大学客員研究員としてRaymond Fisk教授とサービスマーケティング研究を開始。以降、ウェルビーイングを基軸とするTransformative Service Researchを推進。特に現在は持続可能なビジネスモデルと社会的サービス価値創造を研究。サーキュラーエコノミーに関しマレーシア、オランダ含む国際共同研究を推進。JAISTでは知識イノベーション研究センター長を兼任し、責任ある研究・イノベーションとして、科学技術のもたらす影響を考慮した研究推進を学内展開している。

パネルディスカッション
デジタル化による価値創出に向けて
~モデリングによる分析と対話の促進~
2F「多目的ホール」/オンライン
14:15-15:15

平本 健二 氏
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
デジタル基盤センター長

小阪 暢之 氏
株式会社チェンジビジョン
 代表取締役社長

端山 毅  氏
独立行政法人情報処理推進機構
(IPA) ソフトウェア
モダナイゼーション委員会委員長
株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
 AI などデジタル技術の発展による価値創出や社会課題解決への期待が高まっています。 
そのためには多様な関係者の相互理解と共創を促進するため、モデリングによる課題・解決策の明確化と対話が重要です。 2025 年 3 月公開に IPA から公開されたソフトウェアモダナイゼーション委員会報告を踏まえ、 デジタル技術を活用した迅速な分析・実装・改善など、今後の方向性を議論します。 

経験報告01
AIが選び、AIが届ける
- 業界ニュース配信の新しいかたち –
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:埴原 蒼大 氏(株式会社シー・エス・エス)
 現代社会の情報過多は、ビジネスパーソンの情報収集に非効率性をもたらし、ビジネスチャンスの見逃しに繋がっています。この課題に対し、私たちは情報の「質」と「魅力」の向上に挑戦し、AIがニュースを自動的に選別し、紹介する機能を開発しました。
 本機能では、業種別のバズワードを備えた24種のAIボットを実装し、独自の基準で記事の有用性をスコアリング。さらに、生成AIが各ボットの個性を反映した紹介文を自動作成し、読み手の関心を高める工夫を施しました。
 これにより、ユーザーは大量のノイズ情報から解放され、効率的に最新情報を得られるようになりました。
 本発表では、この取り組みと得られた知見を報告します。
経験報告02
生成AI時代のソフトウェア開発に向けた開発過程・保証体系の可視化手法の検討
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:興津 綾弓 氏(株式会社デンソークリエイト)
共同研究者:林 香織氏(株式会社デンソークリエイト), 小林 展英氏(株式会社デンソークリエイト), 森崎 修司氏(名古屋大学)
 ソフトウェア開発の中で生成AIを活用して開発効率を向上しようとする試みは活発ですが、実際の製品開発への生成AI導入を想定すると「開発プロセスのどの部分で生成AIが関与するのか」「生成AIによる成果物の品質をどのように担保するのか」を関係者間で共有し、品質の作り込みに対する認識ズレを防ぐ必要があります。
 これらの課題に対し、我々はプロセスフロー図とGSN(Goal Structuring Notation)の要素を組み合わせ、開発過程と品質保証体系を統合的に可視化する方法を提案します。この方法により、生成AI時代のソフトウェア開発における合意形成をより円滑に進めることを目指します。
経験報告03
テスト効率化施策推進におけるリスクアセスメントの実践と展望
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:江口 恭司 氏(日本電気株式会社)
 社内SIプロジェクト向けのテスト効率化施策推進にあたり、当チームは技術・人・運用・外的要因など多面的なリスクに直面する可能性を認識し、施策の品質・継続性確保のためリスクアセスメントを導入しました。
 現場課題を起点に7つの観点でリスクを整理し、生成AIを活用してリスクマップを作成、影響度・発生可能性・対応方針・優先度の評価案も出力しました。
 これに基づき具体的な対策を検討し、チーム内共有を実施。現在はノウハウマップ整備やQA対応プロセス構築など基盤整備を進めています。
 施策の安定性や受容性向上に加え、問合せ対応時間短縮や横展開効率化を期待し、今後はリスク対応の標準化と継続的改善体制の確立を目指します。
経験報告04
設計開発標準の社内定着に向けた多角的アプローチとその成果
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:東井 礼佳 氏(東芝デジタルソリューションズ株式会社)
共同研究者:牛山 佳奈氏(東芝デジタルソリューションズ株式会社), 大森 麻理氏(東芝デジタルソリューションズ株式会社), 宮田 真紀子氏(東芝デジタルソリューションズ株式会社)
 ソフトウェア開発を行う際、プロジェクトごとに設計書の形式が異なることで、情報共有や引き継ぎに支障が出ていました。
 この問題を解消し、生産性を高めるため、設計書テンプレートなどを含む当社独自の設計開発の共通ルールとしてCSM(CommonStyleR Methodology)を定めました。
 利用に消極的なプロジェクトには、経営層の指示による推進や、利用者が業務に役立つと感じられる工夫など複数の取り組みを行いました。改善を重ねた結果、CSMは使いやすくなり、設計書の統一によって品質が向上し、社内で広く活用されています。本発表では、これらの取り組みと成果を紹介します。
経験報告05
クラウド型ソフトウェア開発基盤の普及展開における課題への取り組み
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:中西 快斗 氏(日本電気株式会社)
 本セッションではクラウド型ソフトウェア開発基盤(ソフトウェアファクトリ、以下SWファクトリ)を提供するサービス提供者と、ユーザー間にある様々なギャップを解消するために導入コンサルが実行する施策について述べる。導入障壁となる課題を①情報整理、②事例やアセットのテーラリング、③育成の3つの観点から分析し、複雑な要件を実現するための情報整理に高い専門性を有するスタッフが横断的な視点で協力する体制や、ノウハウの蓄積・展開の繰り返し、教材の展開やハンズオン形式でプロジェクトメンバーにスキルの定着を促す仕組みを設けることで解決したアプローチと今後の課題について、実例を交えて説明する。
経験報告06
生成AIによるテスト観点出力実践活動の紹介
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:小松 恒平 氏(リコーITソリューションズ株式会社)
 当社はリコーグループに30年以上にわたり貢献してきた実績を活かし、グループ内外問わず、品質の専門家として、テストを含めた開発プロセス全体の課題を解決しています。
 近年急速な進展を迎える生成AIを、培ってきたテストエンジニアリングと融合することを理想とし、そのプロセスの一つであるテスト設計のうち、テスト観点導出へ活用しました。
 今回の発表では、その実験および実務への導入を通じて得られた知見を共有いたします。
 特に活用したプロンプトエンジニアリングや、幻覚(ハルシネーション)防止のためHITL(Human-in-the-Loop)を導入したプロセス等について紹介します。
 最後に今後の展望を示します。
経験報告07
AIによる既存システム改修の変革
~ 改修プロジェクトの最大のボトルネックを解消する ~
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:黒住 好忠 氏(株式会社インフォメーション・ディベロプメント)
 システム開発の8割以上は「既存システムの改修」が占める。しかし、度重なる改修による技術的負債の蓄積やドキュメントとコードの乖離、レガシー技術の混在は、システムの複雑性を極限まで高めている。
その結果、改修案件では「現行システムの分析」だけで膨大な工数を要するという課題を抱えていた。
そこで、この分析プロセスに生成AIを適用するアプローチを試みた。
 新規開発のような整った環境ではなく、複雑なリソースが混在する実案件において検証を進めた結果、調査工数を約50%削減することに成功した。
 本発表では、既存資産の維持・活用という「守り」の領域におけるAI活用の実践事例として、その取り組みと成果を報告する。
経験報告08
生成AIを活用したテストケース作成の自動化
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:河間 光祐 氏(株式会社NTTデータグループ)
共同研究者:兼清 裕平氏(株式会社NTTデータグループ), 何 瓣氏(株式会社NTTデータグループ)
 当社では生成AIのソフトウェア開発への適用を進めているが、既存プロジェクトの成果物(図・画像・表など)が非構造のままで、AIが理解できる入力形式に整っていないことが課題となっていた。そこで、画面遷移図をGPT-4oで分割しMarkdown/Mermaid形式に変換、Claudeで統合して自然文化する処理を構築した。実案件を用いた検証では、文字の読み取り誤りを30語中10から3に低減し、画面遷移16パターンをすべて内包する自然文生成に成功した。作業時間は180分から57分に短縮され、約68%の生産性向上を確認。今後は別案件で再現性を検証予定である。
経験報告09
人とAIが共存するデジタルエンタープライズに向けて
〜AIエージェント×業務で挑む企業改⾰〜
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:中村 一仁氏(Ridgelinez株式会社)
 私たちは、ChatGPTが引き起こした「現代版産業革命」と呼ぶべき変化の只中にいます。AIの進化は、単なる便利ツールや業務効率化の枠を超え、企業の構造、働き方、意思決定の在り方そのものを根底から変えようとしています。 一方で、多くの企業でも生成AIの活用は始まっているものの、議事録作成や調査など、個人の作業を効率化するための便利ツールとしての領域を出ていない場合もまだ多い。本発表では、生成AI&AIエージェントが持つ本来の性能を最大限に発揮し、抜本的な業務改革・企業改革を行い、人とAIが共存する『デジタルエンタープライズ』へ進化するための取り組みについて紹介する。
経験報告10
「ソフトウェア開発現場の困りごと」から始めたレビュー支援ツール開発の取り組み紹介
~生成AIを活用した設計レビューの定着~
2F「多目的ホール」
15:30-17:10
発表者:鈴木 昴裕(東芝デジタルソリューションズ株式会社)
共同研究者:前田 尚人(東芝デジタルソリューションズ株式会社)、有山 卓志(東芝デジタルソリューションズ株式会社)
 当社は、様々な業種のSI事業を中核に据え、競争力強化に向けてソフトウェア開発の標準化・自動化を推進している。
 しかし、ツールの開発・導入だけではソフトウェア開発の現場へ定着が進まず、開発生産性の向上につながらないという課題が浮き彫りになった。
 本報告では、現場の声を起点としたUXアプローチにより現場課題を再定義し、生成AIを活用したレビュー支援ツールの開発と普及展開の取り組みを紹介する。
 レビュー支援ツールの開発では、ユーザーとの対話を重視したDevOps的継続改善サイクルを採用し、導入部門150名規模での利用を通じてツールの定着を確認した。
 今後は、レビュー精度の向上、大規模プロジェクト対応など、現場ニーズに応える改善を重ね、より実用的で信頼されるツールへと成長させていく。
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