運用サービスとITガバナンスの面から

 情報システムの「運用」は、かつては開発の次に来る段階といったとらえ方が見られたが、現在では「情報システムはむしろ日常的に運用されているものであり、必要に応じて補強や改定のために開発される」と見られることも多くなってきた。ソフトウェアベンダー、システムベンダーから見れば、運用への関わりは、主として「運用サービスの提供」という視点である。そのサービス内容に関する標準化が、ISO/IEC 20000シリーズ(JIS Q 20000シリーズ「情報技術−サービスマネジメント−第1部:仕様」)である。このISO/IEC 20000シリーズは、いわば初めて本格的に「ITシステム運用の標準化」の視点を打ち出した国際規格といった見方も可能であろう。JIS Q 20001については、JISデータベースを参照。

 一般企業にとって、ITシステムは適切に活用してビジネスの有効性を高めるための道具である。そのような適切な活用の一般的な指針や社会的責任を果たすための留意点を国際規格化しようという動きが現れている。それが、ITガバナンスの国際規格と言われているものである。現在、JTCの直下のWG6で複数の規格化の審議が進んでいる。この間の動きについては、こちらにある解説を参照。ITガバナンスについては、国際的にはISACA、日本国内ではITガバナンス協会といった団体の活動も知られている。

 日本国内では、上記の運用サービスの標準化と触れ合う面がある「自社コンピュータを用いた運用サービス」の提供ベンダーへの認定制度として、経済産業省の指導下にSO制度(特定システムオペレーション企業等認定制度)がある。このSO制度の趣旨としては、「特定システムオペレーションサービス(コンピュータビルディング等設備投資を伴う事業形態のもの)を的確に遂行できる安全対策、経理的基礎、技術的能力、特定システムオペレーションサービスの実績を備えている企業等を認定する制度」と位置付けられている。経済産業省のSO制度の説明は、こちらを参照。

 また、日本国内でのITガバナンスと類似の制度として、システム監査に伴うシステム管理基準というガイドラインが存在する。これに関連する制度、ガイドラインについては、経済産業省のホームページを参照。