当社では、スピードを重視しつつ品質の確保をめざしアジャイル開発を実践した。この開発では、プロダクトオーナの関心がサービスとしての機能の充実に向いていた。また、システム全体を通しての品質はシステムテストで確認すればいいと思い、個々のスプリントでは見落としがちという傾向が見られた。その結果、システム全体の品質のプロダクトバックログアイテム(以降、PBI)化及び実現は開発チームの力量に依存していた。ただしアジャイル開発では、品質の確認といった内容は、事前に定義することが難しく、試行錯誤を通して具体化される。そのため、要求を成熟させていくというアプローチをとる必要がある。そこで、アジャイル開発特有の要求を成熟させていくというアプローチを考慮した要求管理手法を提案する。要求の管理は、要求とPBI間の紐付けや開発状況(進捗や作業時間)の記録を人手で行うにはコストを要するため自動化した。プロジェクトへ本提案手法を適用し、要求の成熟状態を管理することが有用であることを確認した。さらにツール化したことにより、提案手法の要求管理の進め方が実際の開発でも活用できることを確認した。 |