ISO/IEC/JTC1/SC7委員会

委員会名  SC7は、ISO/IEC JTC1のもとで、ソフトウェアエンジニアリング(ソフトウェア工学、ソフトウェア技術)の規格を担当している専門委員会である。
・国際委員会の議長(Chairman: François Coallier)と書記(Secretary: Witold Suryn)はカナダが担当している。
・傘下に、WG2からWG42まで(欠番、飛び番あり)14のWG、WG1A、およびISO/TC159/SC4とのJointWGがある。
・公開されたホームページ(http://www.jtc1-sc7.org/)を持っている。

これに対応する国内委員会は、情報処理学会/情報規格調査会内にあり、委員長は慶応大学の山本喜一教授が担当されている。委員名簿は情報規格調査会のWebサイト内(http://www.itscj.ipsj.or.jp/meibo/070000.pdf)に公開されている。
対象規格 担当している規格は非常に多く、各WGの情報を見るのがよいが、上記のSC7の国際ホームページでも基礎的な情報は得られる。著名な規格を次に示す。

規格番号と規格名(英語と日本語) 規格公開日/予定日 JIS制定日/予定日

ISO/IEC 12207 Software life cycle processes
JIS X 0160 ソフトウェアライフサイクルプロセス

最新版は2008年

2007年(国際の旧版に当たる)
2010現在、国際の2008年版はJIS化作業中

ISO/IEC 15288 System life cycle processes
JIS X 0170 システムライフサイクルプロセス

最新版は2008年

2004年(国際の旧版に当たる)
2010現在、国際の2008年版はJIS化作業中

ISO/IEC 15504 Process Assessment
JIS X 0145 プロセスアセスメント

2004年―2006年
なお、現在ISO/IEC 3300Xシリーズ規格として再編成中

第1部、第2部は2008年
第4部は2010年。

ISO/IEC 25000 シリーズ Software product Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)
JIS X 25000シリーズ ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)

ISO/IEC 25000は2005年
25001は2007年その他は引き続き開発中

JIS X 25001は、2010年その他は引き続き開発中
なお、この規格の前身は、JIS X 0129、JIS X 0133として
1999年以降に公開済み

ISO/IEC 20000 Service Management JIS Q 20000 サービスマネジメント

2005年

2007年


活動内容   SC7の対象領域は、当初、設計用の図記号(流れ図)や、その支援ツール(CASE)といったものから始まったが、その後、重点はソフトウェアエンジニアリングの対象としてプロセスが重要であるとの認識から、プロセスとそのプロダクト周辺の規格が大きく取り上げられた。また、製品の品質面その他の評価も重要であるとの認識から、品質評価の側面にも取り組みが重点的に行われた。また、社会のIT化の進展とともに、ソフトウェア単独での規格化よりも、その周辺も含めたシステムとしての視点が重要であるとの認識が深まり、SC7の対象領域もソフトウェアエンジニアリングからシステムおよびソフトウェアエンジニアリングということに拡張された。さらに、従来どちらかと言えば、開発のフェーズに重点があったのに対して、運用・保守も非常に重要であるという認識が広がり、SC7の対象に加えられた。近年は、組込み系ソフトウェアの問題意識の取り組みも図られている。
  これらの対象領域拡大の結果、SC7はJTC1の中でもかなり巨大なグループとなっており、委員会業務の効率化などの課題も出されてきている。
日本の活動状況   SC7の活動を国内委員会として支えるのは、情報規格調査会(ITSCJ)の中の対応する委員会である。その傘下に、国際とほぼ同様のWG構成を持っている。
JISAの対応状況(リエゾン委員)   SC7の活動に正式に参加するには、情報規格調査会の会員となる必要があるが、現在JISAはJISAの立場で会員参加し、リエゾン委員を派遣している。リエゾン活動は、標準化部会等に報告・調整されている。また、SC7傘下の各WGに対しても、必要に応じてリエゾン人を派遣している。
情報サービス業界への影響   SC7の活動領域は、JISAへの参加企業、業界にとって本命というべき課題を数多くもっている。国内で展開されている諸制度との関係も直接的、間接的に大きなものがあると見られる。現在の業界のビジネスのグローバル展開の中では、国際規格が不可避の課題として登場してくることもある。そのため、SC7の活動には十分な注意を払い、場合によっては積極的に関与していく必要があると思われる。