2020.9.30

2020年コロナ禍での新人研修

2020年コロナ禍での新人研修

2020年春の新入社員教育は、コロナ禍の影響を受けてどのように行われたのでしょうか。
31名が入社した、インフォテック(株)のレポートです。

新人教育カリキュラム

弊社の新人教育のコンセプトは『自律した人材を育成する』です。ITに関する専門知識を身に付けるだけではなく、実際の開発現場に配属された際に、自ら進んで動けるような人材を育てていきたいと思っています。
例えば、研修で学んだプログラム言語が現場のプロジェクトによっては使われていないケースもあります。その際に、自ら新しい言語を調査してプログラムができるように動いてほしいと思っています。その自律性を高めることを私たちのミッションとして活動しております。

また新人教育期間の約6か月間に、ITの専門知識・プログラミングを習得するだけではなく、実際にシステム開発実習を行い、要件定義から製造、結合テスト、導入までと、現場で行われる一連のソフトウェア開発の工程を体験し理解してから、配属に進みます。配属現場では、工程の一部の作業を任せられることが多いと思います。プロジェクト全体の中で、今自分がどんな作業をしているのか俯瞰的に理解し、自律的に動けるように新人研修に取り組んでいます。

新人教育カリキュラム

■ビジネススキル研修(0.5か月間)
・ビジネスマナー
・コミュニケーション
・ビジネスライティング
・プレゼンテーション技法
・ストラテジー
・ロジカルシンキング

ITエンジニア基礎研修(1.5か月間)
ITエンジニア基礎
・個人製造力強化
・プログラミング入門(アルゴリズム、Java
・ネットワーク、サーバ技術基礎
・データベース技術基礎
・オブジェクト指向技術基礎
WEB開発技術基礎(JavaServletJSP)
・その他(プロジェクトマネジメント基礎、品質・初級、自社製品)

■システム構築基礎実習(3.5か月間)
WEB系システム開発実習

■その他(0.5ヵ月間)
・資格模擬試験
・現場説明会
・社内制度説明 等

2020年度のカリキュラムであり、毎年内容・日程は変更になる。

コロナ禍における緊急事態宣言の新人教育への影響

基本路線としてカリキュラムの項目の見直し・削減などは行っておりません。必要なカリキュラムとして、全てのカリキュラムを新人に届けたいと思っています。
しかし、やり方自体の見直しは大きく求められました。ステイホーム・ソーシャルディスタンスを守り、社員とその家族等の健康を守るためにオンライン形式の講義、時差出勤、複数の会議室に分散した実習など、これまでの一同集合型のやり方を大きく見直して運営しています。
また、緊急事態宣言の発令・解除・首都圏の感染状況などの外部環境に応じて、適宜カリキュラムの順序なども見直し、最適な形を模索してきました。 例えば、例年ビジネスマナー研修は4月初旬に外部講師を招いて実施しますが、 今年度は、緊急事態宣言開けの7月に実施しております。外部講師の方に社員の振る舞いを細やかに見てもらうためには、やはりオンラインでは伝わりづらいと判断し、出社可能なタイミングまで時期を延長しました。

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【外部講師によるビジネスマナー研修の様子】

研修講師として、例年以上に気を付けたこと・苦労したこと

『伝わっているか』『理解しているか』『精神面でストレスを感じてないか』というポイントを常に研修講師側としても懸念していました。特に4~5 月はオンラインによるコミュニケーションが中心だったこともあり、私たちも非常に試行錯誤を繰り返した期間です。
例えばオンライン形式の書面レビューでは、文章の構成の見直しを指摘しても、文言の一部を直すだけというアウトプットになってしまい、講師側の指摘の意図が伝わらないため、長い時間をかけることにしました。
また、オンライン形式では新人の反応を受け取りにくいことを考慮して、1日2時間程度の質疑応答時間を固定で確保し、週に1度1時間程度の雑談を交えた面談も行うことで、オンライン講義の中では見抜きにくい新人の持つ資質を見抜くことを含め善処しました。

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【別々の部屋に分かれた新人同士のオンラインミーティングの様子】

2020年度新人研修を経て思うこと

例年のように新人が一同に揃って切磋琢磨する機会は作れず、その結果、同期の絆が生まれにくかったことは非常に寂しく思っています。もちろんアフターフォローとして、個人面談などは定期的に開催していきますが、可能な時期が来たら集合研修などを行って2020年度の新入社員全員が会する場を設けたいと考えています。
このような状況下で新人は色々考え苦労したと思っています。しかし、実は2020年度の新入社員は自分から学ぶ意欲が非常に高かったと感じております。世界的に経済状況が不安定な中、危機感が増したことによりマインドチェンジが彼らの成長を促したのではないかと考えています。

新入社員にインタビュー

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【左から2020年入社の三好さん(文学部卒)、高岡さん(産業社会学部卒)】

入社前はどんなことを考えて過ごしていましたか?

高岡さん:大学の卒業式・卒業旅行も無くなり、ほぼ実家で過ごしていました。採用担当の方から定期的に連絡を頂いていたので入社に対する不安は特に無く、資格試験に向けた勉強をして少しでもスキルアップができればと思っていました。

三好さん:大学の卒業式など予定が全て無くなり、正直、学生生活が終わったという区切りが分からない状態でした。ただ、日々パンデミックが進む中で、自分が入社する会社に対してではなく、社会全体がどう変わって行くのか、というところに非常に不安を感じていました。

リモートで行われたオンライン研修はどうでしたか?

高岡さん:分からない所を質問するのが難しかったです。分からない部分を明確にして文書化できれば伝わると思うのですが、分からない部分が漠然としている中、チャットで質問すると余計伝わりづらいことになってしまいました。また、美容院に行くのも控えていたので髪が伸びすぎてしまい、身だしなみとして清潔感を保てないのはストレスを感じました。

三好さん:同期の人となりが分かりにくく、相談しにくいなと思っていました。私は文系出身で情報処理出身の同期と比較すると知識の差があります。そのため、分からなくて聞きたい事も多かったのですが、相手の状況が見えないと声をかけづらいと思いました。また、学生時代から住んでいる部屋で研修を受けていたのですが、ローテーブル・座椅子の環境だったため、体調が悪くなってしまいました。

オフライン研修はどうでしたか?

高岡さん:チーム毎に部屋が分割され、一人一人の席も離れていますが、それでも同期が集まると色々な良い影響があると感じました。例えば、誰かがプログラミングで分からないことを相談していたら、近くにいる私も情報をキャッチして議論に参加することができました。

三好さん:通勤時間が無い方が空き時間を作りやすいと思います。ただ、今の私には同期と会って話す楽しさの方が大事です。また、一日中座っていたので体力が落ちていて、改めて通勤を通して歩くことも大事だと痛感しました。在宅だとONOFFの切り替えが難しかったので、出社するようになってメリハリがついたと思います。

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【ソーシャルディスタンスを考慮したオフライン研修】

新人研修を終えて、今後の展望などを教えてください

高岡さん:まだまだ分からないことだらけです。IT技術のスキルを高めることも大事だと思っていますが、早く成長してチームやプロジェクトをマネージメントする力も身に付けていきたいと思っています。

三好さん:システム開発実習などを通して、文章を書く機会が非常に多いことにビックリしました。文系出身の私でも活躍できる場があるのではと思っています。また、今は質問をする側ですが、早く教える側の人間に成長したいと思っています。

以上

#文系出身#研修

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