SPES2009 テクニカル・セッション

S2b-S3b
  7月17日(金) 11時40分〜12時45分 イノベーションホール
【講演種別】 テクニカルセッション
【講演タイトル】
「事故前提社会」への対応力を高める,ユーザ・ベンダ間での情報共有技術
〜ソフトウェアタグ,タグ利用シナリオ,ツール〜
【講演概要】
ユーザとの関係が確立されていない海外市場で,日本のベンダは苦戦しているとの指摘がある.日本企業のオフショア開発能力レベルは,米国企業よりも低いとされ,海外での営業利益率は約8分の1しかないとの報告もある.オフショア開発に限らず,ユーザ・ベンダ間のコミュニケーションが良好でないと,開発リスクは増大する.我々の研究でも,ソフトウェア性能に関してユーザとの事前合意がなされていない場合,設計レビューにおけるバグの見逃しは3倍になるとの結果を得ている.これからのソフトウェア開発,特に,重要インフラ分野において,「ユーザ・ベンダ間での情報共有」は,説明責任の明確化やユーザにとっての安全・安心の確保といった「事故前提社会」への対応力強化という点で,実現すべき重要な課題の一つである。

文部科学省StagEプロジェクトでは,「ユーザ・ベンダ間での情報共有」を実現する一つの具体的なアプローチとして,ソフトウェア開発が適正な手順で行われたかどうかを表す実証データを「ソフトウェアタグ」としてソフトウェア製品に添付する枠組みを提案している。

本講演では,ソフトウェアタグ技術の3つの主要な要素である「タグ規格」,「ツール」,「タグ利用シナリオ」について概説する.タグ規格とは,ソフトウェアタグに含まれるべきデータ項目を定義した規格であり,例えばソフトウェアの規模推移などが記録されている.タグ規格により,収集,共有すべきデータ(ソフトウェアタグ)の標準化が実現される.タグ利用シナリオとは,総合的なソフトウェアタグ評価の枠組みであり,具体的には,タグ収集の目的や,その目的を達成するために必要なタグ項目とその解釈方法などが記されている.タグ利用シナリオにより,ソフトウェアタグをどのように利用すべきかがわかる.ツールとは,ソフトウェアタグの利用を補助するものであり,具体的にはソフトウェアタグのデータ収集や,タグデータに基づいて可視化や評価を行うソフトウェアなどがあげられる.ツールにより,ソフトウェアタグの導入コストを抑えることができる。
【講演者】
松本 健一   まつもと けんいち
奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科
教授
【プロフィール】
昭60大阪大学基礎工学部情報工学科卒業.
平元同大学大学院博士課程中退.
同年同大学基礎工学部情報工学科助手.
平5奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授.
平13同大学情報科学研究科教授.工学博士.
エンピリカルソフトウェアエンジニアリング,ソフトウェアメトリクス,ソフトウェアプロセス等の研究に従事.
S5b-S6b
  7月17日(金) 15時10分〜16時15分 イノベーションホール
【講演種別】 テクニカルセッション
【講演タイトル】
EPM検証WG成果報告
〜プロジェクトデータの自動収集ツールによる、監視プロセス改善活動の取り組み〜
【講演概要】
EPM(Empirical Project Monitor)ツール Ver2.0をJISA EPM検証WGの参加企業8社で導入し、プロジェクトへの導入容易性の評価と現行のツールが抱えている課題を抽出した。また、EPMツールを実際のプロジェクト開発に試行し、適用した際の効果を検証した。

EPMツールは、ソフトウェア開発における設計→開発→評価といった一連の工程のうち、開発→評価の進捗を客観的に分析するツールである。JISA EPM検証WGでは、EPMツールで分析可能な7項目(1.累積・未解決障害件数及び平均障害滞留時間、2.ソースコードの規模推移、3.更新時期とチェックアウト数の関連、4.メール投稿数と更新時期の関連、5.更新と障害件数、6.パレート図、7.クロス分析)について評価した。その中で1、6、7の分析結果は特に有効であると判断した。

本発表では、EPMツールを実際のプロジェクトで適用した際の効果について、試行した4社の担当者から出力された分析結果を交えながら報告する。
【講演者】
平成20年度技術委員会 EPM検証WG委員
社団法人 情報サービス産業協会
技術委員会
【プロフィール】
JISA EPM検証WGでは、2007年度から独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェアエンジニアリングセンター(IPA/SEC)と連携して、EPMツールでソフトウェア開発プロジェクトの管理を行い、その機能や使い勝手を検証し、ツールの普及と機能改善に役立てる試みをしてきた。
2008年度は主にEPMツールの導入に評価した。実際のプロジェクトに対してEPMツールを適用し、その有効性を中心に評価した。
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