制度利用者に関する適正な目標管理と評価

制度を効果的に運用するためには、仕事のアウトプットに見合った処遇の仕組みを整備する必要があり、そのための評価手法の確立が重要になります。
しかしながら、多様な働き方を既に導入している企業のマネジャーの意見をみると、多様な働き方をしている従業員を適正に評価するのは難しいという声が多くあがっています。
評価の難しさは制度利用者にとどまらず、通常勤務の従業員にも通じる根深いものです。言い換えると、通常勤務者に対して適正な評価がなされていれば、おそらく、多様な働き方をしている従業員についても適正な評価ができるはずです。しかしながら、現実には、従業員は仕事の成果のみで評価されているわけではなく、働きぶり(遅くまで仕事をしている、毎日出勤して頑張っている等)も評価に反映されるケースが少なくありません。このため、働きぶりが評価しにくい制度利用者を、適正に評価するのは難しいということになってしまいがちなのかもしれません。
ただ、このような評価の実態では、生産性の高い制度利用者の納得感は得られないでしょう。企業の中に、成果の適正な評価手法が確立され、働きぶりばかりでなく成果を重視する姿勢が広がっていくことは、多様な働き方が普及するための最も重要なインフラの一つだといえます。
制度利用者の評価に関して、通常勤務者と異なる点があるのであれば、制度利用前にそのことを告知し、制度利用者の了承を得る必要があります。例えば、在宅勤務制度を導入している企業の中には、在宅勤務によって電話対応や後輩の育成等が免除されていると考え、それらを評価項目から除外することをルール化している企業もあります。
また、周囲のメンバーが制度利用者に対して支援を行っている場合には、周囲のメンバーに対しても、支援の内容に応じて、適正な評価を行うことが求められます。制度利用にともなって周囲にかかってくる負担を、会社としてきっちりと評価すれば、制度利用者と周囲のメンバーとの関係を良好に保ちつつ、仕事の品質や生産性を維持していくことが可能となるでしょう。
成果に対する評価を厳密に行うことは、実際にはなかなか難しい面もありますが、多様な働き方を導入し、効果的な運用を行っていくためには、通常勤務者とのバランスも勘案しながら、制度利用者や周囲の同僚の納得感が得られ、職場全体のモラールが維持されるような評価のあり方を検討することが不可欠なのです。

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