信頼性の達成と品質評価

 日本の公共的なシステムで発生した事故の教訓を踏まえ、情報システムの信頼性の確保の重要性が強く意識されるようになった。経済産業省は、2006年に「情報システムの信頼性向上に関するガイドライン第1版」、2009年に同第2版を公表し、またそれを受けて「情報システムの信頼性向上に関する評価指標(第1版)」を公表した。

 情報システムやソフトウェアの信頼性は、その品質と深く結び付いているが、ソフトウェアの品質は、国際規格ISO/IEC 9126(JIS X 0129)、ISO/IEC 14598(JIS X 0133)およびそれらの総合的な改定版であるISO/IEC 25000シリーズ(JIS X 25000シリーズ)(愛称SQuaRE)で規定されている。

 これらの発展に関する解説が次のURLにある。
    ソフトウェアの品質の測定と評価標準化の状況
    新しいソフトウェア製品の品質規格のご紹介

 ソフトウェアは、場合によっては、信頼性や危険性の面で見てクリティカルな状況で使用されるために開発されることもある。そのような状況への指針として、従来ISO/IEC 15026”System and Software Integrity Level”(JIS X 0134 「システム及びソフトウェアに課せられたリスク抑制の完全性水準」)が存在していたが、近年こうした状況でのソフトウェアの「保証」(assurance)の問題として捉えなおす動きが出て、2010年現在ISO/IEC 15026はSoftware Assuranceの国際規格として改定中となっている。ISOとJTC1の規格については、こちらを参照。また、その国内審議に関しては、情報規格調査会を参照。

 システムやソフトウェアの信頼性は、また、その開発や運用のプロセスの品質、またはプロセス能力/プロセス成熟度という観点からも評価される。この視点からのソフトウェアプロセス評価の国際規格はISO/IEC 15504(JIS X 0145「プロセスアセスメント」)である。そのISO/IEC 15504に準拠した国内規格は SPEAK-IPA版などとして普及が図られている。JISAが当初開発した SPINACHモデルもこの15504系統のものであり、また米国カーネギーメロン大学のCMMIモデルも同じ方向性のものである。

 また、組込み系の分野などでは、信頼性はディペンダビリティ(IEC 60300シリーズ:JISC5050シリーズ等)の視点や、機能安全(IEC 61508シリーズ: JIS C 0508シリーズ等)の視点から見られることも多く、多くの標準化視点がある。IECの規格については、こちらを参照。また、これらに対応するJIS規格については、JISデータベースを参照。