2020.7. 8

教育ボランティア活動①

Jammy! Programming.KIDS 活動紹介

Jammy! Programming.KIDS 活動紹介

プログラミングの持つ可能性や楽しさを一人でも多くの子どもたちに伝えるために、ボランティアでプログラミング出前授業を行っています。

日鉄日立システムエンジニアリング(株)
産業流通ソリューション事業本部 技術研究共創センター長 萬谷靖夫
人事・総務部 CSR担当 小林由実佳

Jammy! Programming.KIDSとは?

Jammy! Programming.KIDSは、当社の新規ビジネス創造研修で生まれたアイデアをもとに誕生したプログラミング教育コンテンツです。
2016年から全社横断的なCSR活動の一環として、子供向けプログラミング教育普及活動を展開しています。主な活動は教育コンテンツ開発とワークショップ開催です。また、当社コンテンツを活用したワークショップ開催を希望する団体への教材貸し出し、指導方法のレクチャーも行っています。

当社のコンテンツ開発には、私達がエンジニアとして、親として、未来に活きる子供達に何を伝え、どんな能力を身に付けて欲しいかを考え、3つの思いを込めています。

●子供達に本格的なテキスト言語のプログラミングを教えたい
●IoTなど未来に必要なプログラミングを教えたい
●なによりもプログラミングを好きになってもらえるよう楽しく教えたい

そこで考えたのが、「Unplugged Visual Programming」という手法とSkyBerryJAMの活用です。

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Jammy! Programming.KIDSでは、命令内容が書かれた「カトラリーカード」を用いてアナログなツール(アンプラグド)でプログラミングします。
カトラリーカードの表面にはやりたい事(LEDを光らせる等)の絵が描いてあり、裏面に対応するBASICコマンドが書いてあります。このカードの表裏によって、現実の世界(絵)と文字に抽象化された世界(コマンド)の紐づけを表現します。そして、このカードを並べることでロジック(論理力)の構築力を鍛えます。

カトラリーカードにはいろいろな色のLEDを光らせたり、ロボットを走らせたり、センサを制御する為の様々な種類のカードがあります。それらのカードに対応した動作を実現するコンピューターとしてSkyBerryJAMを利用しています。
SkyBerryJAMは栃木県立栃木工業高校で開発された教育用コンピューターで、子供パソコンIchigoJamを拡張し、モータードライバや複数のLEDが標準搭載され、ロボットキットやIoT拡張ボードなども付加されています。当社では2018年より同校と連携を深め、開発ハードウェアと連動して指導コンテンツとカトラリーカードを開発しています。これにより少ないカード数(行数)で、信号機などの身近なものから自動運転などの最新技術を体験できるコンテンツ開発が可能となり、子供達にも楽しみながら高度情報化社会とプログラミングの関係を理解してもらえるようになりました。

テキスト言語によるプログラミング習得プロセス

プログラミングワークショップでは様々な年齢(515歳ぐらい)の子供達に指導してきました。子供達はそれぞれ個性があり、学び方も様々ですが、テキスト言語のプログラミングを習得するプロセスはある程度のパターンが存在しています。

①ツールに慣れる

まず初めにツールや雰囲気に慣れるための時間が必要です。このフェーズでは怖がって恐る恐る機材を触るお子さんがいるので、乱暴に扱わない限り壊れないことや、なんでも「やってみる」ことをすすめています。

②教えられた通りにやる

少し慣れてくると、教わった通りにカトラリーカードを並べて、裏返してプログラム入力という一連の行動が定着してきます。更に慣れると、カードを使いながら自由にプログラミングできるようになり、課題を与えられたらサッとカードを並べ始めます。

③カードの表を使わない

コンテンツを進め、徐々にプログラムを複雑にしていく過程でカードの表面に書かれている絵(LEDが点灯する等)を見ることなく、裏面のコマンドだけをみてロジックを組み立てるようになります。現実世界(LEDが点灯する)に対応する抽象化された文字列(コマンド)の紐づけが頭の中で定着したサインだと考えています。

④カード自体を使わない

更に理解が進んで、コンテンツの最終問題あたりではカード自体を使わず、モニタ上のテキスト言語を並べ替えながらプログラミングを楽しむ子供達が現れます。立派なプログラマーの誕生です。しかしながら、複雑なロジックでは混乱してしまうこともあるので、その際はちょっとだけカードに立ち返って一緒に問題点を考えてあげるとすぐに課題を見つけ、解決方法に気づいてくれます。

活動当初はすべての子供達がテキスト言語を習得できるのか?という心配もありましたが、実績を重ねるにつれ様々な方面からご賛同をいただき、指導方法の改良について情報交換をさせていただいています。

今後の取り組み

現在当社の取り組みは、当社主体でワークショップ等を開催し、直接子供達を指導する活動から、プログラミング教育を実施したいと考えている団体を支援する活動にシフトしています。
その中でも特に力を入れているのが、地方の高校や団体を支援して地域のプログラミング教育を支える活動です。この活動では各地域のボランティアや高校生に教育機材を送付し、その機材を使ってWeb会議でメンター育成のオンライン講座を開催します。2~4回のオンライン講座で育ったメンターによって、各地域の子供達向けのプログラミングワークショップを開催してもらいます。

2019年度は水俣環境アカデミア(熊本県水俣市)が主体となって市民ボランティア及び熊本県立水俣高等学校の先生・生徒により夏休みのプログラミングワークショップが開催されました。

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この企画はSDGsに向けた取り組みとし、何かを始めなければと考える多くの市民ボランティアの力によって推進されました。当日はワークショップを受けた子供達の数以上に、PTAや一般市民の見学者が集まり、熱気で空調が間に合わないほどの非常に活気あふれるイベントとなりました。


また、北海道むかわ町では、北海道鵡川高等学校の先生と生徒がメンターとなって、むかわ町立宮戸小学校のプログラミング授業に取り組んでいただきました。この企画ではフラワーヒルズ(株)が現地での橋渡し役となって、当社から宮戸小学校の先生や鵡川高校の先生・生徒達へのメンター育成オンライン講座を設定いただき、推進することができました。
授業の最後に、教えた側の高校生と教わった側の小学生がそれぞれ学んだことや感じたことを発表しあう姿は、地域一体となって共に学びあうという土壌づくりへの大きな一歩を踏み出せたと感じました。


当社ではこれまで培ったプログラミング教育のノウハウを活用しながら地道な活動を継続し、皆さんにもJammy! Programming.KIDSを育てていただき、各地に活きたプログラミング教育を根付かせていきたいと考えています。

#CSR#プログラミング教育#ボランティア

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