アクセスビリティとユーザビリティ

 ITシステムのいわゆる使い勝手を表す言葉は使用性(ユーザビリティ)であるが、いろいろな年齢や身体的な条件に対応して幅広く利用してもらう観点からは、ユニバーサルデザインという用語で表現され、またいろいろなハンデキャップ条件の利用者が容易に利用できるようにする配慮はアクセスビリティという用語で表現される。これらは現代的なテーマであり、これからも関心が広がるテーマであると思われる。アクセスビリティにういて、経済産業省の「情報技術分野における国際標準化アクションプラン(2009年版)」においても、「さらにグローバル市場の獲得並びに社会ニーズの観点からも、国際標準化が求められる場合があり、例えば、情報通信機器などの利用に際して、アクセシビリティに対する要求の高まりを受け、関連する規格の審議が行われている。」といった重点的な位置づけを与えられている。国際審議を行っているJTC自身も重点テーマととらえ、特別なワーキンググループを設けている。

 JIS規格では、たとえば次のような規格群が早期に制定され、また国際規格に合わせた改定も行われている。また、関連規格も多数ある。
    ・JIS X 8341-1「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス− 第1部:共通指針」 (2004年制定、2010年改定)
    ・JIS X 8341-3「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−第3部:ウェブコンテンツ」(2010年)
    ・JIS X 8341-6「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−第6部:ソフトウェア」(2010年頃予定)
    JIS規格については、JISデータベースを参照。

 一方、日本の電子政府推進を掲げているIT戦略本部のユーザビリティ分科会において、初期の電子政府システムの使い勝手が必ずしも良くなかった点を克服するため「電子政府ユーザビリティガイドライン」が取りまとめられ、2009 年7 月1 日に各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議にて決定された。この中では、JIS X 8341シリーズ、ISO/IECガイド71や、総務省の、「みんなの公共サイト運用モデル」などが参照されている。