2020.9.16

コロナ禍の下で実施した新入社員研修

コロナ禍の下で実施した新入社員研修

2020年春の新入社員教育は、コロナ禍の影響を受けてどのように行われたのでしょうか。
69名が入社した、三菱総研DCS(株)のレポートです。

1. 2020年新入社員研修について

当社の新入社員研修は、例年4~6月の3か月間をかけて、集合研修形式で行ってきました。最初の1か月でビジネススキルの習得を通じて"社会人として"の基礎を身につけ、その後の2か月でITスキルを基礎から応用まで学び、"エンジニアとして"の基礎を築きます。当社はIT系の学部の出身者に限定せず、幅広い人材の採用を行っていますので、ITスキルをしっかり習得するカリキュラムになっているのが特徴です。
しかし、2020年はコロナ禍の影響を受け、このカリキュラムを大きく見直しました。研修期間を4ヶ月間に延長し、4~6月は自宅学習(eラーニング)で実施可能なIT系の研修を、7月は対面で実施することで効果が上がるビジネススキル系の研修を行うことにしたのです。以下、その具体的な内容をご説明します。

2. 実際に行った研修の内容 ~ITスキル~

当社の新入社員研修では、ITスキルを幅広く学びます。ITの土台(基盤)としては「LinuxOS」「クラウド」「ネットワーク」「データベース」など、ソフトウェア開発スキルとしては「Javaプログラミング」などが主な学習項目です。配属後のプロジェクトによって、IT環境(システム構成、開発言語)は異なりますが、現場で活かせるITスキルの習得を目指しています。
昨年までは全て対面形式(集合研修)でしたが、今年は自宅で学習できるように変更しました。まず4月は、情報処理技術者試験に向けた自習を中心に進めてもらいました。実は例年はこのような研修は無かったので、各自のペースで基礎を学ぶことができ、貴重な時間になったのではないかと思います。
5月からは講師と自宅の新入社員とをオンラインで接続した研修を開始し、各講師が準備した学習の手引きに従って、知識習得だけでなく演習も実施しました。知識部分はeラーニングや自習用の講義資料を中心に学びます。その後、会社が配布したPCを使って、LinuxやDB(SQL)のコマンドの実行やプログラミング(Java言語)の演習を行い、知識を定着させます。特にプログラミングについては、習熟度の高い新入社員には追加の演習にも挑戦してもらい、レベルに応じたカリキュラムを提供しました。

学習の相談や質疑応答には、オンラインツールを利用しました。利用したツールは、「Webex Meeting©」と「Microsoft Teams©」です。多人数で双方向のコミュニケーションが必要な研修や質問会などは、常時接続に強い「Webex Meeting©」、ちょっとした相談や質疑事項はチャットやPC画面共有が使いやすい「Microsoft Teams©」と、状況に応じて使い分けながら対応しました。

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3. 実際に行った研修の内容 ~ビジネススキル~

7月はビジネススキル系の研修を実施しました。ビジネスマナー研修やコミュニケーション研修などは、対話形式の集合研修の方が効果も高いため、講師や新入社員同士、コミュニケーションを図りながら行いました。本来であれば入社早々に行う研修ですが、配属直前のこのタイミングで受講することにも大きな意味があったと思います。
なお、集合研修ではコロナ感染のリスクが生じないように、細心の注意を払いました。研修会場に一度に入る人数を減らしたり、会場を分散させたりして、講義中も一定の距離が保てるようにしました。どうしても全員一斉に行わなければいけない講義は、TV会議システムを利用して複数の会場で同時受講ができるように対応しました。

4. 研修の現場から  ~思いや姿勢~

在宅研修が多くなった今回、新入社員が学習モチベーションを保ち、意欲的・積極的に学習へ取り組める環境や研修作りを特に意識しました。

研修理解へのツール活用

◆eラーニングでは、各自が自分のペースで学習できていたようです。分からないところは繰り返し視聴ができるので、「復習に役立った」という意見が目立ちました。自習への助けになればと、プログラミングが可能なインターネット上の学習サイトも活用しました。中には自己啓発として、配布したPCを使い予習・復習に活用した新入社員もいました。

◆プログラミング研修終了後、プログラミングに苦手意識を持っている新入社員は少なく、むしろ研修を通して開発の楽しさを語ってくれる人が多かった印象です。実際、Javaコーディング試験では、例年よりも平均点が高い結果になり、プログラミングの基本スキルに対しての理解度は、過去の先輩たちと比較しても遜色ない結果になったと思います。

研修時のコミュニケーション

◆習熟度の把握とフォロー
研修を担当する講師やサポート社員は、日次で取り組む演習や課題から、個々の新入社員の日々の学習状況を把握できるようにしました。その情報をもとに、学習に苦戦していそうな人に対しては、個別に声を掛けるなどフォローをしていきました。

◆疑問・質問の受け入れ体制
講座ごとに講師主催のオンライン会議室(Webex Meeting©)を終日で解放し、いつでも講師へ相談や質問ができる体制も整えました。オンラインの質問会では、むしろ例年より活発に講師とやりとりしている面も見られました。この体制は、フレンドリーに質問ができ、講座への理解が深まったと好評でした。

◆同期同士の交流
4か月にわたって研修を行いましたが、集合研修が始まって新入社員が口をそろえて言ったのが「同期を知らない」ということでした。今年は入社後の懇親会や新入社員同士のアフター5の集まりもできなかったので、これは当然のことと思います。このことについては、配属後も同期同士のコミュニケーションを取る機会が作れるように何らかのサポートをしていきたいと考えています。

5.最後に

このように、コロナの影響で当初の計画を大きく変更した新入社員研修となりましたが、全体的には例年と変わらぬレベルでの研修を実施することができました。またこのような状況になったが故に、オンライン研修の可能性や、改めて集合研修の重要性にも気付かされました。この経験を糧にして、来年度の研修も充実した内容にしていきたいと考えています。
一方、新入社員は入社したばかりでただでさえ不安もある中、コロナ禍の状況でさらに強い不安を感じたと思います。ただそのような状況でも、しなやかに研修へ挑む姿がみられました。今後の成長にも大いに期待しています。

以上

#研修

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