2021.1.20

採用担当者座談会 
2020年コロナ禍での採用(前編)

採用担当者座談会 <br />2020年コロナ禍での採用(前編)

新型コロナウイルスの感染が拡大する中で2020年(2021年卒)の採用活動が始まりました。例年とは異なる対応が求められ、暗中模索状態で採用活動を進めた各社の担当者にお話を伺いました。
(2020年12月24日 リモート実施)

2020年の採用活動を振り返る

新型コロナウィルス感染症が広がりを見せ、予定されていた会社説明会や合同説明会が中止や延期になるなど、2月頃から採用活動に影響が出始め、例年よりスタートが遅れた企業が多かったようです。

MEMO
2019年(2020年卒)からは経団連の採用活動への指針が廃止され、大学3年生の3月1日から広報活動、大学4年生の6月1日から採用活動という政府主導の新卒採用ルールが設定されました。2020年(2021年卒)の採用スケジュールは2019年の日程を維持することになっていました。
●モデルスケジュール
3月 説明会・エントリー開始
4月 選考開始
6月 内定開始
10月 内定式

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5月までは採用活動がストップしていたような状況で、6月から選考を再開して、7月から9月に内定承諾を得て、3か月で選考から内定までが終わったという感じでした。例年は3月から8月の6か月間かけているので、とても濃い3か月でした。
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この中で一番採用人数が少ない会社だと思うのですが、インターンシップに来ていただいた学生さんを中心に、4月の緊急事態宣前に選考を進めていました。採用活動は例年9月まで行っていますが、今年は5月までにほとんど決まり6月には充足した感じです。
緊急事態宣言中は採用活動が完全にストップしていた会社も多かったので、3月の中旬までにインターンシップの学生さんに、オンラインと対面で面接を進めたのが功を奏したようです。承諾率も7割と、例年よりも良かったですね。
オンラインか対面かは学生さんに選んでいただいたのですが、3月上旬から中旬は対面の方が多く、緊急事態宣言解除後も対面を希望する方が多かったです。「オンライン面接しかしたことがない」という学生さんも結構いたので、練習のつもりの人もいたのかもしれませんが(笑)、場を提供すると結構来てくれる感じでした。感染予防よりも実際に企業の人に会いたい、きちんと情報を得たいということから対面を希望されているように感じました。
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説明会は4月からオンラインに切り替えました。当初、5月には採用の目処を立てたいと思っていたのですが、結局8月頃までかかりました。
オンライン説明会は1時間話し続けるライブのようなものでした。170名くらいの人が見てくれておりこれまでの対面の説明会に比べて約10倍の参加数でした。ところが思ったよりも次につながらず、内定者数を予定よりも減らしたので、もう少し説明会をした方がよかったかな、とちょっと反省しています。
説明会はオンラインだけで行いましたが、内定を出す前に必ず一度、どこかのタイミングで社長か役員と顔合わせをしています。
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採用活動が本格的にスタートしたのは3月で、元々は前半から対面で説明会をやろうとスケジュールも立てていたのですが、前半は開催を中止して3月の半ばから沈静化を待ちながら、5月まで毎週オンライン説明会のみを繰り返し、結局8月いっぱいまで続けていました。面接は6月にオンラインでの開始を決断して、一気に選考を進めました。選考のステップは、マネージャ面接と、その後の役員面接の2回。「1回は会わないと」と思い、役員面接は会社で行いました。今年は学生の内定承諾率が良くて、例年だと5割くらいなのが7割強。「全部オンラインの会社が多いので、実際に会社に来られたのが良かった」と学生に言われました。他社との差別化になったのかもしれません。

オンライン採用の導入

新型コロナウィルス感染症拡大を機に、採用にオンラインを取り入れざるを得ない状況になりました。採用のオンライン化がコロナ禍での一番大きな変化だったようです。

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オンライン説明会は初めてだったので、最初は30人程度から試行錯誤しながら繰り返し、4月中頃から少し慣れてきて100名まで枠を増やしました。説明会では学生さん同士の顔が見えないように配慮しています。オンライン説明会に慣れていない学生さんのために、注意事項のスライドを用意していて、通信が切れてしまったときの説明や質問の仕方も説明会の前に説明しています。説明中に質問してくれるとオンライン開催でも上手くコミュニケーションが取れますね。
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学生さんもオンラインに慣れていなかったせいか、しばしば通信トラブルもありました。私はなぜか青森の学生さんとの間で通信トラブルがよく起きて、「20分に1回電車が通って通信が切れる」という人もいました。電話を横に置いておいて途中で切り替えたり、面接中に通信が途切れたときはハンズフリーにして、スピーカー越しで学生さんと面接官に話をしてもらいました。
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通信障害はかなりの頻度で起こるので、緊急連絡先をあらかじめ教えておいて、通信が切れたらすぐにコンタクトが取れるようにしていました。
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私は学生さんの顔が見えないことにやりにくさを感じました。どんな人たちが聞いてくれているのか分からないし、画面に向かって延々と一人で話すのはちょっと辛かった()。会社の雰囲気が伝わっているか心配だったので、社員二人に加わってもらって、学生さんからの質問に答えてもらうという、ちょっとしたパネルディスカッションのような説明会にしていました。
オンライン説明会に切り替えたタイミングが早かったことが効いたのか、例年より告知していなくても参加人数が多かったのは良かったですね。
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こちら側の注意としては、自宅からのオンライン面接の時は、面接する人に「背景や服装に気をつけて!」と言っています。
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オンライン面接だと学生さんが背景を気にして、毛布で覆ったり・・・
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後ろを家の人が通ったり・・・
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宅配便が届いちゃったり、なんてこともありました
学生さんでバーチャル背景を使っている人はほとんどいなかったのですが、私はオフィス内や社屋の写真をバーチャル背景として使ったら、会社の様子がよく分かる、と学生さんには好評でしたよ。
学生さんは授業をオンラインで受けているので、そんなにオンライン説明会に抵抗がなさそうに感じました。来年は面接もオンラインに移行しようかと考えていますが、会社の気質に保守的なところもありますので、面接官からは対面がいいと言われるかも(笑)。

オンライン採用の良いところ

オンライン採用には学生さんと企業両方に戸惑いも、意外なメリットもあったようです。

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内定者のフォローがしやすくなりました。これまでは内定式に来てもらってある程度の話しかできなかったのが、今年は内々定を出してから全体で1回、個別に23回話をしました。115分程度ですが、近況報告したり、5月頃は会社の経営状態を説明したり、しっかりとコミュニケーションが取れました。
毎年、内定辞退の理由が分からない人がいましたが、今年は「他に気になっている会社がある」とか把握できました。例年よりも辞退率が下がったのはよく話ができたおかげかもしれません。
オンライン説明会は来年から本格導入しようと考えています。これまではライブ感で何とかなっていたものも、オンラインでは見せ方に工夫が必要だと感じていて、資料も全部直しているところです。
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オンライン説明会は旅費と時間の面で学生さんが距離に関係なく参加できるのがいいところですね。
でもインスタグラムやYouTubeを見慣れている世代なので資料にもかっこよさが必要なのかも。目が肥えていますので昭和なパワーポイント資料ではダメでしょうね。対面ではないのでつまらないと途中で退出されてしまいそうです。
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今までは面接官が仕事を調整して会議室で準備して待っているのに、学生さんが来なかったりすると、面接官に本当に申し訳なかったのですが、オンラインになって面接官の負担も減り、より多くの学生さんの面接がセッティングできるようになりました。対面の時は学生3名との同時面接でしたが、オンラインになったことで2名で行いました。やはり人数が少ない方がコミュニケーションを取りやすいので、来年からは1名ずつにしようかと思っています。またオンラインの方がコミュニケーションの質が高いと感じています。

やっぱりリアル(対面)も大事

会社説明会から最終面接までオンラインのみ、という会社もあったようですが、座談会参加メンバーは対面も重視しているようです。

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リアルじゃないと正直分からないんですよね。会ってみると印象が変わったり空気感が違ったりすることがよくあります。
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自分のフィールドでオンラインなら落ち着いて話せるけど・・・
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役員面接で、会社に来てもらったら残念な感じに・・・。
逆にオンラインは苦手だけれど、最終面接での立ち振る舞いがとても良くて印象が変わったという人もいて、「会ってよかった!」ということもありました。
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・・・後編に続く

#IT業界#就活

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