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2020.7.29

教育ボランティア活動③

都内公立小学校におけるプログラミング教育の実践と課題

都内公立小学校におけるプログラミング教育の実践と課題

プログラミングの持つ可能性や楽しさを一人でも多くの子どもたちに伝えるために、ボランティアでプログラミング出前授業を行っています。

(株)JSOL 業務推進本部 セキュリティ推進部 西原真仁

1.はじめに

当社では、会社のCSR活動の一環で「こどもIT体験」と称して、2016年度より近隣の小学生向けに、定期的にプログラミング教室を開催しています。当初は、児童館等の施設を借りたイベントとしての実施でしたが、2017年度から小学校の先生のご協力を得て、総合学習の枠を使った授業の一環で小学校にて開催を始めました。年々、開催回数や参加していただくボランティア講師も増えており、会社のCSR活動としては定着した感があります。

2.利用する教材について

当社が利用しているプログラミングツールは以下の3つです。未経験の小学生にもプログラミングの基本的な考え方を理解してもらう前提で、コード記載をするものではなく、ブロック型のツールに限定しており、それぞれ対象学年や実施する授業の目的に合わせて使い分けを行っています。

I011_1.jpg
※1:Scratchの名前、ロゴ、Scratchキャット、Gobo、Pico、Nano、Tera、Gigaの画像(「マーク」)を含むScratchの商標は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の財産です
※2:mBotはMakeblock 社の登録商標または商標です


<プログラミン>
I011_2.jpg

<Scratch>
I011_3.jpg

<mBot>
I011_4.jpg

3.「授業」の様子

当社が実施する「授業」ですが、基本的には特定の学年の全クラスを対象に、45分の授業時間を使って、当社社員がメイン講師、サブ講師(メンター)となって、基本課題、応用課題に取り組んでもらう形を取ります。
基本課題については、20~30分をかけて、メイン講師がプロジェクタでコーディングのやり方を説明しながら、子どもたちに実際にパソコン上で動かしてもらいます。クラスの全員が出来ることを前提としていますが、当然出来ない子もいますので、その子たちが授業についていけなくなることを防止するために、サブ講師(メンター)を2~3人に1人の割合で付け、メイン講師の説明とは別に、個別にフォローすることで授業時間中の脱落・遅れを防止しています。
応用課題は10分程度の時間で、出来る子向けにこんなこともやってみようという形で出題します。当然時間内に出来ないこともありますが、授業の最後に答えの紙を配布して、授業後に理解してもらうようにしています。
授業によっては、最後に作ったプログラミングをお互いに見せ合って発表するといった取組をする授業もあります。

I011_5.jpg

4.課題

2019年度まで4年間の取組で感じている課題は以下の3点です。


① サブ講師(メンター)の確保

当初、実施回数の少ない頃は、社内だけで多くのボランティア参加がありましたが、回数を重ねるにつれ、社員の参加者が減ってきました。一方で当社の授業の進め方において、サブ講師(メンター)は必須であり、毎回、参加者の確保が課題になっています。


② 学校側の先生方の関わり方

先生方も多忙な状況が続いており、なかなか自らが習得した上で子どもたちに教えることはハードルが高い状態です。
20年度からのプログラミング教育必須化に関して、当社が先生方にどういう働きかけが出来るかも課題の1つです。


③ 授業回数の確保

①と②とも関連しますが、あるクラスに対して授業をするのが基本は1回きり、多くても2回に留まるため、体験レベルで留まってしまっています。子どもたちへのプログラミング教育定着にあたっては、子どもたち1人あたりの授業経験数をいかに増やすかが大事なのですが、現実的には当社講師での回数増加は難しいというのが実態です。

5.まとめ

4.で記載した通り、いくつかの課題が出ていますが、取組自体は子どもたちの「楽しい」という反響もあって引き続き会社として取り組んでいく方針です。また課題①の解決策として、2019年度からはJISAを通じてサブ講師(メンター)のボランティアを受け入れ、延べ38名の方にご参加いただけました。1社で実施していた頃に比べると裾野が広がってきたという実感もありますし、今後とも連携を強めていければと思います。
何より、こういった「プログラミング教育」は未来のIT人材育成の有効な取組と思います。今後も地道に取組んでいきたいと考えています。

#CSR#プログラミング教育#ボランティア

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