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メッセージ 制度の利用申請を受けた方へ

制度の利用申請を受けたマネジャーが行うべきこと

1.制度の利用者へのマネジメント
2.周囲のメンバーや顧客へのマネジメント

1.制度の利用者へのマネジメント

■制度の十分な説明

メンバーから制度の利用申請を受けたら、まずは制度の内容、特に利用期間中の労働条件(賃金、評価、福利厚生、制度利用期間の勤続年数への算入等)について十分な説明を行いましょう。制度利用希望者が労働条件等に納得した上で制度を利用することは、利用期間中の生産性の維持・向上のためにも不可欠です。
なお、念のため、利用申請のあった制度だけでなく、そのメンバーが利用可能な他の制度についても改めて説明し、メンバーが最適な制度を選択できるよう配慮しましょう。

■制度利用者の仕事の内容や進め方の見直し

制度利用に向けて、まず、制度利用希望者と一緒に現行業務の棚卸しを行う必要があります。その上で、今の職場で制度を利用するにあたってどのような協力・支援体制が必要か、また、生産性を維持・向上させるために仕事の進め方で工夫すべき点があるか等について、制度利用希望者と十分に話し合いましょう。
多様な働き方では限定的な仕事しかできないという誤った先入観にとらわれず、制度利用者のこれまでのキャリアを十分に踏まえつつ、制度利用者の能力や意欲を最大限活用するための支援や工夫を検討することが重要です。

■本人の希望も踏まえた他部門との調整

もし、業務の内容やタイミングの問題で、現行の体制ではどうしても現部門での制度利用が難しい場合には「他のメンバーを補充する」、「キャリア形成に対する本人の希望も踏まえつつ、他の職場へ異動・配置転換する」といった選択肢を視野に入れて、制度利用希望者や人事部門とじっくり話し合い、調整する必要があります。また、異動の場合は、人事部門だけでなく異動先の職場のマネジャーとも十分に連携する必要があります。

■制度利用者の目標管理と評価

制度利用に際して、目標管理や評価において通常の勤務者と異なる取り扱いがある場合は、必ず伝えるようにしましょう。
目標は、働き方の制約条件だけでなく、制度利用希望者の意向や今までのキャリア等も十分に把握し、合意の上で設定するようにしましょう。
また、評価についても、マネジャーが制度利用者の成果をきっちりと把握せず、制度利用によって働く時間や場所が限定されているという印象だけで、制度利用者に低い評価をつけたとすれば、高い生産性で働く制度利用者の納得を得るのは難しいでしょう。制度利用者が、制度を利用しつつ生産性を維持・向上させようという意欲を持てるよう、成果に見合った評価を行うことが求められます。

■スキルの維持・向上に対する支援

多くの事例において、制度利用者は自己のスキルの維持・向上に大きな不安を抱いています。付与される職務が限定的になると、スキルの維持・向上が難しくなります。また、付与される職務が制度利用前と大きく異なる場合には、スキルの転換のため、制度利用者に少なからぬ負担がかかることでしょう。
マネジャーとしては、これらのことを踏まえ、制度利用者のスキルの維持・向上を支援する必要があります。例えば、制度利用前に休業期間がある場合には、休業期間中も会社や職場の情報をできるだけ提供するようにしましょう。勤務時間後に開催された社内研修に短時間勤務者等が参加できなかった場合には、事後に情報を提供する等の配慮が望まれます。職場の中で勉強会や打ち合わせを行う際も、なるべく制度利用者が参加できるよう、時間の設定等を考えましょう。
OJTの中では、制度利用者の働き方の制約条件に配慮しつつも、その意欲や能力を最大限活用できるような職務の付与を心がけてください。また、制度利用者と密なコミュニケーションをとる中で、制度利用者の状況変化に応じて職務内容を見直すことも重要です。例えば、育児が大変な時期にはマネジメント業務を免除し、育児に多少ゆとりが出てきたら小規模プロジェクトのマネジメント業務を担当させてみるなど、きめ細かな職務付与を行うことによって、通常勤務復帰に向けたソフト・ランディングが可能となるでしょう。

2.周囲のメンバーや顧客へのマネジメント

■制度利用者の周囲のメンバーや顧客への説明

制度利用者の多くは、制度利用に対する周囲の反応にかなり敏感で、周囲への気兼ねが精神的な負担になっているケースもあります。マネジャーから、制度の意義や内容、制度利用に伴う業務上の協力・支援の必要性について、周囲のメンバー全員にきっちりと説明するようにしましょう。
また、顧客との調整、連携が必要な場合には、事情を十分に説明し、理解を求めるようにしましょう。

■仕事の品質や生産性の維持・向上のための協力・支援体制の構築

多様な働き方をしながら仕事の品質や生産性を維持・向上させるためには、制度利用者に対する強固な協力・支援体制を築く必要があります。そのためには、まず、制度利用者を含むプロジェクト・メンバー全員の業務の棚卸しを行う必要があります。制度利用期間中の業務分担が決まった後は、制度利用者と周囲のメンバーとの直接のやりとりだけで引き継ぎや依頼等を行うのではなく、制度利用の前に、制度利用者からの引き継ぎや依頼がある旨、マネジャーが周囲のメンバーに理解を求めるようにしましょう。さらに、業務分担の見直し内容については、メンバー全員に周知することが望まれます。
また、担当者の不在時に顧客から照会があった場合でも、プロジェクトのメンバー全員が対応できるよう、ファイルや資料の所在を明確にする等の運営も重要でしょう。特に在宅勤務は直接のやりとりが少なくなるため、制度利用者とマネジャーを含む職場のメンバーの双方が、意識してコミュニケーションを密にする必要があります。コミュニケーションを円滑にするための具体的な工夫としては、制度利用者は在宅勤務中のメールチェックの頻度を増やす、業務報告をコミュニケーションツールとして大いに活用する(成果のアピール等)、職場のメンバーも自宅に連絡することを躊躇しない、等があげられます。制度利用者も職場のメンバーも、在宅勤務制度の特性を十分に理解し、在宅勤務という状況でのコミュニケーションに慣れることが重要なのです。

■周囲メンバーの支援に対する評価

周囲のメンバーが制度利用者に対して支援を行っている場合には、周囲のメンバーに対しても、支援の内容に応じて適正な評価を行うことが求められます。制度利用に伴って周囲のメンバーにかかってくる負担を、マネジャーがきっちりと認識した上で適正に評価すれば、制度利用者と周囲のメンバーとの関係を良好に保ちつつ、仕事の品質や生産性を維持・向上させることが可能となるでしょう。

 制度の導入と効果的な運用のために必要な取組

マネジャーとして、日ごろから心がけておくこと