第4回 ビジネス変革委員会

 4月24日(月)、JISA会議室で、ビジネス変革委員会(委員長:島田俊夫(株)CAC Holdings取締役会長)が開催された。参加者は19名。
 「『何かを引かないと何かを足せない』という問題意識をもってビジネス変革に臨んでいく必要がある」との委員長挨拶の後、28年度活動の締めくくりとして、活動実績の確認とフリーディスカッションが行われた。

  1. 委員会活動実績の総括
     島田委員長及び事務局より以下を報告した。
     IoT時代の新事業形態への移行・転換の機運・流れを作ることを目的として以下の活動を行ってきた。
    • セゾン情報システムにおける従来型SIビジネスからIoT型ビジネスへの転換、ドイツI4.0視察、NTTデータのAI研究開発事例等の紹介とディスカッションによって、IoT+ビッグデータ+AIによるシステム開発の時代には、工数ベースではなく成果に対して対価を得る仕組みが必要であること、データの流通が課題であることを認識した。
    • IoTワークショップやチュートリアルを開催し、受託開発に従事している技術者にIoTに触れてもらうきっかけをつくってきた。
    • 産総研、日本リモートセンシング学会(RSSJ)、未踏社団等と連携、交流活動を行ってきた(特にRSSJとの交流成果として、リモセンデータベースカタログが作成され近々公開予定)。
    • ドイツへIndsutrie 4.0視察団を派遣し現状把握を行ってきたほか、ドイツ企業日本法人のI4.0事業責任者を招いて総括のためのセミナーを開催した。
  2. 自由討議
     島田委員長より、SI・受託ビジネスは峠を越え臨界に近付きつつあるのではないか。GEでは採用した社員にコーディングを学ばせている。デジタルの世界で何ができるかを理解させることが必要だからだ。こういう時代にあって我々はどういう変革をしていくべきか、もう一歩つめていかなければならない状況にあるのではないか、との問題提起に基づき自由討議が行われた。
    • 今後のビジネスモデルは、請け負って何ヶ月後かに成果物を納入するというビジネスモデルとは違ってくるのではないか、この認識に基づき今までのビジネスモデルを変えるための組織を作った。今はSIを否定できないが、コーポレートITを対象とすることから、ITをビジネスの仕掛けとして使う方向にチャレンジしていきたい。
    • インフラビジネスは利用料金で生きていけるが利益は小さい。パトロンと一緒にビジネスを行いレベニューシェアするモデルを創っていきたい。
    • 既存ビジネスと新ビジネスは別人格で実施する必要がある。
    • 新規ビジネスに営業が絡むと、きっちりと利益を出そうとして生々しくなる。きちんときめるべきところを曖昧にするので新規ビジネスというのは危うい。数社と実証実験をおこなうという形になりやすい。
    • 現在の幹部はSIビジネスで成功体験がある。SIビジネスはリスクを減らすことが大事で、新規はリスクを取ることが大事なのでギャップがある。
    • SIと新規事業がうまく組み合わせることができる時代はくるのか?
    • クラウド上でSIは従来ビジネスの延長上という理解でいる。それを念頭におくと、ビジネスとしては減らないだろうが、利益は上げにくくなってきている。
    • PoC貧乏という言葉がある。みんなIoT、AIに注目しており、実証実験は盛んだ。しかしもうからないので、従事する技術者を切り売りしなければならない。今日生きていかなければならないこととの兼ね合いがある。
    • みんな同じ事をやって全員がうまくいっていない。シーズ型が多く、その組み合わせになっている。
    • 今後はツールの組み合わせやカスタマイズが中心になるのではないか。シロウトでもそこそこのクオリティのものがそこそこ作れる時代になるが、スキルを磨いてシロウトではできない価値を提供できることが大事。フリーウェアの世界でスキルを磨いて、コミッター、メンテナーになっていくようなことが大事。
    • JISAでそれを認定するような制度をつくったら役に立つのではないか。
    • IoTで切磋琢磨するコミュニティを作ってはどうか。
    • 若手がいろいろなチャレンジができる砂場を業界挙げてつくれないか、と思う。
    • 社会的課題をどうやって解決するかをコーディングによって解を導くような企画を立ててはどうか、顧客のニーズをどうやって満たすか新人で何かを企画させてみてもいいのではないか。積極的に仕掛けて、成果を出していく方向性にもっといかないと続けられない。
  3. その他
     事務局より、ICT経営パートナーズ協会より連携の申し出があったことを報告。関心のある方は事務局に申し出ることによって、同協会のIoTグループに参加できることを報告した。

(山本)

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