第2回 ビジネス変革委員会

 9月29日(木)JISA会議室で、ビジネス変革委員会(委員長:島田俊夫(株)CAC Holdings取締役会長)が開催された。参加者は19名。
 新たに加わった3名の委員から特にIoT関連ビジネスモデルの検討に関する期待が述べられた。島田委員長から、あらためて今年度委員会活動計画について説明が行われた後、活動の進捗について報告が行われた。

  1. ドイツIndustrie 4.0 視察 および インダストリ4.0 セミナー報告
     5月末から6月にかけ、19名でIndustrie 4.0関連の視察を行い、首相自らの関心事項として国を挙げて取り組んでいること、デジタル社会では、製造業といえどもエコシステムのサービス全体を売るようになるのではないかと感じたこと、われわれもエコシステムを前提としたビジネスモデルを考えていく必要があること、我々は、新しいことには、まず、「情報収集者」になることからスタートする行動癖があるが、これは捨てるべきだろう。スピード時代に入り、「プレーヤー」になることを意思決定した上で、「情報収集」するというプロセスをとるべきではないか、と感想が述べられた。
  2. IoTワークショップ及びチュートリアル実施報告
     IoTワークショップは、今期13社25名が参加し、H2L社の協力を得て10回にわたり実施し、8月6,7日のMaker Faire in Tokyo にワークショップの成果であるガジェットを22名が出展発表したこと、同様にチュートリアルも2回(各回1日で完結)で24社38名が参加し、センサーデータの取得からクラウドへのデータ送信、AWS上でのデータ取り扱いを体験し好評だったことが報告された。
  3. その他
     未踏財団と協力し人材を活かせるようなことを考えたい、ロボット革命イニシアチブ協議会に参加していることの意義をフィードバックできる方法を考えたい旨、委員長より経過報告が述べられた。
  4. AIビジネス事例と課題
    • AI研究領域としては、業務領域と社会基盤領域にわけて考えている。
    • 業務領域では、フロント(顧客対応・コールセンター)、ミドル、バックオフィスとあり、特に金融業等で専門家を助けるためのツールとして活用が始まっている。
    • FAQなどのデータをAIにインプットして、学習することが必要。
    • アナリストの代わりとなるのではなく、アナリストの支援をし、そのためにアナリストが本来業務に時間を充てられるようなイメージ。
    • 社内でもAIを利用し始めている。(戦略的な調達などに使える可能性)
    • 社会基盤領域では、中国での渋滞緩和にAIを活用する実証実験を実施した。交差点や道路の情報をカメラから取得し、信号の制御に反映させ渋滞を緩和している。平均10%緩和した。
    • またスペインでは病院のICU集中医療室などで、患者が重篤な状況に陥る前にアラートをだすようなAIを医者の知見を利用しながら取り組んでいる。
    • AIは現状、8割は正しく動作しても残りは間違えるものであり、日本では10割を求められるので適用が難しい面がある。
    • AIは画像や、音楽などのコンテンツ生成にもつかえる。文章生成がいまのところ一番難しい。現在の法制度ではAIで作成されたものは著作権保護の対象にならない(人の感情の発露にあたらない)らしい。
     事例紹介後の議論のなかでは、次のような発言があった。
    • どのようなデータをAIに与えるかによって、精度の善し悪しが変わる。人の代わりにAIが判断するシステムではなく、あくまで判断の支援に役立つシステムを販売している。それは、お客様が、AIが出力した結果に責任を負えないから。
    • 2割間違っても8割あっていればだいぶ負担が軽減される、という分野に適用されるべきで、満点を期待されるところには難しい。
    • SIを前提に将来のAIビジネスを考えるだけでなく、IoTなどを絡めた新しいサービスにAIを活用するビジネスモデルを考える必要がある。例えば、SI開発のような工数ベースではなく、成果に対して対価を得る形。
    • 現状、SLAで対応するしかないが、顧客に新しいビジネスモデルを理解してもらい、つくっていくことに取り組む必要がある。
    • IoTはAIと結びついて初めて効果を発揮する。IoTのデータだけでは駄目。
    • データが取得できる、活用出来るような仕組みを考えていく必要がある。
    • どこにどのようなデータがあるか、どのように取得できるかの整備が必要。会員の間でも結構データはあるはず。

 次回委員会は11月上旬の予定。

(山本)

  •  

このページの先頭へ▲