JISA、特許庁に「意匠制度小委員会報告書『創造的なデザインの権利保護による我が国企業の国際展開支援について』(案)への意見」を提出

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 一般社団法人 情報サービス産業協会(JISA)は、平成25年12月に「産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会報告書『創造的なデザインの権利保護による我が国企業の国際展開支援について』」(案)がパブリックコメントに付されたことを踏まえ、これに対する意見を平成26年1月23日に特許庁に提出しました。

産業構造審議会 知的財産分科会 意匠制度小委員会 報告書「創造的なデザインの権利保護による我が国企業の国際展開支援について」(案)に対する意見募集

 意見書では、ハーグ協定ジュネーブ改正協定・ロカルノ協定加入に向けた対応について基本的に賛同しつつ、画面デザインの保護拡充について以下のような意見を述べています。

○エンタープライズ系システムの開発や運用・保守サービスをメインの事業とする当業界においては、画面表示を要するデータ項目やレイアウトなどは企業間で大差がなく、デザインの自由度は大きくはありません。そして、画像デザインが付加価値として顧客に訴求するケースも少ないのが実態です。このため、画面デザインの保護拡充はメリットに比して権利侵害リスクの増大や他者権利の監視負担増大といったデメリットが大きく、情報システムを提供する当業界はもとより、情報システムの利用者に当たる企業の活動にも影響を及ぼすものであり、現時点では企業活動を阻害することが大いに懸念されます。

○今後開催予定の審査基準ワーキンググループの作業を通じて、意匠保護を受けるべき画像デザインに関する認識を共有できるようにするとともに、審査手順や審査体制の整備(審査のばらつきが生じないための明瞭な基準の策定等・権利付与に値しない画像デザイン例の公表も含む)に取り組むことを希望します。

 また、「実施者に課される注意義務の在り方」及び「今後の検討の在り方」、「(B案)物品ごとに権利化する案」、「登録意匠クリアランスツールの整備」について意見を述べています。 

 JISAでは、今後も本件テーマに関する検討を深め、知財イノベーションの推進と当業界も含めた我が国産業の競争力強化に資する施策の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

<背景>
 2011年から産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会において画像デザインの保護の拡大に関する意匠法改正の議論が行われています。

 欧米に比べ我が国の画像デザイン保護対象が狭いことから国際的な制度調和を図るべきという意見もありますが、一方で画像に係る意匠権が認められるようになると、デザイン開発の自由度が損なわれ、産業界の活力を減退させる懸念があるとの理由で、意匠法の保護対象は現状を維持すべきであるとの意見も少なくありません。

 JISAは、
エンタープライズ向けシステムの開発を主な事業とする情報サービス産業にあっては、顧客ニーズとの兼ね合いでデザイン面の独自性を打ち出しにくい等の事情を鑑みると、意匠法による画像デザイン保護対象の拡大はデメリットが大きい」

との認識のもと、これまでにも意見を表明してきています。

産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会

JISA「意匠法による画面デザインの保護に対する意見」(平成23年9月13日)

JISA「意匠法による画像デザインの保護拡大に関する意見」(平成24年11月13日)

  問い合わせ先:(一社)情報サービス産業協会 広報サービス部 press@jisa.or.jp


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