第1回企画委員会 財務税制部会 企画WG

平成23年9月28日、財務税制部会企画WG(部会長兼WG長:喜多昭男、ITホールディングス(株)管理本部副本部長)の第1回会合が、JISA会議室において6名の出席により開催された。当部会企画WGは、情報サービス産業の財務経理分野における政策的対応を適時に図るために設置されている。

今回は、本年9月13日付けで経団連企業会計委員会企画部会から依頼のあった「国際会計基準(IFRS)に関する調査」の回答内容を検討するために開催した。

本調査は、去る5月26日に米国証券取引委員会(SEC)が公表したスタッフ・ペーパーや、6月21日の金融担当大臣談話等、IFRSを巡る国内外の状況に変化が生じていることから、平成21年6月に金融庁企業会計審議会が公表した「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」で示された平成24年を目途にIFRS強制適用の是非の判断を行うにあたっての検討を行う趣旨で実施するとしている。

調査項目は次の3点である。

1. 企業会計審議会(8月25日開催)資料「今後の議論・検討の進め方(案)」で「現時点で検討が必要であると考えられる主要な項目」で挙げられた11項目に関する意見

2.IFRS各基準の中で、特に問題(業界・業種特有なものを含む)があると考えられるものに関する基準とその内容の指摘。

3.その他IFRS全般についての意見・要望

 主な意見は次のとおり。

・時間軸の判断は難しいものの、将来的な流れとしては会計のルールは1つになるであろう。

・現行のIFRSは受け入れ難いというのは共感できるが、短期的な視点に陥らず、中長期的に現行のIFRSを如何に容認できるものとしていくかが検討の視点として重要。

・IFRSの適用を強制するならば、欧州各国のように上場企業の一部に限定することも現実的な選択肢。

・仮に連結財務諸表でIFRSを採用となった場合に、日本基準の単体財務諸表との分離が生じるのは悩ましい。とはいえ、いずれは日本基準側が収斂していかざるを得なくなるであろう。

・今のIFRSが適用されると、税と会計の分離は凄まじいものとなる。確定決算主義との訣別も不合理。

・IFRS推進反対派は、現行の日本基準の理解が不十分ではないか。

・現在の我が国の資本市場の状況をはじめ、海外取引を含めたグローバルな視点に立てば、自国基準に拘ることの意義は薄い。

・中小企業とのIFRSとの関係は一つ議論のあるところ。当業界のようにバランスシートに厚みがない業種にとっての資産負債アプローチは必然性に乏しい。

・史上空前の円高で中小企業も海外に生産拠点を考えざるを得なくなっている状況では、国内だけの基準に拘ることもないのでは。

・当業界の事情ではないとはいえ、EuronextとNYSEが統合され、証券取引所の再編が進んでいるなかで、東京市場が自国の日本基準に拘ってアジアのローカル市場の一つになり下がることは東証上場企業として魅力がないと感じる。

 また、上記2のIFRS基準に関して業種特有なものは、事務局案として提示した組込リースと工事進行基準で了承された。

経団連には、上記の意見をふまえて事務局にて取りまとめ、回答を提出する予定である。

(田中)

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